表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
短編集 掌篇  作者: かわ
掌篇
5/26

21-25

便宜上、はじめに数字を振っていますがそれぞれ独立しています。

21


 ないておくれ、籠の鳥。

 涙を知らぬこの身の代わりに。

 お前がないてくれるなら、私は今一度あの御座に立つことも出来よう。


 ないておくれ、私の青い鳥。

 君を取り巻く幸運が君には決して向かないのなら。代わりに私が齎そう。

 だから小鳥よ、どうかどうか、離れないで。



 ある隣接し敵対した国があった。

 嘗て交わした友好も時流と共に廃れていった。

 残ったのは非情と政略に潰された小さき想い。


 けれど二国は離れてはいけなかった。

 大き事物の核はとても小さく、それ故軽んじられて灰に帰した。

 二国は踏みにじった些事の真実によって、温度のない歴記を残して闇に没した。





                    (2008/06/17)

*****



22


ハラハラと流れる涙はやがて顎をつたい


ほたりと溶けては重なって


やがて一つに交わり再び落ちて。


けれど、同じモノにはなりはせず。





                    (2008/07/30)

*****



23


 私にはあなたが恐ろしくてならないのです。


 今日はまだ覚えている。

 けれど明日はもう忘れているかもしれない。


 今は辛うじて覚えているけれど、

 数分後にはもう忘れてしまうかもしれない、その恐怖。


 どれだけ感情を注いで書き残しても、この想いを正確に後に残すことはできないのです。

 だから、ああ

 だからこそ。

 あなたは美しく、そして儚くあるのでしょう。

 その瞬きの優美細工は形無くとも壊れてしまうから。


 突然の決別が、忘却の果ての潔さが。

 私には恐ろしくてならないのです。





                    (2008/07/31)

*****



24


 ああ、あなたのその傲慢さに僕はいつも振り回され、精神はもう限界を迎えている。


 けれどあなたのその振る舞いこそが、あなたたるの魅力なのだと知ったその時から、僕は不幸を嘆いている。


 僕ではなく、その乏しさを。

 あなたは持ち得ない涙でもって、代わりに僕が嘆いているのだ。





                    (2008/08/02)

*****



25


 私はあなたに理解して欲しいと願うのです。


 訊けばあなたはわかっているよと微笑んでくれるけど、その眼にはなんの光も宿っていないことをあなたは知らないでしょう。

 あなたは確かに私の幾許かを知っているかもしれないけれど、私は知るのではなく識って欲しいのです。


 上辺だけの言葉になんの重みがありましょう。

 その内に入ってこそ、価値があるのではないでしょうか。


 私とあなたは何れ決別の時を迎えるやも知れませんが、けれどそれなら、私と言う存在があなたと一時でも道を交わした確かな事実を覚えていて欲しいのです。





                    (2008/08/04)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ