ほんの一瞬のロマンス260303
彼女と彼のほんの一瞬の出来事
その先のストーリーは・・・
彼は友人である彼女に連絡してみた
10日ほど前に車を運転中に偶然にも彼女と出会い
埠頭で彼女が淹れてくれたコーヒーを飲んで以来だ
『いつでも連絡してくれていいのよ』
という彼女の言葉に甘えて連絡したのだ
『この前は美味しいコーヒーをありがとう。今日、もしよかったら食事にでも行かないか?都合が合えば、だけど』
『ほんと?今日なら時間あるわよ』
『よかった。後で部屋まで迎えに行くよ。何が食べたいか考えておいてくれ。積もる話もあるかもしれないし』
『積もる話があるかもしれないって・・・あるんでしょう』
『うん、まぁお互いの近況報告とか、な』
『いいわ。出かける前に連絡ちょうだい』
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彼女の部屋のインターフォンが鳴った
『今着いたよ』
『どうぞ。上がってきて』
『この部屋に来るのは随分と久しぶりだ。あまり変わってないね』
『そりゃそうよ。そんなに変わってばかりじゃ身が持たないわ』
『そういえば、今日は雛祭りじゃないか。何かお祝い事しよう』
『やめてよ。そんな歳じゃないわ』
『分かってるよ。でも、一応・・・』
『やめて。そんなのはいらないの』
(彼女は端正な顔づくりだ。しかも要点だけを口にする。文字に起こすと冷たく感じるかもしれないが彼女は終始笑顔だ)
『分かったよ。で、何か食べたいものあるのかな?』
『わたし、ピッツァが食べたいの』
『オッケー。イタリアンだね。カジュアルな店を知ってる』
『それにビール。銘柄は「ハイネケン」でないとダメ』
『こだわりがあるんだね。よし、とりあえずその店に行こう。ハイネケンがあるかどうかまっ先に聞いてみよう』
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彼の運転で目的の店に着いた
『ピッツァを食べたいんだけど、ビールの「ハイネケン」はある?』
「はい。ございます」
これで決まりだ
彼は彼女がビールくらいで酔っぱらうことなどないことを知っている
酒に弱かったらピッツァの店にも行かなかっただろう
彼は彼女のグラスに「ハイネケン」を注いだ
彼女はひとしきり食べて呑んだ
少しだけ酔いが回ると饒舌になるのはいつものこと
彼は車の運転があるので飲み物はアップルサイダーにしている
お互いの近況報告も兼ねてひとしきり話した後
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『送っていくよ』
『うん、ありがとう』
彼女の部屋に着くなり
『泊まっていってもいいのよ?男性用のパジャマならあるの。ソファベッドもあるけど』
『今夜はいいよ。明日が早いんだ』
『あら、そうなの。でも今夜はありがとう。久しぶりにたくさん話せたわ』
『僕のほうこそありがとう。退屈な夜を過ごさずにすんだよ』
『またお話しましょ』
『ぜひ、そうしよう』
彼女は、彼がゲスト用のパーキングに停めた車に乗り込むのを部屋の窓から見て
手を振った
その先のストーリーは
ふたりの気持ち次第




