ゲームではなかった優しさ
「あんた!!こんな夜に外にいたのかい!?テントもなく!?馬鹿なのかい!!」
村の中は不思議とモンスターはいなかった。助かったと思いつつ、村を照らす松明の横で座り込んでいると通りがかった村人に怒られた。もっともその怒りは心配を多分に含んでいるもので、素直に苦笑いを浮かべながらすみませんと謝る。
「うちの近くは平和だけどそれでも暗がりでモンスターを何体も踏んで、群れに襲われることがあるんだぞ!!松明もテントもない!?何やってるんだ!!」
「すみません」
「命は1個しかないんだぞ!!無茶すんな、ほらこっちこい」
村人に引っ張られて行った先…そこは昼間も来た飯屋さんだった。
生憎もう営業時間外だったようだが。
「あんた帰りが随分早い…って昼間の人?ボロボロじゃないか、どうしたんだい」
「こいつこの暗さで村の外に居たみたいでな、入口でぐったりしてたんだ。今日は泊めてやってもいいかい?」
「ああ、もちろんさ。ほらこっちにおいで…」
店の奥、座敷のような場所に座らされて…初めての危機を乗り越えた安堵で身体が震えてくる。
「毛布はあるかい?あるんだね、じゃあここで寝な。部屋数が少なくて居間で悪いね。ほらこれもお飲み」
「ありがとう、ございます」
差し出されたのはマグカップに入った一杯のスープで、暖かく素朴なそれは……すごく体に馴染んだ。
涙が出そうなのを堪えて、暖かな目で見てくるご夫婦にペコペコを頭を下げ続ける。
こういった地方、宿屋がない村に来る場合はテントは必須だそうだ。
最悪テントがない場合は村に常設してある広場に泊まるものだそうだ。
「しっかりして見えたから気づかなかったよ、あんた新米さんだったんだねえ」
「はい…」
「まあここは平和なほうだから、新米向けの場所だから安心しな。なんならそうだね…明日から必要なら10銅貨で泊まらせてあげるよ。いいだろアンタ」
「ああ、構わないよ。銅貨がなかったら素材とかでもいいさ」
街に行けば宿泊施設や、街の中にテントを張れる場所もあるそうだ。
夫婦の優しさに甘えて銅貨を出すが…明日からで良いって言ったろ。そう言われて夫婦は銅貨を受け取ってくれずもう寝るからと言って隣の部屋に行った。
ゲームそっくりな世界でも
ゲームの知識はあっても
この世界は現実だった。
甘かった。甘すぎた自分にため息を着きながら毛布にくるまって転がって…ステータス画面を開く。




