8『……いすずが行方不明』
sideシャード
「……いすず?」
いつもあるぬくもりが無くなって目が覚めると…酷い頭痛に苛まれた。
これは…デバフか。
即座に状態異常回復薬を飲むと、スっと頭痛が消える。ステータス画面を見ると少しHPが減っていた。
村の中、家の中だからと……油断した。
着替えて即座に外に出ると早朝ということもあり村中は静まり返っていた。
……いや違う。扉を開けた音も聞こえなかった。
村が襲われている。その事実にサッと血の気が引く。
村や街は、モンスターには襲われないしモンスターは入って来れない。
神が、そう定めたから。
それは絶対のはずだが……あいつは神から頼まれごとをやっていると言っていた。
何が起こるのかは、わからない。
「ヤシロ!いるか!」
孤児院の隣にあったヤシロの家を叩いても返事がない。
120超えのヤシロがこの音で起きないわけがない。かと言って中に押し入ることも出来ないのでーーー通信機を取り出すも何故か画面が真っ黒で誰に連絡を取ることも出来なかった。
「くそっ、あのバカまたトラブルを起こして…!」
これは絶対にいすず絡みだ。それはいい、まだいいがーーーーーー絶対解決すべく一人で行った。
その事実に耐えきれない。
攫われた可能性も無くは無いが…なんとなく違うと思う。
「これもダメか…!」
石碑も起動しない。
仕方が無いので街を出て、モエモエのフィールドを走り出す。
これだけモエモエ達がいるのになんの音もしないことにうすら寒いものを感じながら走るとーーーー音が、復活した。
マッシュのエリアに移動した途端全ての音が復活して通信機も使用可能になっていた。
慌ててルイスに電話をかける
「ルイス…!出ろ、出ろ!」
『ーーーー…こんなじかんになんだよ』
「ライト村が襲われた!動けるやつナオタウンから来てくれ!ヤシロも反応がない」
『…すぐうごく。幹部グループに詳細のせといてくれ』
こんな時間に繋がったことに感謝をしつつーー急いで端的に幹部グループに情報を乗せる。
『モエモエエリアからライト村に何らかのデバフ空間有り
通信機、石碑使用不可
音が一切使えず頭痛や意識障害系の効果疑惑
ヤシロの家の扉を叩いたがヤシロ反応なし』
ギリギリと歯を食いしばりながら……
『……いすずが行方不明』
最後の一文は、指が震えながら打ち込んだ。
『使徒様、使徒様』
「どうかしましたか」
『申し訳ございません、お連れ様に使徒様の不在がバレてしまいました』
げ。帰ったらお説教確定だなあ、と思いつつ……シャードさんを出し抜ける気はしなかったので仕方が無いかと諦める。
「彼は強いですからね」
『もしかしてお連れ様は竜の因子が入っておられますか?』
「鱗の生えた尻尾を持ってますね」
『左様でございますか。竜の因子を持つものは番に重い執着を置きます。わたくしめの封印から抜け出されたのも納得です。素敵なパートナー様ですねえ』
とても愉快そうに言われ、褒められて照れるやら嬉しいやら。
この馬車の付喪神は意外と話が通じるのか……敵意は一切なくむしろすごい好意を感じる。
情報を色々と引っ張り出せないものか…。
「少し、話をしても?問題は無いですか?」
『はい、移動にも間引きにも問題はございません』
「間引き?」
『はい、モンスターが襲ってきますので現在はメイド人形めが撃退を致しながら走っております』
メイド人形ってあれかな……ボスのいる屋敷にいる凄まじく強いやつ。確か200レベルくらいの敵だったようだ…。
行くのも大変で、倒すのも大変で
なのにドロップするメイド装備はやたら人気で苦労して集めたものである。




