1地獄を延長する猛者
あるところに馬鹿な人がいました
20日かけてようやく手に入れた指輪を眺めて彼は言ったのです。
『これ、君の分も必要だよね』
と。
「もうやだよおおおお、飽きたよおおおおお」
「だってどの道やるんだろう、今だっていいじゃないか」
「気晴らししたいよおおお」
海中引きこもり30日目。
レベルが上がるに連れて110レベル帯の石碑なども開拓したおかげでレベルアップは相変わらず高ペースで行われ今や81。でもそろそろ2日で1レベルとかになり始めたのでメインクエストとか、狩とかしたいのに……シャードさんが海中から離してくれないのだ。
「ここで狩りも出来るようになったし、たまにライト村でご飯も食べてるじゃないか。何が不満なの」
「それただのクッキーとか美味しいご飯の調達だからあ!フィールドに、太陽の光を浴びて思いっきりクエストもしたいの!」
「サブクエなら毎日してるけど」
「そういうのじゃないってわかってるでしょ!それにクランにも顔出せって言われてるの知ってるんだから」
そう、そっぽを向いているこの男。クランからの要請もことごとく無視なのだ。
それなのに突然クランの専属鍛冶師の元に出向いて水晶など溜まった素材を全部押し付け
クランマスターには自分が使わない真珠や桃色水晶、さらには樹液などを押し売りし帰還している。
そりゃ事情説明くらいしろって鬼電もかけられるわ!
シャードさんが隠れないで堂々としだしたのにはきちんと事情がある。
この度、シャードさんは賢者にランクアップを果たした。
そのため強さも増して、物理的にも強くなったし…色々脅されてもランクアップ情報を盾にすれば何でも通せると、非常に悪い笑顔で言い放った。
「……あのねえ、このままじゃ私とシャードさんの差は埋まらないでしょ。だから、ちゃんと追いつきたいから一度別れましょってだけでしょ?夜にはシャードさんの元に帰ってくるってば。それに……頑張って早くレベルを上げてもシャードさんと装備差もあるし、そろそろ装備も作り出さないと…まだ私弱いんだからちゃんとしないと、ダメです」
「……わかったよ。僕が装備は作るから君はレベルを上げて来るといい」
最終手段、レベル差を盾にした本音のオネダリ。
そこまでしてシャードさんとの強制蜜月はようやく終わりを告げた……。装備はそう簡単に作れないよう、100レベルの装備をきっちりとお願いした。




