11保護者の心配
「なんで終わったらすぐに連絡しないの、僕言ったよね」
「え?だってお昼くらいまで掃討戦って言ってたじゃないですか。大丈夫、直ぐに終わっちゃったのでナオタウンに飛んで見つからないように人の気配を感知して採掘しましたから、シャベルで。それよりコレコレ!どうぞー!」
デデーンとパンケーキを取り出すと不機嫌シャードさんは見事に黙った。
ちょろいなと思いつつテーブルの上に2皿出す。
「…これ君が注文していた物でしょ。僕も食べていいのかい?」
「え、だってシャードさん甘いもの大好きでしょ?いらないんですか?」
「いるけどさ…」
何が言いたいのか分からないが、ご機嫌そうに椅子に座ってナイフとスプーンでパンケーキを切りそうな彼を…慌てて静止する。
「待ちましょうかシャードさん」
「…なに?」
「これはこのままでも充分美味しいはずです。ですが!!!罪のトッピング〜」
驚く彼の前でシロップの蓋を開けてパンケーキかける。
そんな私の様子をシャードさんは口を開けて唖然としながら見ていた。
「……は?え、き、君な、何かけて!?」
「まあまあ、とりあえず食べてくださいよ」
パンケーキと私をすごい勢いで見比べるシャードさんだったが……シロップをたっぷりからめて1口、食べると……撃沈した。
そんな様子をニマニマ見ながら私も椅子に座って1切れ食べる。
「んー!美味しーい!」
「………そんなレベルじゃないよ…5銀貨を軽くっぶっかけるなんて…くそっ美味い…」
文句言いながらもじっくり時間をかけてゆっくり味わって
食後にふうとお水を飲んで一息つく。
シャードさんは食べ終わると目元を抑えて項垂れていた。
「一応苦情は聞きますよ?聞くだけですけど」
「……君の非常識は今に始まったことじゃないと、痛感してるところだよ。それで、転職の方は問題なかったのかい」
「ええ、つつがなく。念願の範囲スキルも手に入れたし……これでデイリークエストをやりつつ、取っといたメインクエストをサクサク狩りをして進めようと思います」
石碑もある程度行きやすいところは開けたし、クエストアイテムも一部自力調達も出来るようになったし……そろそろ付きっきりじゃなくても高レベル帯の素材クエストを集めてさえくれれば、経験値スピードは保ったまま1人でも何とかできる。
それなのに……人といることが嫌いなはずのシャードさんは……私のソロ活動をとても心配して嫌がるのだ。この人、他人と一緒なの嫌だったはずなんだけど…ねえ。今も拗ねた顔でそっぽを向いている。
「心配なんだけど」
「困ったことがあればすぐに連絡しますから」
「……だって、心配なんだよ」
拗ねた様子から…甘えるように見つめられて、ちょっとクラっと来て…苦笑いを浮かべる。
「…じゃあ、心配する余裕を消しましょうか。シャードさん、あなたのメインクエストってどうなってますか」
「…何突然。僕のメインクエストは深海漁港で止まってるよ。なんか知らないけど指輪を納品しろってさ」
指輪、指輪…あー、やっぱりか。
ワルスタで全てのプレイヤーが絶望に至るという伝説のクエストだ。




