10魅惑のパンケーキ
「あら久しぶりだね。ちょうど良かった、あんたに頼まれてたスイーツの材料が揃ったよ。パンケーキ、マフィン、パウンドケーキなら行けるけどどうするかい?」
「パンケーキで!!」
お昼前という事で久しぶりにライト村の女将さんに逢いに来た。道中、コソッと採取した樹液や木の根、塩結晶を渡すと女将さんは嬉しそうにちょっと待ちなさいと言ってふっわふわのパンケーキを2枚焼いてくれた。
パンケーキ2枚の上にはバターが乗っていて…でも少し物足りない。
そうか、シロップをかけたいんだ。
「女将さんこれインベントリにしまっても良いですか?」
「いいよ、今度皿は返しとくれ」
「ありがとうございます。もう1人前って作れますか?」
「作れるけど…ああ、もしかしてシャードさんのぶんかい?」
「はい、お世話になってるので」
「任せな。あんたに貰ったシロップはあんたからの注文でしか使わないからね。まだ結構在庫はあるから色々作れるよ」
「わーい」
せっかくなら一緒に食べよう。ひとりで食べると恨まれそうだし…。そんな危機感を覚えてもう1人前頼むと女将さんは嬉しそうにパンケーキを焼いてくれた。
「仲良くやってるみたいじゃないか?」
「そうですね、良くしてもらったり虐められたりしてよく文句言ってますよ」
「あんた100くらいレベル差があるのによくやるねえ。あの人は暴力とか振るう人じゃないけどあんだけレベル差があったら怖くならないかい?」
「全然。シャードさんは本当にいい人で、からかいがいのある可愛い人ですよー」
焼きあがったパンケーキをインベントリにしまいながら雑談をしていると
見知った気配が現れるのを感じた。
うん、シャードさん絶妙のタイミングで現れるよねえ。
無言で後頭部をガシッと鷲掴まれた。
「誰をからかうのかな?」
「やだなあシャードさんに決まってるじゃないですか、いててて」
本人を前にして堂々と言い張ると頭がギリギリと締め上げられていく。
「君は!本当に!!」
「ちょ、ちょっと大丈夫なのかい?」
「いててて、ああ、大丈夫いつもの事です」
「いつもこんなことさせないでくれるかな!?女将さんこれ僕から差し入れ。今度料理して、今はちょっとこれ連れていくので忙しいから」
「あ、ああ、わかったよ。お代はその時に払うね」
そのまま頭を掴まれたままシャードさんが何かを渡してるのを見て、店の外へと連れていかれる。
うん、鷲掴みで宙吊りされてないだけまだ怒ってないな。そう判断していつものごとくプレハブ小屋に連れていかれて、扉はきっちりと閉められた。




