初めての村
「おおー、うわ懐かしいなあ」
ゲームでさんざん見た風景。
一番平和なここは門や壁といったものも無くゲームと同じ世界観の家が数件並んだ村には一時間も移動しないうちに到着した。
確か初期村には雑貨屋とクエスト受注のNPCが数人いたはずだが……生憎そこはゲームとは違い雑貨屋、飯屋と住民がいるだけだった。
宿屋がないって?
そういえばあのゲームの世界に宿屋は存在しなかった。
HP,MPは自動回復するので休息の必要性が無かったのだが………お、大きな街に行けばさすがにあるよね。
「こんにちは、食べ物って売ってますか」
「こんにちは!!見ない顔だね、飯は売ってるしモエモエのジェルからの加工もできるよ!!」
「あー、じゃあ加工でお願いします。1個いくらですか」
「ジェル5個でパンが3つで銅貨3枚だよ!!」
飯屋のお姉さんに言われるままにジェルとお金を渡すと、彼女は目の前で……さっと、食料錬金を始めた。
これはワルスタの中のやり込み要素のひとつ。
メインの職業の他に取れるサブジョブ調理人のスキルだ。
ワルスタは食品から、武器防具に至るまで全てモンスターによるドロップから加工をしていた。それは知っていたはずだが……実際に目の前で、液状のジェルはパンになる風景にはちょっとショックを受ける。
「はいよ、美味しくできたよ」
「ありがとうございます。ちなみにジェル無しだとこのパンは1個いくらなんですか?」
「ジェル無しだと1個銅貨3枚だね。ちなみにジェルの買取は10個で7銅貨だよ。お客さん水はいらないのかい?水の加工も出来るけど」
「あ、お水もお願いします。じゃあ25個のジェルを渡すのでお水と適切な値段で買取よろしくお願いします」
「わかった、じゃあ15銅貨とサービスでお水は三本つけておくよ」
「ありがとうございます」
ふわふわで美味しそうなパン3つと、水瓶3つ。
それらをインベントリにしまって、飯屋を後にする。
……食を極めるなら調理人もいいけどなあ……
村の広場にベンチがあったので、そこで座って食事を摂る。モエモエのジェルから出来たパンは思いのほか美味しかった。それこそ毎日食べれそうな程だ。
「でもま、ランクアップを狙うならサブジョブは『採掘者』一択だ」
お行儀は悪いがもそもそとパンを食べながらステータス画面を開く。
夕凪いすず
メインレベル3(ステータスポイント残り3)
スキルレベル3(スキルポイント残り3)
クラス--
職業--
HP10/10
MP10/10
見慣れた初期画面に懐かしさが込み上げつつ、職業をタップするとそこにはずらっと無数の職業リストが広がった。




