お説教
ツルハシでの採取は、なかなかに大変だった。振り上げて下ろす、それだけでも大変なのになかなか狙いが定まらないのだ。
下ろした先が狙いと違ったり、振り下ろす時の力が抜けちゃってまっすぐ落ちなくって力が分散したり、とにかく安定して採取できないのだ。
「うーん、石材採取は採取レベル6にしたあとの方がいいかな」
採掘レベル5
-採取時間が短縮される。土や砂や木材や石材も採取できる
なお採掘成功率は感知に依存する
---NEXTレベル6 採取効率が向上する。
レベル6の効果で効率が上がれば、かなり楽になるだろう。
でもそろそろこの付近ではレベルが上がりにくくなってきたので…次の狩場に行くのなら攻撃の方にスキルを振りたい。
「うん、採取はしばらく5で止めてレベル上げと金策をしよう。レベル10で取れるクラススキルはどっちも優秀だからとりたいしね」
ぶっちゃけるとガンナー初期スキルのショットは、感知に全振りをしていればレベルをあげなくてもいい。
だがレベル10で取れるスキルは必須級だし…採掘者のスキルも有能だ。それこそ、石が掘れなくてもまだ問題はないほどに。
そんなことを考えていてはっと気づく。
やばい!!デイリークエストやってない!!!!
時刻はもう夕方だがまだ間に合う!!
私は全力でモエモエ狩りに走った。
「遅い!!」
「はえ?」
モエモエのジェルを急いで集めて村にもどると、すっかり日が暮れて真っ暗で。
村の入口にある石碑の横には昼間あった魔術師さんが苛立った様子で待っていた。
「こんな暗くなるまで戻らないなんて何を考えているんだ!君は先日も遅くなってボロボロになったばかりなのだろう?危機管理能力に欠けているのではないのか?」
「それは…すみません…」
たしたしと苛立たしそうに尻尾を床に叩きつけながら怒る魔術師さん。
飯屋のおばさんに聞いたのかなと思いながらとりあえずモエモエのジェルを石碑に収めて、彼と向き合う。
「えーっと…自分を待っていましたか?」
「ああ、君を待っていた。君に頼みたいことがあってな。だがその前に早く飯屋に行こう、女将さんが君を心配している」
「え、あ、はい。わかりました」
行くぞ、と扇動されてぼーっと彼の尻尾を見ながら歩く。
青緑色の綺麗な鱗がすごい生えた尻尾だ。
「ちょっと遅かったじゃない!!えーっと…名前は…」
「あー…いすずです」
「いすずね!!あんたはもう、また心配かけて!冒険者さん、いすずを保護してくれてありがとうございました」
「気にしなくていい。僕はやるべき事を成しただけだ
。それより僕からも叱ったが貴女からもきっちり叱った方がいい」
「ええ、ええ、それはもちろんです。いすず、今日もうちに泊まりなさい?いいわね?あなたご飯は?冒険者さんもよろしければ如何ですか?」
「貰おう」
これは後でお説教だ。それを覚悟に決めながらもちょっと待ってもらおうと手を挙げる。
「ご飯も宿泊もありがたいので良いんですが、食事の前にに雑貨屋さんに行ってもいいですか?装備が壊れたので注文をしておきたいので」
「あんた!!装備が壊れても帰ってこなかったのかい…!!」
「あー違います違います、モンスターと戦う装備は無事ですから!!さすがにそこまで馬鹿じゃないですから!」
「……そうかい、なら美味しいご飯を作ってあげるから早くいっておいで」
女将さんにプンプン怒られているけれど心配されているのがくすぐったくって嬉しい。
と、その前にだ。まずは今日の成果を女将さんに渡そう。もしかしたら晩御飯が豪華になるかもだし。




