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第3話:三枚目悪役令嬢、密輸団をなぜか仲間にする


【怪しい大商人、怪しい依頼】


豪華な馬車から降りた商人は、名刺もなくただこう言った。


「ワタシの名はゴールドマン。一つ仕事を頼みたい」


ミントの目がキラキラ輝く。


「はい! 何でもやります! …ちょっとだけ!」

「『国境の密輸団』を知っているか?」


一瞬、空気が凍りつく。クローディスとロイドが同時に警戒の姿勢をとる。


「…密輸団だと?」

「ああ。奴らはワタシの商路を邪魔している。壊滅させてほしい」


ロイドが冷静に反論する。


「それは…私たちの手に余る仕事です。私たちは小さな便利屋に過ぎません」

「なら出資はない」

「えー!? 待って!」


ミントが前に出る。


「壊滅させればいいんでしょ? やり方限定?」

「…いや、手段は問わん」

「じゃあOK! 引き受けます!」


「ミントさん!?」(ロイドとクローディスの二重唱)


【作戦会議:三枚目プラン】


空き家(自称店舗)に戻り、緊急作戦会議。


「まったく…なぜ引き受けた」

「だって、出資してもらえるんだよ? 店が大きくなるかも!」

「まず生き延びなければ意味がありません」


クローディスが地図を広げる。


「国境の密輸団…聞いたことがある。元々は農民たちが生き延びるために始めた、小さな密輸グループだったらしい」

「え? 悪い人たちじゃないの?」

「最近、粗暴な者がリーダーになり、悪質化していると噂だ」


ミントは考え込む。


「じゃあ、悪いリーダーだけやっつければいいってこと?」

「…単純すぎるが、本質はそうかもしれん」


その時、外から声がする。


「…その話、聞いちゃったんだけど」


大家が入ってきた。


「密輸団、オレも顔を知ってるよ」

「本当!?」

「ああ。リーダーのバルガスって奴、確かにクソ野郎だ。だが、手下の連中は…ただ食うためにやってるだけだ」


【三枚目交渉術:正面突破】


「よし! じゃあ直接会いに行こう!」

「待て!?」(一同)


でもミントはもう聞いていない。


数時間後、国境の密輸団のアジト前。


「おーい! バルガスさんいるー?」


看守たちが剣を抜く。


「小娘、何しに来た!」

「交渉! 『何でもちょっとだけ屋』のミントです! お仕事の提案があるんです!」

「…は?」


ロイドとクローディスは陰に隠れ、冷や汗をかいている。


「とにかくリーダーに会わせて! 話だけならタダだよ!」

「…待て。面白い。入れてやれ」


重々しい声が中から響く。


【バルガス、三枚目に翻弄される】


アジトの中は、思ったより質素だった。が、中央に座る男・バルガスは確かに凶悪な風貌。


「で、小娘。何の用だ」

「あなたの仕事、買い取ります!」


一同:「「「え?」」」


バルガスは目を細める。


「…買い取る? ここの密輸ルートをか?」

「うん! だって、あなたたちより私たちがやった方が効率いいと思うから!」

「ふん…効率がいいと? どうやって証明する?」


ミントは胸を張る。


「まず、あなたたち今、月どれくらい儲けてるの?」

「…教えるわけあるか」

「大体でいいよ! だって、もっと儲かる方法知ってるんだから」


バルガスの部下が一人、小声で呟く。


「…親分、今月は厳しいですよ。あの商人ゴールドマンに締め上げられて…」

「黙れ!」


でもミントは聞き逃さない。


「あ! ゴールドマンさんに困ってるんだ! じゃあなおさら!」

「…お前、ゴールドマンの手下か?」

「違うよ! ただの便利屋。でもね…」


ミントはにっこり笑う。


「ゴールドマンさん、私たちに出資してくれるかもしれないんだ。もし私たちがあなたたちのルートを『合法的な商路』に変えられたら」

「合法的に? そんなことできるわけ──」


「できるよ!」


突然、クローディスが声を上げる。全員が彼を見る。


「…失礼。だが、私は元貴族で、法律と税制に詳しい。密輸ではなく、辺境特例法を使った合法貿易なら…」


バルガスはクローディスをじっと見る。


「…お前、どこかで見た顔だな」

「気のせいでしょう」

「いや…まあいい。で、具体的にどうする?」


【三枚目法律講座】


クローディスが詳細を説明し始める。


「辺境には『自活支援法』がある。一定の条件を満たせば、関税が免除され…」

「うんうん、それで?」

「…ミントさん、聞いてますか?」


ミントはあくびをしている。


「法律の話はよくわかんないよ…でも、要するに『合法で儲かる』んでしょ?」

「…まあ、そうだ」


バルガスは腕を組んで考える。


「…だが、ゴールドマンが黙っていると思うか? あの男、この辺境の利権を一手に握りたいんだ」

「それなら!」


ミントが手を挙げる。


「ゴールドマンさんとも一緒に仕事すればいいじゃん!」

「は?」

「だって、彼も儲けたいだけなら、私たちの方が効率いいって証明すればいいんでしょ? みんなで儲かれば、争わなくていいじゃん」


一同はまたも言葉を失う。


「…お前、本当にただの便利屋か?」

「そうだよ! 『何でもちょっとだけ屋』だよ! 今回は『国境問題をちょっとだけ解決』って感じ!」


【ゴールドマン、三枚目に巻き込まれる】


翌日、ミントはゴールドマンを密輸団のアジトに連れてきた。


「ゴールドマンさん、ここです! バルガスさん、こんにちは!」


二人の男は火花を散らして睨み合う。


「お前が…」

「ふん、よく来たな、守銭奴」


「待って待って! まずは話を聞いて!」


ミントが間に入る。


「ゴールドマンさん、あなたは儲けたいんでしょ?」

「…当然だ」

「バルガスさん、あなたも儲けたいんでしょ?」

「…生活のためにな」


「じゃあ、一つ提案!」


ミントが大きな紙(裏は店のメニュー)を広げる。


『辺境三者協定(案)』


1. バルガス団:ルートと人手を提供

2. ゴールドマン:資金と販路を提供

3. 私たち:法律対策と調整役


「…調整役?」(ゴールドマン)

「そう! 私たちが揉め事を解決する! 代わりに…手数料をもらう!」

「…何パーセントだ?」


ミントは指を折り始める。


「えっと…一割で…いや、ちょっとだけだから半割で…あ、でも半割ってどう計算するんだっけ?」


クローディスがそっと囁く。


「…5%です」

「あ、そうか! 5%で!」


ゴールドマンとバルガスは顔を見合わせる。


「…5%か。安いな」

「それで揉め事を解決してくれるなら…」


二人がうなずく。


「「…よかろう」」


「やったー! じゃあ、契約書書こう! …クローディスさん、書いて!」

「なぜ私が…まあいい」


【三枚目契約調印式】


契約書ができあがる。が…


「これ、条文が…『揉め事があった場合、ミントの言うことを聞くこと』?」

「だって、私が解決するんだから!」

「『儲けは正直に報告すること(嘘をついたらぬいぐるみ没収)』?」

「ぬいぐるみは大事だから!」


ゴールドマンはため息をつく。


「…まったく、子供の遊びのような契約だ」

「でも、これなら破りにくいでしょ? だって、ばれたら恥ずかしいもん」


意外なことに、それが効いた。


「…確かに、紳士として、こんな契約を破るわけにはいかんな」

「お前が紳士かどうかは疑問だが…まあ、いい」


三人がサインする。


辺境貿易連合『ちょっとだけ同盟』発足!


【新メンバー:元密輸団員たち】


契約が済むと、バルガスが部下たちを前に並べた。


「おい、みんな聞け。これからは合法で働く」

「えー!?」(部下たち)

「文句あるか?」

「い、いえ…」


一人の若い団員が手を挙げる。


「で、でも親分…俺たち、字もろくに読めないし、計算も…」

「あ! それなら!」


ミントが飛び出る。


「私たちが教える! 『何でもちょっとだけ屋』、新事業『ちょっとだけ塾』開校!」

「…いつの間に」(ロイド)


クローディスはまた頭を抱える。


「…ますます経理が複雑になる」

「でも面白いでしょ?」


【ゴールドマンの本心】


後日、ゴールドマンが一人で店を訪れる。


「…小娘」

「あ、ゴールドマンさん! どうしたの?」

「あの契約…本当に5%でいいのか?」

「うん! だって、私たち『ちょっとだけ』だから!」


ゴールドマンは珍しく笑った。


「…ふん。実を言うと、ワタシはてっきり、お前がバルガスを倒してくれれば、後はワタシが独占できると思っていた」

「え? でもそれじゃ、バルガスさんたちかわいそうじゃん」

「…それが、お前の考えか」


彼はしばらく黙ってから言った。


「…ワタシの故郷も、辺境だった。貧しくて、盗みを働かなければ生きられなかった」

「あ…」

「ワタシは商才で這い上がった。だが、多くの者は這い上がれない。バルガスたちは、昔のワタシと仲間たちだ」


ミントはきょとんとする。


「じゃあ、なんで潰そうとしたの?」

「…情が邪魔になるからだ。だが、お前の方法なら…」


ゴールドマンは大きく頷いた。


「…これでいいかもしれん」


【みんなでちょっとだけパーティー】


その週末、店の前で小さなパーティーが開かれた。


参加者は:


· ミント&ロイド&クローディス

· バルガスと元密輸団員たち

· ゴールドマンと従者

· 大家と娘

· そして狼のガルル


「じゃあ、乾杯! 『ちょっとだけ同盟』発足祝い!」

「「「乾杯!」」」


バルガスがゴールドマンに杯を掲げる。


「…今までは悪かったな」

「ワタシもだ。だが、これからはうまくやろう」

「ああ」


ミントは嬉しそうに見ている。


「ねえロイド、見て! みんな仲良くしてる!」

「…なぜかそうなりましたね」

クローディスがそっと微笑む。

「これが、ミントさんの力なんでしょう」


その時、大家が近づいてきた。


「…三枚目娘」

「なに?」

「お前の店、もう一ヶ月経つぞ」

「あ、そういえば! 家賃どうしよう…」

「…今月は免除だ」

「え!? なんで!?」

「町がにぎやかになったからな。娘も…楽しそうだ」


大家の娘は元密輸団の若者たちに囲まれ、字の書き方を教わっていた。


「…ありがとう、大家さん!」

「ふん。でも来月からはきちんと払えよ。ぬいぐるみだけでは済まさんからな」

「はい!」


【予告:次は…王族が!?】


パーティーの最中、一人の旅人が町に入ってくる。


「…ここが、噂の『何でもちょっとだけ屋』か」


彼は貴族風だが、どこか落ち着きがない。


店の前で、彼はため息をつく。


「…ここに匿ってもらえれば、あの忌々しい政争から逃れられるかもしれん」


中から楽しそうな笑い声が聞こえる。


「なんだ、賑やかなところだな…よし、頼んでみよう」


次回:三枚目悪役令嬢、今度は亡命王族を拾う!?

「私は国の第二王子…政争から逃れてきた。匿ってくれ」

ミント:「え? でもうち、もう経理と元密輸団と大商人でいっぱいなんですけど!」

…なぜか王族まで仲間になる、三枚目パワー全開!

 第4話:三枚目悪役令嬢、有名王様と奴隷娘を無理やりカップルにする


【突然の大人物登場】


パーティーの余韻が残る朝、店の戸が勢いよく開いた。


「すまぬ、ここが『何でもちょっとだけ屋』か?」


入ってきたのは、一見して「ただ者ではない」男だった。金糸で刺繍された外套、しかし泥で汚れている。威厳のある風貌、しかし目の下に隈がある。


クローディスが瞬間に警戒する。


「…お前は」

「名を名乗るのも憚られる身分だ。ただ…助けてほしい」


ミントは洗い物の手を止めて振り返る。


「はい! 何でもやります! …ちょっとだけ!」

「…『ちょっとだけ』でいい。ただ数日、匿ってくれ」


ロイドが一歩前に出る。


「まずはお名前を。匿名では困ります」

「…ジルと言う。それ以上は」


その時、外から馬の蹄の音と怒鳴り声が聞こえる。


「ここらへんまで来たはずだ!」

「分かれて探せ!」


男…ジルの顔が強張る。


「…追手だ。隠してくれ」

「え? でもうち、隠すところなんて…あ! これ!」


ミントは大きな洗濯籠を指さす。


「ここに入って!」

「…籠に?」

「早く! その上に洗濯物かぶせるから!」


ジルは仕方なく籠に入る。ミントがざっくり洗濯物をかぶせた瞬間、戸が叩かれる。


「開けろ! 逃亡者を探している!」


【三枚目かくまい術】


「はいはいー、今開けますよー」


ミントがのんびり戸を開ける。そこには武装した騎士たちがいた。


「お前、変な男を見なかったか?」

「変な男? いっぱいいるよ! だって辺境だもん」

「金髪で、背が高く、威厳のある風貌の!」

「あー…さっき見たかも。でも、もうずっと先に行っちゃったよ」


騎士の一人が店の中を覗き込む。


「…お前の店、客が多いな」

「はい! 今日は大掃除の日で、みんな手伝いに来てるんです!」


確かに店内には:


· 元密輸団員たち(字の練習中)

· ゴールドマンの部下(帳簿整理を手伝い中)

· 大家の娘(ぬいぐるみと遊んでいる)


混沌としていて、確かに「大掃除の手伝い」には見える。


「…怪しいな」

「でもさー、あなたたち、休んだら? お茶入れるよ」

「…いい。急ぐ用事がある」


騎士たちは去っていく。ミントがほっとする。


「よかったね、ジルさん! …あれ?」


洗濯籠から、ジルの代わりに一人の少女が出てきた。


「え? あなた誰?」

「す、すみません…私、隠れてたんです…」


少女はぼろぼろの服を着て、首には奴隷の首輪がついていた。


「あれ? ジルさんは?」

「そ、その方なら…」


洗濯籠の下から、もぐもぐと音がする。洗濯物を持ち上げると、ジルが押しつぶされていた。


「…息が…」

「あ! 大丈夫! 起きてー!」


【二つの“匿って”】


ジルが息を吹き返し、少女が説明する。


「私はエリア…奴隷商人から逃げてきたんです。この方も隠れてらして…」

「そっか! 二人とも追われてるんだ!」


クローディスがため息をつく。


「…ますますややこしくなる」

「でも、かくまうでしょ? だって、困ってるんだもん」

「ミントさん、私たちは便利屋です。亡命者のシェルターでは…」

「でも『何でも』って言ったじゃん! これは『かくまいをちょっとだけ』!」


ロイドが少女の首輪を見て眉をひそめる。


「…奴隷制度は、この国では違法だ」

「え? でも彼女、首輪ついてるよ?」

「闇の奴隷市場がある。特に辺境では…」


エリアがうつむく。


「…私、生まれた時から奴隷でした。でも、主人が…」

「もういいよ! とにかく、ここにいれば大丈夫!」


ジルがようやく立ち上がり、エリアを見る。


「…お前も、追われているのか」

「はい…」

「ふむ。ならば、同じ境遇と言えるな」


【ジルの正体:でもミントは知らない】


その夜、クローディスがロイドに小声で言う。


「…あの男、知っているな」

「え?」

「ジルベルト三世だ。隣国ローレンスの国王だよ」

「なっ!?」

「声を潜めろ。なぜ辺境に…しかも、あの姿で」


一方、ミントは二人に毛布を配っている。


「はい! これで寝てね。でも一つしかないから、仲良く使って!」

「…一つ?」

「うん! だって、私の寝袋貸すわけにはいかないし、ロイドたちのも貸せないし」

「ならば、私が遠慮しよう」

「ダメ! 二人ともお客さんなんだから!」


エリアが恐る恐る提案する。


「…私、床で寝れますから」

「それもダメ! じゃあ…こうしよう!」


ミントは毛布をちょうど真ん中に置く。


「これで仕切り! 右がジルさん、左がエリアちゃん!」

「…それ、仕切りになっていない」

「大丈夫! 信頼があれば!」


ジルとエリアは顔を見合わせ、困ったように笑う。


【三枚目お見合い大作戦】


数日後、ミントはある“気づき”を得る。


「ねえ、ロイド」

「はい?」

「あの二人、なんか相性よくない?」

「…どういう意味です?」

「だって、ジルさんがご飯食べてると、エリアちゃんが水を差し出すし、エリアちゃんが寒そうにしてると、ジルさんが外套を貸すし…」


クローディスが眉を上げる。


「…確かに、不自然なほど気が合うな」

「でしょ! だから…」


ミントの目がきらりと光る。


「カップルにしよう!」

「「え?」」


「だって、二人とも孤独そうじゃん? だったら一緒になれば、二人とも幸せになれるよ!」

「…あまりに単純すぎる」


でもミントはもう計画を立てている。


作戦①:二人きりの食事


「今日の当番、ジルさんとエリアちゃんでお願いね!」

「…なぜ?」

「だって、ロイドは町の買い出し、クローディスさんは帳簿、私は…忙しいんだから!」

(実際は隣の部屋でこっそり覗いている)


結果:二人はほとんど喋らず、しかし不思議と息が合っている。


作戦②:共同作業


「この部屋の掃除、お願いします! ジルさんが高いところ、エリアちゃんが低いところ!」

「…了解した」


掃除中、ジルが本棚から古い本を取り出す。


「…これは」

「何ですか?」

「哲学書だ。お前、読めるか?」

「…少しだけ。主人が…教えてくれました」


二人は本を囲んで話し始める。ミントは隠れてガッツポーズ。


作戦③:危機一髪(偽)


「大変! ネズミが出た!」

「どこだ!?」(ジル)

「きゃっ!」(エリア、思わずジルにしがみつく)


実はネズミはおらず、ミントが「チューチュー」と鳴いていただけ。


「…ミント、お前」

「あ、ばれた?」

「ばれている」


【ジルの本音:王であることの孤独】


ある夜、ジルが一人で月を見ている。エリアがそっと近づく。


「…おやすみなさい、ジル様」

「…もういい、『様』などと呼ぶな」

「でも、あなたは明らかに高貴な方で…」

「高貴など、ただの飾りだ」


ジルはため息をつく。


「私は…逃げてきた。王位を、国を、全てを」

「なぜですか?」

「政争だ。弟が王位を狙い…もはや、信じられる者がいなかった」


エリアは黙って聞く。


「お前はどうだ? 奴隷として、生きる意味を見いだせたか?」

「…意味、ですか。私はただ、生きるだけで精一杯で…」


ジルはエリアを見つめる。


「…お前は、私の王妃たちよりずっと賢い。彼女たちは宝石と権力しか見ていなかった」

「そんな…」

「いや、本当だ。お前は…『人』として私を見てくれる」


その時、ミントが突然現れる。


「わあ! すごい告白シーン!」

「お、お前…聞いていたのか!」

「うん! で、ね、その調子でプロポーズしちゃえば?」

「馬鹿を言え!」


【追手再び:でも今回は仲間がいる】


またしても騎士たちが町に現れる。今回は規模が大きい。


「ジルベルト国王陛下! お出ましください! 弟王太子が、あなたの安全を心配されています!」


町中が騒然とする。


「…国王?」

「あの匿われてる男が?」


店内、ジルが顔を強張らせる。


「…ついに来たか」

「ジルさん…あなた、国王なの?」

「…すまなかった、隠していた」


エリアが震える。


「…私、国王様に…」

「エリア。私は今、国王ではない。ただの逃亡者だ」


その時、バルガスとゴールドマンが入ってくる。


「おい、三枚目娘。騒ぎだな」

「あ、ちょうどよかった! 助けて!」

「…国王の騒動に巻き込まれるのは、商売上よろしくないがな」

(ゴールドマン)


クローディスが決断する。


「…ミントさん、私が出よう」

「え? でもクローディスさんも追われてるんでしょ?」

「私より、国王の方が重要だ。私がおとりになれば…」


「ダメ!」


突然、みんなが口を揃える。


「え?」(クローディス)

「クローディスさんは、もう私たちの仲間だよ!」(ミント)

「そうだ。経理はあんたにしかできない」(バルガス)

「…ワタシも同意見だ」(ゴールドマン)


【三枚目解決法:結婚しちゃえ】


「じゃあ、どうする?」

「…私が出るしかない」

「待って!」


ミントがまた目を輝かせる。


「エリアちゃんと結婚すればいいじゃん!」

「「なっ!?」」


「だって、国王が平民と結婚したら、政略結婚できないでしょ? それで弟さんも諦めるかも!」

「…あまりに荒唐無稽だ」

「でも、さっき告白してたじゃん! 『お前は人として私を見てくれる』って!」

「それは…!」


エリアの顔が真っ赤になる。


「…私みたいな奴隷が、国王の妃になんて…」

「なれるよ! だって、ジルさんが好きなら!」


ジルはエリアを見つめる。


「…お前は、どう思う?」

「え? でも…」

「国のためではない。私のためだ。お前が…私の隣にいてくれるか?」


沈黙が流れる。


「…もし、私のような者でよければ」

「お前のような者でなければならない」


ミントが飛び跳ねる。


「やった! じゃあ、すぐに式を!」


【辺境式挙式:証人は全員元犯罪者】


その日のうちに、結婚式が執り行われた。


司会:ミント

新郎:ジルベルト三世(変装中)

新婦:エリア

証人:元密輸団員たち、元奴隷の少女、亡命貴族、怪しい商人、大家と娘、狼一匹


「えー、それでは結婚式を始めます! …あ、指輪ないや」

「…これを使おう」


ジルが自分の王冠から宝石を一つ外す。エリアの首輪を外し、その宝石を埋め込んだ指輪にする。


「…首輪を、指輪に」

「自由の証だ」


式の最中、騎士たちが到着する。


「国王陛下! 何を!」

「見るがいい! 私は今、結婚した」

「しかし相手は…奴隷ですぞ!」

「もう奴隷ではない。わが妃だ」


騎士たちは動揺する。


「…弟王太子には、どう説明すれば」

「こう伝えよ。『私は辺境で真の愛を見つけた。王位は弟に譲る。ただし、この町とその住民を、二度と脅かすな』と」


【意外な展開:でもハッピーエンド】


数日後、弟王太子からの使者が来る。


「…兄上、本当に王位を放棄されるのですか?」

「ああ。しかし、一つ条件がある」

「なんですか?」

「この国の奴隷制度を、全面廃止せよ」

「…それは、貴族たちの反発が」

「私が説得する。いや…『元国王』として、最後の命令だ」


エリアがそっとジルの手を握る。


「…ありがとう」

「いや、私の方こそ。お前が…全てを変えてくれた」


そしてミントには、報酬が。


「これだ。王室の勅許状だ」

「え? なんですかこれ?」

「『何でもちょっとだけ屋』を、王室公認の店とする。関税免除、移動の自由…全ての特権を与える」


一同:「「「おおーっ!」」」


「でも…なんで?」

「お前が、私に『人としての幸せ』を思い出させてくれたからだ」


【新たな日常:王妃となった元奴隷】


ジルとエリアは、しばらく辺境に留まることになった。


「国には戻らないのですか?」

「すぐにはな。まずは、ここで『普通の夫婦』として過ごしたい」


エリアは『ちょっとだけ塾』の先生になる。


「私、字を教えるの、好きかも」

「なら良かった」


ジルは…相変わらずミントたちと行動する。


「陛下、なぜ…」

「もう『陛下』と呼ぶな。そして、ここにいる方が面白いからだ」


ある日、エリアがミントにこっそり話す。


「…実は、お腹に赤ちゃんが」

「え!? すごい! で、ジルさん知ってる?」

「まだ言えてないんです…」

「じゃあ、私が伝える! …ちょっとだけ!」


ミントがジルに駆け寄る。


「ジルさん! おめでとう!」

「? 何がだ?」

「エリアちゃんが…あ、自分で言う方がいいか。でもとにかく、おめでとう!」

「…どういうことだ?」


次回:三枚目悪役令嬢、今度は出産介助!?

「え? 赤ちゃん? でもうち、産婆さんじゃないよ! …まあ、なんとかなるでしょ!」

…なぜか辺境に王族の子が誕生することに!


 第4.5話:三枚目悪役令嬢、出産に麻薬をぶち込むと言い出す


【衝撃の報告と、三枚目過激発言】


「えー!? エリアちゃん、赤ちゃん!?」


ミントの声が町中に響き渡った。


ジルは真っ青になってエリアを見つめる。


「ま、まさか…」

「はい…ごめんなさい、まだ言えなくて…」


一同は祝福の言葉を探すが、その前にミントが炸裂する。


「すごい! じゃあ、すぐに準備しないと!」

「…準備?」(ジル)

「うん! 布団と、お湯と、はさみと…あ、痛み止めの麻薬!」


沈黙。


「…麻薬?」(ロイド)

「だって、痛いんでしょ? お産って。だったら麻薬ぶち込んどけば、何とかなるよね?」

「何ともならない!!」(一同)


【クローディスの医学講義】


クローディスが額を押さえながら説明する。


「ミントさん、麻薬は出産には使えません。母子ともに危険です」

「え? でも痛いのはかわいそうじゃん」

「そのために、産婆さんがいるのです」


エリアが小さく言う。


「…この辺境に、産婆さんなんていません」

「え!? じゃあ、誰が取り上げるの?」

「…誰も」


一同が凍りつく。


ジルが拳を握りしめる。


「私は…何も知らない。王宮では、何事も専門家がやってくれた…」

「じゃあ、私がやる!」


ミントの宣言に、全員が「え!?」となる。


「だって、『何でもちょっとだけ屋』でしょ? 『出産をちょっとだけ手伝う』も、業務範囲内!」

「それはちょっとだけじゃない!!」(ロイド)


【三枚目産婆特訓】


第一日目:本で学ぶ


「よし、この『出産大全』を…って、字が多い!」

「ミントさん、読んでください」(ロイド)

「でも…わかんない単語ばっかり。『会陰』って何? 美味しいの?」


クローディスが顔を覆う。


第二日目:体験談を聞く


近所の老婆を招いて話を聞く。


「お産か…ふふ、私は十三人生んだぞ」

「すごい! で、麻薬は…」

「使わん! 自然が一番だ!」

「でも痛くないの?」

「痛い! 死ぬほど痛い! でも、その痛みを忘れるくらい、赤ちゃんがかわいいんだ!」


ミントはますます不安になる。


第三日目:実践練習(?)


「よし、人形で練習! …あ、人形ないや。じゃあ、ぬいぐるみで!」


ミントはガブガブ君(熊のぬいぐるみ)を前に、大真面目に構える。


「よし、エリアちゃん、頑張って! …って、ぬいぐるみから赤ちゃん出てこない」

「当然です」(ロイド)


【麻薬騒動:でもやっぱりダメ】


ミントはある“アイデア”を思いつく。


「ねえ、ゴールドマンさん」

「なんじゃ?」

「麻薬、持ってない?」

「…なぜ聞く?」


「エリアちゃんが痛がるから、少しだけ…」

「絶対にダメだ!」


ゴールドマンが珍しく声を荒げる。


「ワタシは商人だ。危険なものは扱わん。それに…」


彼は遠い目をする。


「…ワタシの妹も、お産で死んだ。麻薬のせいではないが、無理は禁物だ」

「あ…ごめん」


バルガスも意見する。


「おい、三枚目。無茶はやめろ。お前が失敗したら、俺たち全員が国王に斬り捨てられる」

「でも…」


その時、エリアが優しく笑う。


「ミントさん、大丈夫です。私…強いから」

「エリアちゃん…」


【意外な助っ人:元密輸団の老婆】


困り果てた時、バルガスが一人の老婆を連れてくる。


「おい、三枚目。こいつをあてがう」

「あ、こんにちは! あなたは?」

「…グランマ・マヤだ。密輸団の裏で、産婆をしていた」


一同が驚く。


「え!? マヤばあさん、産婆だったの!?」

「黙れ、小僧。で、王様の子か…面白い」


マヤはエリアをじっと見る。


「…体は丈夫そうだ。問題ない」

「本当ですか!?」

「ああ。だが、準備は必要だ。お前たち、手を貸せ」


【三枚目出産サポートチーム結成】


マヤの指揮で、チームが編成される。


総指揮:マヤ


「お前、そこの高貴な方。ただ立ってないで、手を握れ」

「…か、了解した」(ジル)


熱湯担当:ロイド


「清潔な布とお湯を。沸かすのは…騎士ならできるな?」

「はい、任せてください」


道具担当:クローディス


「はさみは煮沸消毒を。糸は…」

「これでいいか?」(バルガスが医療用の糸を出す)

「なぜ持っている!?」

「…密輸品だ。使えそうだから取っておいた」


雑用&励まし担当:ミント


「私は何するの?」

「…邪魔にならない場所で、祈ってろ」

「えー!? でも私、励ましたい!」

「だったら、外で騒ぐな。中が落ち着く」


【出産当日:三枚目パニック】


その日は突然やってきた。


「…きた」

「え? 今!? でもまだ準備…」

「赤ちゃんは待ってくれん!」


店内(急遽産室に改造)が緊張に包まれる。


外では:


· ミントがうろうろ

· ゴールドマンが祈祷師を連れてくる(「効くかどうかわからんが」)

· 大家の娘が幸運のお守りを作る


中では:


· エリアの痛みの声

· ジルの「がんばれ!」の声

· マヤの的確な指示


「…頭が見える! もう少し!」

「エリア…!」


突然、エリアがミントの名前を呼ぶ。


「…ミントさん…」

「え? 私!?」

「入ってこい、ばか娘!」(マヤ)


【三枚目、最大の役割】


ミントが震えながら中に入る。


「エリアちゃん…」

「ミントさん…あの時、あなたが助けてくれなかったら…」

「え?」

「私、きっと…奴隷のまま死んでいた。でも今…愛する人との子供が生まれる」


エリアは痛みで顔を歪めながらも、笑った。


「ありがとう」

「…エリアちゃん」


その時、ミントはある“役割”に気づく。


「あ! そうだ! 私、名前考えてた!」

「…名前?」

「うん! もし男の子なら『レオ』! 女の子なら『リリア』! どう?」

「…いい名前ね」


マヤが叫ぶ。


「もうひと押しだ! 頑張れ!」


「エリア!」

「おおおおーっ!」


そして──


「おぎゃあああ!」


【誕生:辺境に響く産声】


小さな、しかし力強い泣き声。


「…無事だ。男の子だ」

「エリア…!」


ジルが涙を浮かべてエリアの手を握る。


ミントはその赤ん坊を見て、思わず叫ぶ。


「すごい! すごく小さい! …でもちゃんと人間の形してる!」

「当たり前だ!」(一同)


マヤが赤ちゃんを処理し、エリアの元に置く。


「…ほら、見ろ。自分の子だ」

「…かわいい」


エリアの頬を涙が伝う。


【三枚目命名式】


外のみんなが中に入る。


「おお! 生まれたか!」

「やったね!」


ミントが前に出る。


「じゃあ、命名式! この子の名前は…」

「『レオ』だ」


ジルが宣言する。


「レオ・ジルベルト・エリアス。我が息子だ」

「…でも、私が考えた名前じゃん!」

「ああ、借りた。感謝する」


ミントはぷくっと頬を膨らませる。


「…まあ、いいや。で、次は何する? おむつ交換? ミルク?」

「まずは母親を休ませろ」(マヤ)

「あ、そっか!」


【麻薬の代わりに…】


後日、ミントがマヤに尋ねる。


「ねえ、マヤばあさん。麻薬使わなくて、本当に大丈夫だった?」

「ああ。痛みは必要だ」

「なんで?」

「痛みがあるから、命の重さがわかる。麻薬でごまかしたら…命を軽く見るようになる」


マヤは遠い目をする。


「…私はな、麻薬で痛みを忘れようとした母親を見てきた。その母親は、赤ちゃんを大切にできなかった」

「え…」

「痛みは悪いことじゃない。生きてる証だ」


ミントは考え込む。


「…私、なんでも簡単に考えちゃうんだよね」

「それも、お前の良さだ。だが、時には痛みから目をそらすな」


【新たな家族と、新たな日常】


レオの誕生で、町はさらに変わった。


· ジルとエリアは正式に結婚(二回目)

· レオは「辺境の王子」として町のアイドルに

· ミントは「レオのおばちゃん」を名乗り、毎日あやしに行く


ある日、ジルがミントに言う。


「…そろそろ、国に戻らなければならない」

「え!? でもレオちゃんまだ小さいよ!」

「ああ。だから、しばらくは王妃と王子をここに残す。私だけが戻る」

「…危なくないの?」


ジルは笑う。


「今の私には、守るべきものが明確にある。それに…」


彼はエリアとレオを見つめる。


「…あの時、麻薬なんて言い出したお前には感謝している」

「え? なんで?」

「あれがなければ、私はただ不安に震えるだけの男だった。お前の無茶な提案が、私を『父親』にさせてくれた」


【予告:また新たな“困った人”が!】


レオが生まれて一ヶ月後。


町の外れで、一人の男が倒れているのを発見する。


「…また、誰か倒れてる」

「え? 私が運ぶ! …あ、重い!」

「それは当然です。で、この方は…」


男は学者風の服を着て、手には壊れた機械を持っている。


目を覚ました彼は言う。


「…私は時空の研究者だ。実験に失敗し、ここに飛ばされた」

「時空? なんかかっこいい!」

「だが、帰る方法が…」


次回:三枚目悪役令嬢、今度は時空学者を拾う!

「過去を変えたい? でも、今が一番楽しいよ!」

…なぜかタイムパラドックスを三枚目で解決!?


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