表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/12

第3話:女王蜂の毒と罠

 断罪の舞踏会は、誰もが緊張を隠せないまま続いていた。レティシア・エルフォードは、静かに視線を巡らせながら、次の一手を考えていた。


 会場には、彼女を陥れようとする女王蜂のような存在、エレノア・セシルがいた。彼女の微笑みは美しく、しかしどこか毒々しい。


 「次に証言するのは、エレノア嬢です」


 王子の声が響き、エレノアは一歩前に出た。


 「レティシア様が、私の友人に害を及ぼした証拠があります」


 彼女の言葉は巧みに練られており、聞く者の心に疑念の種をまく。


 だが、レティシアは動じない。


 「それは具体的に、どのような証拠でしょうか?」


 エレノアは冷ややかに答えた。


 「友人が突如として体調を崩し、その原因はレティシア様の手にあると考えられます」


 会場がざわつく。


 レティシアは即座に反論した。


 「では、その体調不良の診断書や医師の証言はありますか?」


 エレノアは一瞬言葉に詰まった。


 「……いいえ、それはありません」


 レティシアはゆっくりと前に進み、声を張り上げた。


 「証拠なき非難は、中傷であり、裁判の場に相応しくありません」


 その瞬間、側仕えのセリスが静かに一枚の書類を差し出す。


 「これは、被害者の診断書と、体調不良の原因を示す医師の報告書です」


 レティシアはそれを読み上げた。


 「感染症によるもので、毒物の痕跡は認められません」


 会場の空気が凍りつく。


 王子の眉が深く寄る。


 「エレノア嬢、あなたの証言には信憑性が欠けます」


 レティシアは微笑んだ。


 「女王蜂の毒は、まず自分の周囲から消さねばなりませんね」


 この一言に、会場の緊張が一層高まった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ