第3話「運命的な出会い?」その4
忙しいコンビニバイトの合間を縫って不知火明人を探すリサは…
「う~ん、いないなぁ…」
緑が生い茂った大学のキャンパスを歩きながら、リサは思わずため息をついた。
「ここの学生じゃないのかなぁ?」
彼を探し始めてもう2週間になる。忙しいコンビニシフトの合間を縫って、当たりをつけた大学に足しげく通っているが、あの彼の姿は見つけられていない。
(あれから店に来てはないようだし…どうしよう…ちょっと何かやり方考えた方がいいのかな…)
そもそも大学生ではないのかもしれないし、東京に住んでいない可能性だってある。どこか別の地域から遊びに来て、たまたまうちの店に寄っただけなのかもしれなかった。
基本的に物事を楽観的に考えるリサも、さすがに少し弱気になってくる。
ただでさえ長時間労働で時間もないというのに、わずかばかりの自由時間を人探しに費やすというのは、冷静に考えるとバカげてる。
でも手に触れただけで、あれだけ強烈な快感を生じさせるのだから、あの彼とエッチしたらどうなるのか絶対確かめてみたい。
だからあきらめるつもりはないのだが、このまま闇雲に探していても、らちが明かない気がしてきた。
今日はもう帰ろうか…
そう思って正門の方へ歩き出したその時、ある建物がリサの目に留まった。
(あそこって何だっけ…図書館?)
最後あそこだけ見てくるか。
リサはまっすぐにその建物へと向かった。
建物の周辺に学生の姿は多くなかった。
図書館から出てきたらしい女子大生2人の会話が聞こえてくる。
「まあないよね。翔子、イケメン好きだもんね」
「いやそうじゃなくてさ…」
リサは特に気に留めることもなく、2人とすれ違った。
この内の1人と、リサは後日深く関わることになるのだが、それはまだ先の話である。
(大学の図書館って、関係者以外でも入れるのかな?)
そんなことを考えながら、足早に歩いていくと、図書館入り口の自動ドアが開いて、中から人影が現れた。
(あっ!)
リサの目が、その男の横顔を素早くとらえた。ぼさぼさ頭に、黒縁のメガネ。小柄でやせたその体には、あの時と同じように白いTシャツと紺のジーンズ。
(いたっ!あの彼だ!間違いない)
「フフッ…」
あまりの嬉しさにリサの口から思わず笑い声が漏れ出ていた。
何か考え事でもしながら歩いている彼の姿を眺めながら、リサは1人つぶやいた。
「ようやく見つけたよ、不知火明人君」
次回は水曜日に投稿する予定です。