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第3話「運命的な出会い?」その1

リサがコンビニで「奴隷契約」状態で働いている理由とは…?

挿絵(By みてみん)


私の名前は楠神リサ(20)。コンビニのアルバイト店員だ。


立場的にはただのバイトのはずなんだけど…


実際には社員のようなブラックな…いやそれ以上の「奴隷契約」とも言える状態で働かされている。


今ちょうど事務所で休憩中なんだけど、そんな私のところに店長が気まずそうな顔で近づいてくる。あぁ、これは…嫌な予感。


「楠神さん。悪いんだけど今日準深夜入ってもらえる?」


(ほら、やっぱり)


「桜井さん、なんか体調悪いらしく休みになっちゃってさ」


「あっはい…わかりました」


私もう8時間働いてるんですが…と心の中で呟きながらも、素直に引き受ける。


「じゃあよろしくね」


「はーい」


プラス4時間か…。そう考えると、自然ため息も漏れる。


「はぁ…」


なぜこんな目にあってるかと言うと…まあ私が悪いんだけど…


その昔、私はとある男性アイドルグループのメンバー1人にどハマりし…その推し活に夢中だった。


最初は出演作をチェックしたり、雑誌を切り抜いたりする程度のかわいいものだったんだけど、色んなアイテムを購入し出すと次第にエスカレートし出し…


自分が推しメンの一番の理解者であり、最良の支援者であると思い込み、それを証明しようと親のクレカにまで手をつけてしまったのだ。


最初は小額だったけど、気づかれないと分かると歯止めが利かなくなって、ついには親にバレてしまった。


それまでに使った合計額は200万近く…当然激怒された。


親は育て方を間違ったと、私が使い込んだお金を全て返済するように求め、知り合いがオーナーをしているコンビニで有無を言わせず私を働かせることにしたというわけ。


1日8時間・週5日を基本とし、それ以外シフトに穴ができた場合は、その穴埋め要請を断らないという「奴隷契約」だ。


おまけにお金を稼ぐ苦労を理解しろと、高校卒業とともに実家を追い出され…


一人暮らしの家賃やら生活費もその収入から捻出しなければいけないのだ。


コンビニは常に人不足な状態にある上、病欠だとか無断欠勤とかで、シフトに穴が開きがちで、それを店長や副店長が埋めざるを得ない状況なので、その「奴隷契約」は歓迎されたというわけなのだ。


推し活はその後どうなったのかって?


私の推しメンがファンと私的な関係を持った上に、薬物使用で逮捕され、私の推しへの気持ちは急速に冷めちゃった。

一体何だったんだろうね。アハハハハ…


だから私の生活は基本コンビニでの仕事。


コンビニの仕事自体は嫌いではないし、どちらかと言うと私に向いてる仕事だと思うんだけど、日常的にシフトの穴埋めもあって、何しろ労働時間が長いというのが悩みかな。


ただ、この仕事を始めて気づいたことがある。


自分に特殊な能力が備わっているということだ。


私は他人の体に触れることによって、その人物が自分と同じように特殊能力者かどうかを判別できるのだ。


コンビニの仕事柄、接客中にお客さんの手に触れてしまうことはちょくちょくあるんだけど、その中に触れた時に奇妙な刺激が生じる人がいることに、私はある日気づいたんだ。


奇妙な刺激というのは「性的な快感」だ。


状況的にはエロさのかけらもないというのに、触れた瞬間、あの気持ちよさが全身を駆け巡ることがあるのだ。


最初はもちろん、気のせいだと思ったけど、それを確かめる機会がまもなく訪れた。


ある時、その刺激が生じた相手から、ナンパされたのだ。


私は好奇心と性的関心からそのナンパに応じることにした。


デートをしながら相手の体に触れて、あの刺激が間違いなく性的快感だと確かめると、その日のうちに男とエッチをした。


さわっただけであんなに気持ちよくなるなら、エッチしたらどんなことになるんだろう…そんな疑問が浮かんでしまったら、しないという選択肢は私にはなかった。


ちなみに私は、どちらかと言うと、エッチなことには積極的だ。


初体験も早かったし、経験人数も多い方だと思う。


そしてその男とのエッチは、正直それまでしてきたエッチが何だったのだろうと思うぐらい気持ちよくて、私は何度もイキまくっちゃった。


エッチが終わると、男は得意げな様子で、自分には超能力があるのだと話し出した。


サイコキネシス(念動力)。


といっても、スマホをさわらずに数センチ動かす程度の能力だ。


でも特殊能力には違いない。


私はそれで思ったのだ。


あの刺激が生じる相手というのは、もしかするとこういう特殊能力のある人間なのではないかと。


その可能性に気づくと、私の性格上、もうその仮説を確かめずにはいられない。


私は機会あるごとにお客さんの手に触れ、例の刺激が生じた相手を逆ナンパして肉体関係を持つとともに、何か特別な能力を持っていないか、確認していった。


そして私の仮説が間違っていないことを確信したのだ。


この世界には、たくさんの特殊能力者が存在する。


と言っても、テレビや映画で描かれるような派手な能力じゃない。


バトルをしたり、現実に影響を与えられるような力ではなく、本当に些細な特殊能力だ。


私の現在の楽しみは、接客しながら能力者を見つけて、その相手とエッチをすること。


それを考えるとつくづく女でよかったと思う。


男の店員が手を触ってきたら十中八九クレームになってるだろうから。


ともかく、それを励みに今日も長時間労働、頑張ります!

前回告知していた投稿予定通りに投稿できず申し訳ありません。

次回は、月曜日に投稿する予定です。

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