第四十二章 強欲は人間の原動力
一週間すっ飛ばしてしまい申し訳ございません。
あ~あ、タノが支配されちった。
「う、あぁぁ。」
こりゃ駄目だ。正気を失ってる。
「ら゛ぁぁぁ!」
そしてうつろな目で包丁を持って切りかかった!食材に向かって。
「な、なぜ!なぜあなたは富を独り占めにするために仲間に切りかかったり、自分の性欲のままに動くことがないのですか!?」
素早い手際で焼豚を切り、ものの見事な手さばきで餃子の餡を包む。
「あいつの一番の欲は人に自分の作った料理を食べてもらって喜ばれることだ。お前みたいな低俗な奴が操っていいやつじゃない。」
うーん我ながらいいこと言った。お、骨も煮えたっぽい。
「そして悪魔よ、お前は欲望のままに動くのだろう?ならこの甘美な匂いと食欲にあらがえるのか?」
もうロードさんも少しずつラーメンに引き寄せられてる。ほんと、欲に忠実だなぁこの人は。
「たかが人間が作るものですよ?私が何よりも欲するわけないでしょう。」
あ、タノの目に火が付いた。何としても食わせる気だな。ああっ!?ついに禁断のニンニクを手にしやがった!おまけにチキンボクサーの骨まで取り出してだしを取り始めた!
「そ、その程度で(じゅるり)私が(ごくり)負けるとでも?」
お腹なってますよ、悪魔さん。
「ではテーブルを用意します。」
現在進行形でアンナに膝枕してるトーレンさんがテーブルと椅子を作ってくれた。テーブルクロスまで作るとかすげぇな。
「では、席につこう。」
そして6人分の餃子付きラーメンが運ばれてくる。おまけにアンナが飛び起きる。
「一人分多くないか?」
ロードがツッコミを入れる、多分それ悪魔さん用に作ったやつだと思います。悪魔がじーっと見てるので。
「しかし私はあなたたちを傷つけた。ともに食卓を囲む権利はありません。」
と涙目になりながら言った。タノが拒むわけないけど。予想通りタノは悪魔さんに手を差し伸べた。
「一緒に食べましょうよ!そのほうがおいしいですし!」
アンナのトドメの一言!悪魔さんの表情が一気に明るくなり、すぐさま椅子に座った。そこに、
「うまそうなにおいだな、なにを作ってるんだ?」
と、一緒に雀卓を囲んだ若い人と50代くらいのおっさんが近づいてきた。そしてタノは素早く残っていたスープで2人分ラーメンを作り、トーレンが二人分のテーブルと椅子を拡張した。
「食わしてくれるのか、いい人たちだな。」
その後はもう次から次へとラーメンの美味しそうなにおいにつられてギャンブルをしてた人たちが食べに来て、タノはすっごい嬉しそうだったし、お代もとりあえず受け取っていたので財布も潤った。
「人間が作った食べ物って美味しいですねぇ。」
「違いますよ、タノさんが作るから美味しいんです!」
と、大食い二人が言ったことが何よりもうれしかったのだろう。満面の笑みで自分だけラーメンの材料がなかったので別の料理を食べ始めた。もちろん大食い二人+ロードさんにばれないはずもなく、結局それも大食いたちによって食べつくされた。
ちなみに「にらみつける」はポケモンの攻撃と防御を一段階下げる技です。




