第三十九章 玄人(バイニン)と素人
なんかもう死にかけなんだが、点数は大体わかるけど大差ついてるなこれ。もう手汗と冷や汗だらだらなうえ心臓バクバクだよもう。
「これでこそ麻雀だ。」
なんであのとがった人余裕そうなんだよ。そしてなんかいかさまっぽいんだよなァ、天和って33万分の1だっけか。なんで喜んでねぇんだ?こうなったら...
「オール伏せ牌で行こう。」
頼むっ!賛成してくれっ!
「いいぜ、そうしよう。」
「いいじゃねぇか。」
とんがったひととおっちゃんが賛成してくれた。若い人もうなずいてるしよかったぁ。じゃあ俺はちょっと細工を...
「いやぁ、すまねぇなぁ。天和上がっちまって。」
ほんとにこの三人山積むのはえぇ!でも何とか間に合った。あとさっき三人をちらっと見たけどタノとアンナが泣きながら遺書書いてたよ、泣きたいのは俺なんだが(泣)。
「始めよう、東二局、親は少年。」
今だ!シュッ!カッ!トン、と小気味いい音を立てて、俺の燕返しは成功した。
「カン、カン、カン!」
では積み込んだ三元牌を暗槓していこう。
「!」
「へぇ...」
「おぉ。」
三人が驚いとる、いかさまできないと思っていたんだろうからな。
「まさか配牌から大三元とはね。」
と言いつつとがった人が四萬を切る。
「ロン...です。大三元、四暗刻単騎。」
「驚いた...トビだ。」
俺はチップをもらいそそくさと帰ろうとしたその時!
「坊や、いかさましただろ。」
「!!!!!!」
「なぁに、見破れなかったんだ、こっちもいかさましてたしなんも言わねぇよ。」
「しました、燕返しを。」
「俺も一局目でやってんだ、燕返し。」
やっぱり。プロって感じがするもんこの人!
「俺は自分の身体を砂にできるのであらかじめ三元牌に砂をつけておいて、全力で自分の山に積み込んだんです。あとは手汗で固まった砂で手牌を固定して崩れないように燕返しをして終わりです。」
「驚いた、よくそこまで頭が回るなぁ。それやったの初めてか?」
「はい。」
「いいか?お前さんには玄人の資質がある。磨いてみることだ。」
いらんわそんな才能!そして俺はみんなの元へ戻った。
「セイさぁぁぁん!」
「セイぃぃ!」
「どわっ!アンナもタノも泣くな!鼻水こすりつけんな!」
「それにしてもよく成功したな。」
「ノーマークだったみたいでバレずに済みました。」
「ちなみにいかさましてなければあのへんな骨格の男が2巡目であがっていた。」
あっぶねぇなおい!まあ何はともあれ今の手持ちのチップは元の倍以上。まぁ死ぬことはないな。




