第三十六章 壮大な茶番劇
全身をくまなく根で貫かれた。そこまでするか普通、心臓一突きでええやろがい。と思いつつ俺は倒れこんだ、死人に口なしだからな。
「セイ!」
うーんタノの名演技、サルラはずっと呆然としてるしアンナに至っては顔の半面怒り半面安堵になっててちょっと怖い。
「なんで仲間のアンナを殺そうとした!目を開けろ!答えろよ!」
と目薬を目から流し言った。そこでアンナもはっとしたらしく、
「セイさん!起きてください!ねぇってば!」
と俺を揺り起こそうとする、全身穴ぼこだらけなのわかんない?
「その男はあなたを殺そうとしたんですよ。」
と地球生命体が言う。
「それでも!私を助けてくれた仲間です!」
とアンナが泣きじゃくりながら言い返す。俺砂になれるの忘れてねぇか?ではそろそろ...
「ネタばらしと行こうか。セイ、立ちなよ。」
「あいよ。」
俺は体を一度砂にして立ち上がった。
「!?まだ立ち上がるのですか。」
「セイさん!」
二人とも驚いてる驚いてるw。
「あのなぁ、あの女神はともかくアンナ、お前は俺が砂になるの知ってただろ。」
「ああっ!確かに!」
あほだこいつ。
「さあて、俺がお前に聞きたいことが三つある。一つ目は人間をどう思っているか、二つ目は何がしたいのか、三つ目はなぜおれを拘束するのではなく殺したのか。答えなければ...」
俺は砂になりアンナの父に駆け寄る。
「次はない、こいつを殺す。」
アンナの父は澄んだ目で俺を見ている、分かってるんだな。
「わかりました、しかしとりあえずナイフをその人に向けるのをやめなさい。」
OKOK。
「一つ目の回答は、人間は害虫だと思っている。二つ目はその害虫を殲滅し、この星を再び自然の星に変える。三つ目は...」
急に口ごもる、まあ知ってるんだけどね。
「お嬢様と主人が大好きなんだろ。」
「!!!!!!!!?!!!!!!!!!?!!!!!?」
お、やっぱり図星だ。
「そ、そんなわけないでしょう。所詮人間は害虫です。」
「んじゃあアンナ、ごにょごにょごにょ。」
「言いたくないんですけど...」
「さっさと言え。」
「は、はい!そんなことするトーレンさんは嫌いですっ!」
ベキッ!
今心の折れる音がしたような。あ、人間の姿に戻った。
「そんな、私は嫌われてしまったのか、お嬢様に...」
「ほ、本心じゃないですよ!嫌いなわけないじゃないですか!いっつも一緒にいてくれて、お腹が減ったらいつもポケットから果物を出してくれたり、森で迷子になったときはすっごい青ざめた顔で吹っ飛んできてくれたじゃないですか!私は、そんなトーレンさんが大好きですよ!」
「わ、わぁ。」
泣いちゃった!どんだけアンナのこと好きなんだよこの女神!
「よがっだぁ!ぎらわれでながっだぁ!」
そのままアンナが駄女神を抱きしめてハッピーエンドというわけだ。




