第三十二章 水神三分クッキング
「さて、先祖代々続く水虫潰しだ。」
「やっぱりロードさんがいると安心できます。」
そんなほのぼの?とした会話をしているうちにビーチへ出た。
「ビーチ?ビーチナンデ!?」
「落ち着け、あそこにサングラスと帽子が浮かんでいるだろう。おそらくバカンス中だ、のんきな奴だな。」
と、数百メートル先の黒い物体を指さしながらロードさんが言う。よく見えるなぁ、目が節穴なのに。
「おい!うざいだけの水虫ふぜいが!さっさと出てこい!」
わぁ、辛辣、そこまで言わなくたっていいじゃない。
「そこまで言わなくたっていいんじゃないかしら、私もそこそこ強いわよ。サンちゃんと同じくらい。」
「あの砂粒か、今頃我の仲間にコテンパンにされているところだろう。」
それは怪しいと思いますけど、あのへっぽこ三人組が神に対して一方的に勝つなんて無理なはず。
「こっちのセリフよ、まあそんな冗談は置いといて、今度はあなたがつぶれなさい!」
ウンディーネの合図とともに、10メートル級の津波が押し寄せてくる!でもロードさんならどうにかしてくれるはず!
「…」
しかしロードさんは何もせずただ津波を見ている。
「ロードさん?」
「…」
「ロードさん!」
「…」
え?打つ手なし?
「あがばっぼぼぼがばぁ!」
「…」
二人仲良く津波に呑み込まれた。
「え?こんなあっさり行くの?」
とウンディーネが呆れながら水の中に話しかけてきた。あっさり行く雑魚で悪かったな!そしてロードをにらむ、え?このクソロードなんで笑ってやがる?
「こっちのセリフだ、インベント。」
掛け声とともにウンディーネの身体はなくなり、核だけが残った。
「収納魔法は相手の本体に近づかないとできんのでな。つらい思いをさせた。」
「一生ついていきます、あと信じられなくてすみません。」
もう今目の前にあるのは真ん丸な水晶玉だけになったウンディーネのみだ。
「う、う。」
「まだ奥の手が!?」
とっさに身をかがめ、防御姿勢をとる。しかし、出てきたのは大量とは程遠い数滴の水だった。
「うわぁぁぁん!負けたぁぁ!また何百年も封印されるぅぅ!うわぁぁぁん!」
泣くんかい!
「何ならここからも立ち退いてもらうぞ。」
「ロードさん、その追撃はひどいです。」
そしたらまたわんわん泣く、なんだかこっちが悪いことしてるみたいになったが、勝ちは勝ちなのでそのまま外へ水晶玉を持って出た。なんかすっきりしないなぁ。
「じゃあこの水を鍋に入れてくれ。」
「え?何でですか?」
「煮詰めて聖水を作って売る。」
わーお血も涙もないなぁ、そしていつもの鍋で3分煮詰めて瓶詰めしたものがポーションになったり聖水になったりした。
「結構な金になりそうでよかったな。」
「はい…なんだか可哀そうに思えてきましたけど。」
「気にするな、あとはあいつらの戻りを待とう。」
と、僕らは持ってきたサンドイッチを食べながら言った。




