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第二十九章 それぞれのプライベート(後編)

ー一方そのころサルラは...ー

「このナイフは...いまいち、このポーションは...なんか微妙。全体的にパッとしないねぇ。」

と独り言を言いながらいいものを探していると、

「パッとしなくてすみませんね。シーフの方。」

と嫌な顔をされた。ほんとのことを言って何が悪い!(開き直り)

「じゃあここにこれよりもっと切れるナイフとか強い縄とかピッキングツールとかないの?」

「のこぎりでも切れない程度のロープとか、気配を悟られないポーションとかならありますけど。」

おお、わりといいものあるじゃない。

「わりとって何ですかわりとって。そして次にあなたは『げっ!なぜアタシの思っていることを!』と言う!」

「げっ!なぜアタシの思っていることを!ってぇぇ!?」

何この店主!?ダークエルフか波紋使い?

「ご名答!ダークエルフでございます。あとそのロープは相手が生物なら縛ることでしびれさせることもできます。」

と、店主は長い耳をたった一人の客にピコピコと動かしながら言った。

「面白いじゃない、でもお高いんでしょう?」

「お値段なんと在庫処分セールで諸々込々銀貨2枚!」

予想の三倍安かったぁぁ!いい買い物した。

ーそしてラストにアンナサイドー

「いらっしゃいませ~何分コースにいたしますか?」

「1、いや2時間でお願いします。」

「かしこまりました。ではごゆっくりどうぞ~。」

ああ、ついにこの日がやってきた!最近オープンしたケモカフェなる天国に一時間の行列の末入ることができた!その喜びだけで満足してしまいそうな気持ちをぐっと抑え、私は場度際の席に座った。その直後にはもう、

「キュウゥ。」

暖かくかわいらしいもふもふの塊が膝に乗ってきた。ああもう我慢できない!

「わぁ、いい子いい子~、ふわふわのモフモフでほんとにもう~。」

「かわいいってわけね。」

聞き覚えのある声がした、それと同時に理性がすべて戻ってきた。

「サ、サルラさん。」

「ちょっと窓からアンタを見つけたから気配を消すポーションで入ってきちゃった。」

ぎゃぁぁ!おしまいだぁぁ!

「どうかこのことは皆さんにはくれぐれもご内密にお願いします!何でもしますから!」

「もともとそのつもりよ。」

た、たすかったぁ~、(社会的に)死んだかと思っちゃった。

「まぁでもよくこんなに理性を失えるわね。」

「抱いてみればわかりますよ、ほら。」

私は床にいた子をサルラさんの膝の上に乗せた。

「ミャウ。」

その小さくてかわいい魔獣はサルラさんに腹を見せて甘えた。

「なるほど、これは理性が吹き飛ぶのもうなずけるわ。」

「でしょ~!こんなかわいい子が何十匹もいるんですよ!」

懐柔成功、すっかりサルラさんもはまっちゃった。

「あの~お楽しみ中失礼します。」

びっくりしたっ!何!?この子たちの迷惑だから出ろって!?

「店長があなたたちのことを呼んでいますので来ていただけると幸いです。」

「アンタ何かしたの?」

「してませんって!」

私たちはバックヤードに案内され、ちょっと豪華そうな部屋に連れてこられた。怒られたりしないよね?と思っていたら高そうな椅子には骸骨が座っていた。

「こんにちは、そしてお久しぶりです。わたくし、あなた方とダンジョンで出会ったスケルトンの召喚士です。」

「あ、かわいい魔獣との触れ合いの場を提供してくれた骨の方!」

懐かしい、ダンジョンという物騒な場所で癒しを与えてくれた骨のことは忘れなかったですよ~。

「かわいくなかったからね!あれはどちらかと言うと猛獣の部類なのよ。」

「できればわたくしの紅茶をほめてくださった青年にもぜひいらしてほしかったのですが。」

タノさんいまごろ限界を超えた主婦と戦っているんだろうなぁ。

「それはともかくあなた方はわたくしの恩人なのです!ぜひ何かお礼を!」

何かお礼と言われましても…そうだ!

「ここの名物のジャムパンを4人分ください!」

「そ、そんなもんでいいんですか?わかりました、紅茶の葉と淹れ方を記した紙もお付けしますね。」

何なら会計もタダになっちゃった、最高の日になったなぁ。

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