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第十四章 待ちに待った前衛職

「おかわりありますか?」

奴はまだまだ食い足りないようで、食欲で満たされた目で俺たちを見た。食われるのか?と思う程の目だな、ビビった。

「ない。とりあえず座りなさい。」

と、タノが言うと、我に返って地面に正座した。

「自己紹介が遅れました。私は隣国のネイバー国で聖騎士をやっているアンナ・セイバーという者です。お見知りおきを。」

「違う、そうじゃない。なぜ倒れていたのかとなぜそんな速度で食事ができるのかを聞いているんだよ。」

まあ俺もあの速度で食えるやつは初めて見た。まさに大食いの世界チャンピオンだ…。

「食事速度は赤子のころからで、倒れていた理由は…。」

と口ごもり始めた。ハズいのかな。

「行き倒れ。」

「なぜそれを!」

あ~あサルラ言っちゃったよ。昼飯なくなったのに腹立ってんのかな。

「とりあえずここに来た理由を言ってもらおうかな。」

もう取り調べみたいな雰囲気になってきたぞ。空気が重い。

「あれはつい先日のこと…私はもとは聖騎士として仲間と一緒に冒険してたんです。私は前衛職としてはかなり上の実力者とランキング掲示板で書かれていました。」

そんなもんがあんのか、こいつランカーってことね。

「しかし、冒険を始めて2日目、10日分は持ってきた食料が底をついたのです!」

「自分が食いすぎたせいで!」

おっとつい口が滑ってマネをして叫んでしまった。

「あなたエスパーか何かですか?」

読みやすいんだよ!とは言わずぐっとこらえる。

「話を戻します。そこでリーダーが、『全員一度分かれて食料を探そう。2時間後にここに集合だ。』と言い、一度解散しました。そして2時間後に再び私が底に戻った時、仲間はどこにも見当たりませんでした。追加で1時間待ったのですがね。」

「で、行き倒れになったと。」

「恥ずかしながら…。」

「で、正直に言って、今腹何分目?」

「…5分目です。」

全員目が飛びだしたり点になったり目があったはずの穴が大きくなったりと全員驚いてるのは明らかだった。ほんとに人間かこいつ?

「わかった。じゃ昼飯もう一回作るよ。食材とってきて、セイラはアンナさんと一緒に探してきて。こっちもペアで探してくる。」

おおっとここでさりげないトラウマへの気遣い!ポイント高いですよ。

「OK、いってくるよー。」

「ほら、僕らも行くよ。」

「へいへい。」

ちょっと時間が飛びまして、

「そおら来いよくそ猪ぃ!」

「フゴッ!」

猪が俺に向かって突進!俺はそれをボフンと回避!見事角が木に刺さって抜けなくなってる。

「この狩りかた前にもしたな。」

「じゃぁ今度はセイが解体してみる?」

「うげっ、遠慮しときます。そして毎度ありがとうございます。」

一方女性サイド。ここからは私作者がナレーションさせていただきます。

「おおっ!これはとても美味しいキノコ!そっちには臭み取りの薬草!そっちには焼くと美味しい果物が!」

アンナはまるで空き巣に入った泥棒のような素早さで食材を集めていた。おっと言い方が悪かったかな。ダンジョンに入った盗賊…変わらねぇなこれ。

「やけに見つけるのが早いわね。すごいじゃない。ところで仲間においてかれたときに集めてた食材はどうしたの?」

「食べました。野菜や果物ばかりだったのですぐお腹がすいて…。」

「ほんとすごい食欲ね。ところでなんであたしたちに敬語使ってるの?」

「それは失礼にならないためにと初対面なので…。」

「同じ釜の飯を食ったらもう仲間ってお父さんが言ってたわ。なら同じ釜の飯を食うために食材を探してるならもう仲間じゃない?」

「え!?いいんですか?穀つぶしのポンコツですよ!しかもとろいし…。」

「そんなことは知らない。アタシはあんたのことをすごい気に入ったし、あの二人だって飯食われても怒らなかった。誰もあなたを拒絶してない。その大食いを見てもね。」

※注意、TLが始まるかもしれません。ご了承ください。

「サルラさん…。」

そう言うといきなりアンナはサルラに抱き着き、泣き出した。

「おーよしよし、つらかったねぇ。」

「ううっ、ひぐっ。」

「さ、行こうか。美味しいご飯が待ってるよ。」

というわけで全員集合。今日の献立は懐かしいジビエストロガノフ。3人の出会いの味。出会いにちょうどいいとか考えてるんだろうな。芸術点カンストだ。

「美味しい!なんですかこの料理は!?肉だけでなく野菜も同時に楽しめて、お互いの長所を消さず作られている!あなた一流の料理人ですか?」

「まだあるから、食べる?」

「いただきます!」

やっぱタノ俺以外にはチョロいな。

「ちょっとアンナ、敬語使わない。もう仲間でしょ!」

え?そんなに仲良くなってたの?うらましいなぁ。

「え?いいの?前衛職いなかったから助かるよ!」

「はい!これからよろしくお願いします!」

敬語消えてない消えてない!

「あとうちはどんな人にも丁寧に話して優しくするようにといわれているので丁寧語は使います!」

あ、家の決まりなのね。てっきりタノと話し方が似てるからが混ざるからかと。

「ギクッ!」

なんか変な音が聞こえたけど気のせいか。





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