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裏アカ女子二人、微エ◯小説で名を上げる【完結済】  作者: ながつき ゆう
2部 投稿と 新ペンネームと 新環境
8/12

8万字 『二人、改名する』

────────────────────

前回のあらすじ


裏アカによる投稿作が好評で

出版社と繋がりが出来た通与と礼多

川瀬(と書いてリバーサイドと読む)にて作戦会議をする

────────────────────


「契約書の内容ですが

 特に悪い内容は無かったです

 ロイヤリティについても条件いいですし」

須堂礼多(すどう れた)

双星社の高槻菫たかつき すみれから受け取った契約書を

小瀬通与(おぜ かよ)に渡した。

「あの短時間でこの契約書読んだのかよ?」

「文字を読むのは得意ですから

 それに以前もこういった契約はやったことあるので」

「うえー、文字が頭を滑る……

 あたしこういったの得意じゃねーんだわ」

「ツーさんの家で手取り足取り教えますよ?」

礼多の手が通与に伸びる。

「オコトワリシマス」

引っ込む。


…………


「ほう、ペンネームの改名、ですか?」

「改名というか、二人の合同ペンネームを作りたいんですよね」

アヤが運んできた

通与:小倉トースト、ミルクティー

礼多:おはぎ、抹茶

を食べつつ、礼多が構想を語る。

「これまで積み上げて来たものもあるので

 それぞれ個人のペンネームを変えたいとは思わないんですが

 共作のときは『二人の作品だぞ!』ってのを推したいんですよね」

「なるほど、小説ではどうしても作者とイラストレーターの評価が分かれがちです

 その方が良いかもしれませんね」

「あと『レターパックマン』はなんか商業だと怒られそうで……」

「その気持ちはなんとなくわかる」

「それで、名前候補はあるんですか?」

「これですね、ドン!」

礼多がノートPCの画面に書いたメモ帳を見せる。


蘇芳花連(すおう かれん)です!」


「ほう……」

「解説要りますか?」

「どうぞ」

「まず二人の名前をいい感じに合体したくて

 それぞれから音を頂戴して読みを決めました」

「それに文字を当てたのか」

「はい、『花蘇芳(ハナズオウ)』という花と

 『連』は『連名』ですね

 ちなみに花蘇芳の花言葉は『喜び』です

 西洋由来だと暗い意味もありますけど

 東洋だとありがたい解釈もありますので」

「ふむ、いいんじゃないかそれで」

「いいんですか?!

 私が一方的にまくし立てたのに!」

「だって礼多があたしのことも考えて作ったペンネームだろ?

 これ以上いいものもないと思うぞ」

礼多の顔が真っ赤になった。

「アヤさん、この人タラシですよ!!」

「惚気はおうちでやられてください」

「ツーさん家行きましょうか!

 速攻で抱きますよ!」

「発情すんな!」

礼多は通与にちぎった小倉トーストを押し込まれた。

「うまひッ!」

落ち着いた。


……後日、双星社(文王支社)……


二人は契約を受けることを菫に伝え、

合同ペンネームについても相談した。

「なるほど!いいんじゃないかしら

 では出版時はこの名前にしましょう」

「「よろしくお願いします!!」」

「あと今日は一つ連絡事項がありまして

 編集があなたたちに付くことになりました

 私は総合チーフという扱いだけど

 関わりがなくなるってわけじゃないからよろしくね

 それでその編集だけど……」

「失礼します」

パーティションをコツコツ叩く音がすると

二人には馴染みがある声が聞こえた。

そして席についた顔を見て思わず二人はニマリとした。

「蘇芳花連先生の担当となりました

 分所文匁(ぶんしょ あやめ)です、よろしくお願いします」

鉛の女は軽く微笑んだ。


…………


後日、文王女子学園、校誌編集室

「分所さんがお二人の担当?!」

一部始終を聞いた爽田丁夏(さわだ ていか)が驚く。

「なんとなくこうなる予感はしてたよ」

「ほんとに偶然ですけどね

 編集の仕事をやってみないかと声はかけられていましたから

 まさか最初の担当がお二人だとは」

「分所さんとの関係がまた進んでしまいますね」

「ええ、メイド喫茶に続いて編集とは......

 お二人と過ごす時間がまた増えますね」

「......メイド?」

丁夏がポケッとした顔をする。

「あ……」

文匁が口に手を当てるがもう遅い。

「分所さんがメイドってどういうことですか?!」

食いついてきた。

「おっと、うっかりしてしまいました

 ......まぁ爽田さんならもう問題ないでしょう」

「前もやったなこの流れ」

(分所さん、狙ってやってるのかな?)


三人は川瀬(と書いてリバーサイドと読む)のことを教えた。

丁夏は行ったことがなかった。


「え、あの……メイド姿の分所さんめっっちゃ見たいです!」

「でな爽田(通与はこの呼びで定着した)

 そこは各人の休日の一張羅で行くことがマナーなんよ」

「そんなルールうちにはありませんが……」

「爽田さんの本気の私服、見たいな」

「本気の……、まぁ分所さんのメイド服が見れるなら……」

「小瀬さん、私のメイド姿ってそんなに価値ありますか?」

「価値あるかどうかはともかく、面白いぞ?」

「私は客寄せパンダではありません」

(でもアヤさん目的で来てるお客さんはたくさんいそう)


……後日、川瀬(と書いてリバーサイドと読む)……


「おかえりなさいませお嬢様……

 あら、爽田さんはご一緒ではなく?」

着物姿の通与と、ギャルルックの礼多の二人だけだった。

「早く来て爽田を待ったほうが面白いかなと思って」

「私も同じです」

「お二人とも、思考がだいぶ似られてきたのでは?」

礼多が破顔した。

「ほんとですかぁ~?うへへ」

アホみたいな顔である。

「アヤさんよ

 礼多だいぶキモくなってないか?」

「?……私から見ると惚気けてるようにしか見えませんが?」

「眼鏡が曇ってるんじゃないのか?」


後ろでカランとベルが鳴った。

入ってきたのは黒を基調としたブレザーに近いメンズ調の服を着た人物だった。

かなりのイケメンであり、

一見すると男性に見えないこともないが、

顔や身体の細さから、男装コーデの女性であることはわかった。

「おかえりなさいませお嬢様」

「……わ、マジでメイドさんなんですね、すげえ……

 あ、名前言っちゃ駄目なやつですよね」

「?……あ!」

そこでアヤは気づいた。

「「え?」」

二人は反応が遅れた。

「わ、小瀬さんと須堂さん、だいぶ印象違うなぁ……」

「だ……誰??」

「お、結構わからないものなんだね

 私、爽田だよ」

「「えーーー」」


驚く三人であった。


そしてアヤは自身が紅潮して

汗がじわりとしていることに気づけていなかった。


残りの3人も気づいていなかった。




続く!




────────────────────

次回予告!


男装ルックの丁夏に翻弄される文匁。

二人のこれからの関係は?

その様子に焚き付けられた礼多と通与は?

次回9万字「分所、戸惑う」


そして第二部完!

────────────────────


用語まとめ


小瀬(おぜ) 通与(かよ)

私立文王女子学園高等部2年。

美術専科。

特に水墨画に秀でる。

女性。

微エロ絵描き「オズ(OZ)」の裏アカウントを持つ。

背は低い。

着物女子。

礼多と共同創作者以上恋人未満の関係。


須堂(すどう) 礼多(れた)

私立文王女子学園高等部1年。

詩歌専科。

特に俳句に秀でる。

女性。

微エロ小説書き「レターパックマン」の裏アカウントを持つ。

背は高い。

おっぱいが大きい。

ギャル(2010年代基準)。

通与と共同創作者以上恋人未満の関係。


蘇芳(すおう) 花連(かれん)

通与と礼多の合同ペンネーム。

連は「連名」の連。

花蘇芳の花言葉は「喜び」。


高槻(たかつき) (すみれ)

双星社編集。

ふたなり。

通与と礼多にコンタクトを取った人物。


分所(ぶんしょ) 文匁(あやめ)

私立文王女子学園高等部2年。

出版専科。

特に校正に秀でる。

女性。

双星社に籍を置く編集のセミプロ。

川瀬(と書いてリバーサイドと読む)の人気メイド「アヤ」でもある。

通与と礼多の裏アカの存在を知る人物。


爽田(さわだ) 丁夏(ていか)

私立文王女子学園高等部1年。

デザイン専科。

特に装丁に優れる。

女性。

背は低め。

通与と礼多の裏アカの存在を知る人物。


・川瀬(と書いてリバーサイドと読む)

メイド喫茶。

文王市のほぼ市境にある。

クラシカルメイドと豊富な種類のコーヒーと

安くて量が多いメシが売りの店。

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