12万字 『二人、これからも歩む』
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前回のあらすじ
通与と礼多がきちんと付き合い始めて7年後
最終回
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小瀬通与と須堂礼多が正式に付き合い始めた翌週、
二人の合作が校誌に載り、
合同ペンネーム「蘇芳花連」によるSF短編がアンソロジーで発売された。
校誌合作の評判は上々、
SF短編も扉作品ではなかったものの、
ちょいちょいSNSで感想が言及される程には反響があり、
双星社での評判も悪くはなかった。
二人の合作は通与が文王女子学園を卒業するまで続き、
その後通与は文王大学に進学して少しの間途絶え、
礼多も翌年に文王大学に進学してからは
アパートの一室を借りて共同生活を始め、
そこから共同製作の速度は加速した。
大学での通与は日本芸術史を学びつつ、
水墨画絵師として一線級の活躍を見せた。
礼多も国文学を幅広く学びつつ、
俳人として目覚ましい活躍を見せた。
合同ペンネームである蘇芳花連名義での顔出しは
二人が社会人になるまでは行わないこととした。
ネットではぼんやりと女性であるという噂話が独り歩きしつつ、
二人は小ヒットを積み重ねていった。
礼多が大学を卒業するタイミングで
二人はマンションに引っ越すことにした。
そこはアトリエも兼ねた二人の仕事場となった。
そして蘇芳花連名義での初単行本が目出度く上梓することとなり、
サイン会が開かれることとなったのだ。
ちなみにサイン会が決定されたタイミングで
二人は蘇芳花連の素性をバラしており、
ネットでは半日トレンドに残るくらいには話題になった。
初単行本「スペースオペリリィ」は
蘇芳花連名義では最も長編となる百合なスペースオペラで、
編集を続けてきた分所文匁も
装丁を担当した爽田丁夏も
「今までで一番おもしろいから大丈夫」と太鼓判を押した。
「レタ、準備できたか?」
「あーあと10分くらいですね」
通与は以前からの着物ファッションに磨きをかけ、
水墨画と並行してファッションが話題になることもしばしばあった。
礼多はギャルに分類されるファッションから変遷を経て
20代前半の女性としての落ち着きも合わさったファッションを体現した。
彼女も俳人兼ファッショニスタとして取材を受けることも多々あった。
「OKです」
「よし、じゃあ行くか」
「ツーさん、ついにここまで来ましたね」
「おう、まぁレタとあたしにとってはスタートかもしれんけどな」
「お、それはまだまだ先があると思って良いんですね?」
「まぁそりゃその……そうだろ、いずれはけ……」
「結婚ですか?!明日でもいいですよ!」
「気がはえーわバカ!」「いだッ!」
小瀬通与
水墨画家
「蘇芳花連」イラスト担当
須堂礼多
俳人
「蘇芳花連」小説担当
二人の旅路はまだ始まったばかりである
終わり!
「裏アカ女子二人、エ◯小説で名を上げる」
これにて完結です。
R-18要素がない百合小説としては初挑戦になりました。
全12話と比較的短い話数で終わりましたが、
そもそも自分は単発ものが多いので
比較すると長かったという印象です。
バッと時を飛ばして一気に終わらせたのは
「やりたいことやってしまった」からです。
ダラダラやっても筆が乗らないかなと思ったので。
余白はたくさん残したので
また足したいものがあったら増えるかもしれませんが
ひとまず二人の話はこれでおしまいです。
約5ヶ月
ありがとうございました。