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信号機コントラスト

作者: しゃん

仕事終わり、夜の20時。

3月の夜風はまだ少し冷たい。季節の変わり目は好きだ。

今までの自分がすべてリセットされてまた新しい自分になれる気がするから。



そういつも考えてはなかなか切り返すことができない自分がいることを知っている。



仕事は仕事、プライベートはプライベート。そこもしっかりと分けたい。


だからたまに仕事に没頭し過ぎた日にはいつものカフェに行く。

お決まりのブラックコーヒーと、店長おすすめのケーキ。

 

こんな時間にカフェインと糖分を取ったら眠れなくて太るかもしれない。

でもいいんだ、今日は仕事したから。


「あら、佐藤さん、またニヤついてますよ」

どうやら思考が顔にただ漏れのようだ。

店長にはバレバレだ。


「またいつもの?毎度ありがとね。」

この数秒のやり取りしか店長とはしたことがない。

推定年齢30後半、ガタイの良い身体つきから昔は何かスポーツしてたのだろうか。奥さんはいるのだろうか。


雰囲気からきっといるだろう。

だってちゃんとしてそうだ。


だけど、私のタイプではない。

でも、私にタイプなどないのかもしれない。


頭の中の自分がやたらと元気になっているのは仕事を忘れている証拠だ。

良い兆候だ。


そうして気を紛らし、空腹を満たしお店を後にする。

やっぱり寒い。

春物のコートの襟を立て早足で駅へと向かう。


都心からのアクセスはいいこの住宅街にはマンションやアパートが多い。


しっかりと灯った電灯、かけることの無い白線。

静寂。


ここは遊ぶところじゃない、住むところ。

ここは仕事するところじゃない、ゆっくり寝るところ。


街全体がそう言ってる気がする。


でも、一つだけ、どうしようもないところもある。

駅までの唯一の交差点。信号機。


信号機の光に照らされた、古民家。自分が一番人の住処として佇んでいるが毎夜信号機のネオンに照らされている。


どっちつかずのところがなんだか愛おしくなる。

信号機は今は黄色だ。


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