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最終話 暴虐の太陽と転生

 手下達と巨大な壺を荷車を引いて運んでいたストーム、彼らの前に空から

五つの火の玉が落ちて来た。


 「ぐわ~~~っ!」

 火の玉が落下した衝撃で吹き飛ばされるストーム達。

 無事に起き上がれたのはストームのみであった。

 「な、何者だ!」

 土煙の中に映る五つの影に向かってストームが叫ぶ。


 「太陽神ソレイユです!」

 ソレイユがまず名乗る。

 「晴天の勇者、サニーカイザーだ!」

 次にサニーカイザーに変身したハルヒコ。

 「火炎の魔神イフリート」

 サニーカイザーと似た炎の魔神イフリートが名乗る。

 「ファイヤードラゴン様だ♪」

 龍人の美女の姿のファイヤードラゴン。

 「フェニックスちゃんで~っす♪」

 明るく名乗ったのは美少女の姿のフェニックス。


 その姿を見て名乗りを聞いたストームは絶望した。

 「馬鹿な! 炎属性の頂点達が現れただと!」

 ストームも向かう先が敵の本拠地だとはわかってはいたが

敵の総大将が出てくるとまでは予想していなかった。


 「ジャーク教団、貴様らの野望はここで断つ!」

 サニーカイザーが宣告した。


 「おのれ太陽神共! ジャーク様に栄光あれ!」

 ストームが叫びを上げると共に彼が引いていた巨大な壺が鳴動して

壺の中から全身紫色の巨大な人型の怪物が現れる。

 「何だあの禍々しい化け物は?」

 イフリートが驚く。

 

 「おそらくあの者が崇める魔神の分身か何かです!」

 ソレイユがバレーボール状の火球を投げつけると怪物は燃え上がり

うめき声を上げて苦しみ地面の染みとなる。

 「やりました♪」

 フェニックスが喜ぶが、地面の染みから噴水のように湧き上がって

紫の怪物は復活した。

 「やばいな、ソレイユ様と私達はあの怪物を止めよう」

 ファイヤードラゴンの言葉にソレイユたちは頷く。

 

 サニーカイザーは自然とストームとの対決に入った。

 怪物と同じ紫色の大剣とサニーカイザーの拳がぶつかる!

 「黒騎士、お前は何を企む!」

 ストームの剣戟と炎が燃える拳打で渡り合うサニーカイザー。

 「知れた事、ジャーク様のお力でこの腐った世界を支配する事よ!」

 ドロドロと毒々しい液体が流れ出る大剣でサニーカイザーを攻めるストーム。

 だが、その毒はサニーカイザーを守る炎が気化を超える蒸発で無効化していた。

 「主語がでかすぎなんだよ!」

 「日本と言う国では、大は小を兼ねると言うのだろう!」

 大剣に毒液の水流を纏わせるストーム、そこへイフリートが飛んでカットに

入って来た。

 サニーカイザーをタックルで吹き飛ばすという荒業で。

 「いや、俺の方にダメージ……はないけれど拳がデカくなってる!」

 気が付くとサニーカイザーの拳が巨岩の如く肥大化していた。

 『精霊ドッキングだ』

 拳からイフリートの声が聞こえる、イフリートはサニーカイザーの武器

となった。

 「私もいきま~す♪」

 「行くぜ~♪」

 「合体で~~~す♪」

 イフリートがサニーカイザーと一体化したのを見てフェニックスも

ソレイユもイフリートに続いてサニーカイザーへと突っ込んで行った。

 「こっちに来るな~!」

 拒絶しても仲間達はサニーカイザーの声を無視して彼にぶつかった。

 「サニーカイザーめ、ならばこちらも合体だ!」

 ストームも魔神ジャークの分体の元へ飛んで行き一体化を行う。


 その結果、炎の山かと見紛うほどに巨大化したサニーカイザーと

ジャークの分体と癒合したストームが対峙する事となった。


 「おのれ、サニーカイザー! 巨大化したとはいえ捻り潰してやる」

 ストームが逆水平チョップを放つ。巨大化したサニーカイザーは

その中で五人の意識が集まっていた。

 「ここは受けます!」

 「プロレスは相手の攻撃は受けるもんよ!」

 「やり返すぜ!」

 「飛び技の方が良いと思いますよ?」

 「皆好き勝手いうなよ!」

 巨大化したサニーカイザーの中はプロレス観戦モードであった。

 紫色の巨体が繰り出す相手の攻撃をサニーカイザーは大胸筋を膨らませて

受ければ、炎がはじけ飛び巨大ストームの腕が燃えて悶える!

 「行くぜ、カイザーチョップ!」

 今度はお返しにとサニーカイザーが巨大な燃える手刀で殴り返せば

相手は更に痛みに悶える。


 「相手はプロレスを知らねえ見てえだな、挑んでおいて」

 「しょっぱい素人さんですわね~♪」

 ファイヤードラゴンがいつの間にかビール片手に呟きフェニックスが煽る。

 「さあ、サニーカイザー♪ 格好良く行きましょう♪」

 ソレイユが微笑みながら行けと後押しする。

 巨大サニーカイザーのインナースペースはフリーダムだった。


 「んでは、カイザーブリーカー!」

 巨大ストームの腕を取り担ぎ上げたサニーカイザー!

 担いだ相手を頭上で折り曲げ痛めつける。


 その痛みは別次元に潜んでいた魔神ジャークにも伝播していた。

 今の巨大ストームはジャークの分身でもある、ストームに貸し与えた

者とは感覚を共有していた上にストーム自身がジャークの契約者なので

ジャーク本体が受ける痛みは二倍であった。

 「ジャーク様、お助けを~!」

 ジャークに助けを求める巨大ストーム、その叫びは届かなかった。

 ミシミシと軋む音からバキッと完全に巨大ストームは真っ二つに体を

アルゼンチンバックブリーカーで割られてしまった。

 断末魔を上げる事もできず神の炎で浄化され行く巨大ストーム。


 その感覚までもがジャーク本体に共有された時、魔神ジャークの心は

完全に折れた。


 「ああ、空に天使が昇って行きます♪」

 「あの黒騎士、今度は良い人生を送れると良いな」

 いつの間にか変身を解いたハルヒコは仲間達と空を見上げる。


 こうして、彼らとジャーク教団の戦いは終息した。


 そしてハルヒコ達は、この世界に人間ではどうしようもできない

危機が及んだ時にだけサニーカイザーとして立ち向かう人生を送り子孫も残して

神の世界へと帰った。

 

 白い雲の上の世界に立つ黄金の神殿。

 その最奥部ではハルヒコとソレイユが二人で抱き合っていた。

 「ハルヒコと平和な暮らし、最高です♪」

 お腹を大きく膨らませたソレイユが可愛らしくもだらしなく微笑む。

 「そうだね、まさか何十億人も子供を作る事になるとは」

 ソレイユに同意しつつもハルヒコは疲れた様子でつぶやく。


 神の世界へ帰った二人は、それまで休んでいた太陽神の仕事に励んだ。

 その一つが無限に増え続ける世界へ太陽と太陽神を生み出し送り出す事。

 子作りと子育てであった。


 「これからもどんどん産んで育てて行きますよ♪」

 「この子が生まれて手が離れたら、またどこかの世界に転生しない?」

 ソレイユに打診するハルヒコ。

 「そうですね、今度は二人一緒に平和な世界でスローライフがしたいです♪」

 「そうだね、そういうのも良いね」

 語り合う二人、この二柱の神にとって転生は休みの旅行でしかなかった。


 こうして、後に何処かの世界で新たな晴天の勇者の物語が

開幕するのかも知れなかった。


 

 

 

 

 

 

 

エたっておりましたが、完結です。


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