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第五話 ジャーク教団とは?

 黒い空と荒れた大地の狭間に聳える灰色の二等辺三角形。

 周囲に吹く死臭を乗せた忌まわしい風にさらされたその

ピラミッドの奥深くにある石造りの広間。


 そこが悪の秘密結社ジャーク教団の本拠地であった。

 邪悪教団は世界征服を企む悪の秘密結社である。

 ジャーク教団は、世界に存在する魔物であるモンスターを捕らえて

食い詰めた貧民やならず者に悪人などと合成して改造した改造モンスターを

使い恐怖と苦しみをまき散らす暴力の手先としていた。


 彼らは魔神ジャークなる存在を崇め、ジャークの意思の下に世界を

改造モンスターの暴力での支配を目指していた。


 ジャーク教団の中枢部たるその広間の中央で髑髏の黒騎士は

五体をひれ伏していた。

 「申し訳ございませんジャーク様、お許しを!」

 黑騎士の頭上に浮かぶのは紫色の巨大な球体。

 「許す、あれは汝の手に負える相手ではない」

 紫の球体から出たのは許しの言葉であった。

 「あ、ありがとうございます~!」

 黒騎士は滂沱の涙を流して喜んだ。

 黒騎士は失敗した我が身の死を恐れていた。

 自らも失敗した物や敗者を手にかけて来たゆえに己も

そうなる覚悟を決めていた。


 邪悪ではあるがある意味潔い性格の黒騎士だった。

 「サニーカイザー、あれはまさしく太陽の神の眷属」

 「……ま、まことでありますかジャーク様!」

 紫の球、ジャークの言葉に驚く黒騎士。

 サニーカイザーはべらぼうな強さであったが黒騎士は彼を

神の眷属とは信じていなかった。


 「間違いない、あ奴は忌々しい神々が一柱である太陽神の下僕よ!」

 ジャークからしてみれば神の伴侶も神の下僕も変わらなかった。

 「で、ではどのように立ち向かえば宜しいのでしょうか?」

 黒騎士は本物の神の眷属にどう立ち向かえば良いのかさっぱりわからなかった。

 

 「まずは敵を知るべし、実験用に改造モンスターを新たに作成せよ」

 ジャークが黒騎士に命じる。

 「はは、では出来次第試しに適当な村を襲わせます」

 「うむ、まずは様子を見るのだ」

 黒騎士とのやり取りを終えてジャークは姿を消した。


 ジャークが姿を消すと黒騎士は立ち上がる。

 「ふう、まさかお許しいただけるとは慈悲深いお方だ」

 黒騎士の中でジャークへの忠誠度が上がった。

 「では、ご命令通り新たな改造モンスターを作らねば」

 黒騎士は広間を出てさらに地下へと階段を下りて行く。


 髑髏の黒騎士、その名はストーム。

 階段を下りながらストームは己の過去を回想していた。


 今は亡きとある国の王子として生を受けたストーム、だが二十年前に

彼の国は戦に敗れ国も家族も婚約していた同盟国の愛する姫にも裏切られた。

 姫の国が敵国とストームの国を秤にかけてストームの国を見捨てたのだ。

 

 自分だけが辛くも落ち延び荒れ果てた遺跡に逃げ込んだストーム。

 その遺跡の奥で彼は魔神ジャークと契約できる魔導書を手に入れた。

 魔導書でジャークを召喚したストーム、ジャークは彼に告げた。

 「我の司祭となり我を崇める教団を作って世界を治めよ、さすれば汝の

願いは叶えられん」

 召喚したジャークの言葉にストームは感動した。

 

 故国を抜け出してから彼に言葉だけでも寄り添ってくれたのはジャーク

だけであった。

 「忌々しい、ベーグルの街はあの売女が王妃として築いた冒険者学校が

ある滅ぼしたい街だというのに迂闊に攻められん!」

 ストームがベーグルの街の近くの村を襲ったのは私怨であった。

 

 ベーグルの街を治めるグレーデン王国、その王妃こそ自分を切り捨てた

かつての婚約者。

 そして王妃が初の公務として行ったのがベーグルの街への冒険者学校の設立。

 自分を裏切り他の男に嫁いだ女が善人ぶって教育施設を築くなどストームには

許せるものではなかった。

 「おのれグレーデン王国の者ども、サニーカイザーを倒したら次は貴様らだ!」

 復讐に燃えるストームはその瞳に憎しみの炎を燃やした。


 そして地下へと着いたストーム、そこは床には魔法陣が描かれ壁には

様々な魔導書が納められた本棚や薬品棚が備え付けられた彼の研究室だった。

 

 本棚から魔導書を一冊取り出しページをめくるストーム。

 「拳闘士くずれとコボルトを混ぜて風属性を持たせたのは戦えない

わけではなかったがやはり弱かったならば強いモンスターに炎の耐性

を持たせればサニーカイザーに対抗できるのではなかろうか?」

 対抗策を考えつつページをめくるストームがあるページに辿り着く。

 

 そこには赤い色のドラゴンが描かれていた。

 「ふむ、レッドドラゴンか? これならば行けるやもしれん」

 レッドドラゴンが使えると踏んだストーム。

 「レッドドラゴンの生息場所と言えば火山都市ボルケか、あそこは

太陽神を崇めるサンサン教の総本山という事は敵地ではないか!」

 欲しい素材が敵地にあると知り絶望するストーム。

 「畜生め、絶望的ではないか! しかし、行くしかあるまい」

 ストームは腹を決めて、火山都市ボルケに向かう事を決めた。


 敵に対抗する手段があるのが敵の本拠地、虎穴に入らねば虎児を得ず

とストームの決死行が始まる。


 

 

 

 

 



 


 

 

 


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