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英雄は明日笑う 外伝  作者: うっしー
キャラクター外伝
2/4

ナナセ・スティンリー

 その日も僕は空を見上げていた。


 白縹(しろはなだ)のように薄く澄んだ青色を見ながら一つため息をつく。僕の心はあの空のように澄んだことなど今までにあっただろうか。いや、小さな頃はあったのかもしれない。

 今は遠く離れてしまった妹を想いながら僕は昔を思い出していた。




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆




「ナナセ、ほーら貴方の妹のヤエよ~」

 煌めくような笑顔で僕に小さな命を預けてくるのは僕の母、イツミだ。彼女の腕の中には先日生まれたばかりの小さな、小さな命が抱かれていた。もぞもぞと動いて時折漏らす声はとても可愛らしい。

「僕の……妹? ヤエっていうの?」

 頬が上気してくる。ずっと望んでいた僕より年下の小さな子。嬉しさで目を煌めかせながら、僕も母を見上げた。

「そう。私がイツミでパパがムツキ。あなたがナナセでしょ? だから次の子が生まれたら名前は絶対ヤエにするって決めてたの」

 ふふふ、と笑いながら愛おしそうに小さな命を見つめる母に僕も幸せな気持ちになって同じように微笑んだ。少しかがんでくれた母のおかげで、僕の目線まで来たヤエのお饅頭のように白くて柔らかい左のふくらはぎを指先でつついてみる。何故だかヤエが笑ってくれた気がした。



「ヤエ、僕はナナセだよ。君とは十も違うんだ。だからいつでも頼ってね」

「ナナセったら。もうお兄ちゃん気取り? ふふ」

「気取りじゃないよ! 僕お兄ちゃんになったんでしょ? これからは僕もヤエを守ってあげるんだから」

 得意げに胸を逸らせながら母を見上げる。母はくすくすと笑っていた。彼女の笑顔はいつも温かい気持ちにさせてくれるんだ。だから僕はいつでも彼女を笑顔に出来るように振る舞っている。



 そうこうしている間に部屋の入り口より奥の方からカタンと扉の開く音が聞こえてきた。

「パパだ!!」

 忙しくても必ず帰って来てくれる父を尊敬していたし、誇らしくも思っている。嬉しくなって僕は部屋を飛び出し、父のたくましい腹へと突撃した。

「ナナセ、ただいま。いい子にしてたかい?」

「うん。ちゃんとママの言う事聞いてたよ」



 僕の父は食料集めをするため、いつも昼は出かけている。畑仕事に狩猟、今の家で隠れて住むようになってからは大忙しの毎日だった。僕も時折手伝ってはいるけれど、ここ最近はヤエを産んだばかりの母の体調が気になり、家で待機していた。

 ここには知り合いも頼れる人もいない、以前住んでいた場所はクロレシア王国の騎士たちに見つかって滅ぼされてしまったからだ。

 正直クロレシア王国の人達は怖いと思う。けれど僕が彼らに感じているのはその程度の事だった。なにしろ村を追われたのは僕が三つになったかならなかったか、それぐらいの時だったから。



「ねぇ、パパ。僕友達にヤエの事報告してきてもいい? いいお兄ちゃんになってヤエを守るんだって言うんだっ」

「ああ、いってらっしゃい。日が傾く前までには帰るんだよ」

「うん!」

 元気よく返事をして僕は玄関を飛び出した。家の外には草原が広がっている。僕の家は小さな丘の上、大草原の中にぽつんとあった。見晴らしがとても良く自然に囲まれていて空気もとても清々しいのだ。腰の丈ほどもある草の根をかき分けて弾む気持ちを抑えながら僕はいつもの場所に来た。



 いつもの場所というのは周囲に草がなくなり、遠くの方に山と空が見えるだけの広々とした、まるで自分の為だけに作られたホールのような空間だ。僕はそこで天に向かって手のひらを突き上げた。

「ニーズヘッグ、フレスヴェルグ、フェンリル、来て!!」

 僕の声に呼応するように、右手の甲にある紋章が熱を放ち同時に周囲に風が巻き起こった。ウキウキとした気持ちを鎮めながら僕は見上げる。早く報告したくて仕方がなかった。

 最初に姿を見せてくれたのは赤とオレンジと黄色が鮮やかな鷲の姿をかたどったフレスヴェルグだ。フレスヴェルグは地に足をつけて羽をたたむと、僕の三倍以上はある身体を縮めて頭をできるだけ低くしてくれた。


 優しいんだなぁっと感じる。首の辺りを撫でてあげると、クルルッと小さな声で鳴いた。物心ついた頃からずっと一緒に居てくれる、僕の友達の一人だ。ここに住み始めてから周囲に人という存在はなかったけれど、僕には彼らという友達がいる。だから例え友達が人じゃなくても僕は幸せだった。

「フレス、聞いてよ! 僕に妹が出来たんだ!! とっても小さな子なんだよ。ぼくが守ってあげなきゃ」

 興奮で少し声を上ずらせながら報告すると、フレスヴェルグにも自分の喜びが伝わったのか目を細めて嘴を僕の頬に摺り寄せてきた。痛いよ、と膨れて文句を言いながらも、同じように喜んでくれていると感じたから嬉しかった。



 抱きついて頬ずりしている僕とフレスに嫉妬したのか、次に出てきたニーズヘッグがフレスヴェルグを弾き飛ばすように間に割って入ってきた。お互い威嚇しあって睨み合っている。本当に二人ともいつも仲が悪いんだから、と半分呆れながらも僕はニーズヘッグに触れた。固い鱗、目の周りには縁取りのように赤い模様が描かれている。蛇のような姿だが、そう見えないのは頭の辺りにヒレのようについている耳が原因だろう。

「ニーズ、いい加減フレスと仲良くしたら?」

 少し不機嫌を装って言ったら、ニーズヘッグは困った顔をした。とは言っても実際そういう表情になったわけではないのだけれど。僕には分かるんだ、彼らが何を考えているのか。ニーズヘッグにもヤエの事を報告したら、嬉しそうに微笑んでくれた。良かったねって言葉まで聞こえてきそうなぐらいだ。



「フェン、遠慮しないでこっちにおいでよ」

 いつまで経っても姿が見えないと不思議に思い辺りを見回してみれば、オオカミのような姿をし青い毛で覆われた獣が、大きな体を横たわらせたまま少し離れた場所からこちらを見ていた。名前はフェンリルという。もしかしたら一番最初に出て来ていたにもかかわらず、ずっと見守っていたのかもしれない。フェンリルは彼らの中でも一番落ち着いていて大人なのだ。僕の二人目の父であり、母であり、兄(姉)でもある。僕はいつまでも動かないフェンリルに可笑しくなってクスリと笑うと、こちらから歩み寄った。僕が居なくなったことで喧嘩を始めたニーズとフレスは後でフェンに叱ってもらおう。



「フェン、疲れたの? なんだかお年寄りみたい」

 からかって言ったらフェンリルはのそっと体を持ち上げて僕にしっぽを巻き付けてきた。誰がお年寄りだって文句を言ってるのかな? さらに可笑しくなる。

「ごめん、怒らないでよ」

 もふもふとした青い毛に指先を絡める。ふわふわと、とても気持ちいい。許してくれる気なのか、フェンリルも僕にすり寄ってきた。


「僕もフェンのようなしっかりしたお兄ちゃんになれるかな?」

 大人な対応のフェンリルを見ていたら不安が少し勝ってきて、声を震わせながら問いかけた。大丈夫、というように鼻先を僕の頬に擦りつけてくる。何故だか不安が消え去り自信が湧いてきた気がした。

「そうだね、僕ちゃんと妹を守れるように頑張るよ」

 微笑んで再びフェンリルの首に抱きつく。大切な僕の友達。彼らが居てくれてよかった、僕はしみじみと思った。



「みんな、ありがとう! また呼ぶね」

 僕の喜ばしい報告を聞くという役目を終え、消えていく召喚獣たちに手を振り僕は家へと駆け出した。もう少しすれば空の色が変わってしまう。日暮れまでには帰ると父と約束したのだ。友達と別れるのは名残惜しくもあったが、永遠の別れというわけでもないだろう、この時はそう思っていた。




「ただいま! パパ、ママ…………」

 元気よく帰宅の言葉を告げながら扉を開いて僕は固まった。言葉も途中で途切れてしまう。目の前に広がっている紅い海に膝から力が抜け、僕はその場にへたり込んだ。どうしてと、まとまらない考えばかりが頭を占める。

 海に沈んでいるのは二人、頼もしい父と笑顔が大好きな母だ。僕の頭を狂わせるように赤ん坊の、ヤエの鳴き声がこだましていた。力の入らない体を引きずって、僕は赤い海の中へと身を進ませる。清潔そうな白い靴下はすぐに赤い液体を吸ってもったりと重くなった。それにも構わずたくましい父の体に触れる。まだ温かい、なのに固く硬直し始めていた。首から先は繋がっておらず、少し離れた場所に転がっている。母も父に寄り添うように同じ場所で同じようになっていた。



「あ……あ、ぁ……」

 言葉が出てこない。胃の奥からこみあげてくるナニかを飲み下し、それでも視線を外すことが出来なかった。大好きな父と母から視線を逸らすことなど出来るわけがなかった。

 ぎゃぁぎゃぁと泣き喚く赤ん坊の声が先程より大きくなる。気が付けば白に金のラインが入った鎧を着た大きな男が、赤ん坊を、ヤエを抱えたまま僕を見下ろしていた。この鎧には見覚えがある。クロレシア王国の騎士だろう。

「子供か」

 舌打ちした騎士に、赤く濡れ、生気のない目で見上げていた僕の顔を蹴り飛ばされた。男はヤエを床に下ろすと、痛みで呻いている僕の上に馬乗りになってくる。同時に首を締めあげられた。



「ぁっ……かはっ……」

 苦しさで言葉なんて出てこない。召喚獣を呼ぶ集中力さえ皆無だった。僕の首を絞めている男の腕を必死になって爪で掻いても微動だにしない。僕はもう死んじゃうんだ、父と母とともに、ここで死ぬんだ。自身から溢れる様々な液体でぐちゃぐちゃになりながら、僕は苦しさで目を閉じた。



 おぎゃぁ、おぎゃぁ。



 耳に届く赤ん坊の声。守るって約束した、僕の大切な妹ヤエの声だ。僕がここで死んでしまったら父も母も居なくなってしまった今、誰が彼女を守るんだろう? 友達とも約束したはずなのに彼女だけ残して逝くんだろうか? そんなことはしたくないと、僕は再び目を開いた。どうにか声を振り絞る。

「…………す、……て」

 僕の微かな声に、クロレシアの騎士は何かを思ったみたいだ。手を緩められ、一気に流れ込んできた酸素にむせる僕の顎を掴み上げてきた。

「ふん、よく見れば殺すには惜しいツラをしている。俺の言う通りにすれば命だけは助けてやろう」



 その後僕は、騎士に口では言い表せない程の苦痛を与えられた。だけど後悔はしていないよ。おかげで今もこうしてヤエを守ることが出来ているんだから。

 気が付けば両親を弔う間もなく、僕は騎士に連れられるままクロレシア王の前に差し出された。

「なぜ殺さなかった?」

 王が僕の背後に居た騎士に一言だけで問う。おそらく僕とヤエの事を言っているのだろう。騎士は泣き喚くヤエの服をはぎながら、その足を王の方へと見せた。ヤエに一体何があるのだろうか。気になって横目でヤエを、ヤエの足を見て僕は驚愕の声をあげた。同時に騎士に殴り飛ばされる。それでも痛みより、驚きの方が上だった。



「ほぅ……。これは素晴らしい。我が国の力になりそうだ」

 ヤエの両足には信じられないほどの大きさの紋章があった。僕がつついた白くて柔らかなふくらはぎも、今は紋章に埋め尽くされている。どうしてと不安ばかりが膨れ上がってきた。

「二人を研究所に送れ。後の事はコタロウに任せる」

「御意に」



 騎士は僕らを連れて研究所へと行った。そこで行われた僕とヤエに対する実験は口に出すのもおぞましい程だ。様々な液体を流し込まれ、襲い来る苦痛と吐き気、生きているのが不思議なぐらいに毎日を玩具のように扱われていた。そこで五年。五年もの間実験対象として拷問を受けた。もういっそ死んでしまいたいと思う日々もあった。それでも生きて来られたのは、故にヤエのおかげだろう。彼女は物心ついた頃から実験をされることが当たり前になっていて、だからこそいつも明るかった。彼女は僕の大好きだった母と、同じ顔で笑うんだ。



 実験、実験、実験続きの日々。そんな中、事件は突然起こった。その日も僕とヤエは当然のように実験を受けていた。けれど違ったのはヤエの実験中に機械が爆発したことだ。幸いヤエに直接繋がっていた機械ではなかったけれど、その衝撃でヤエの右足は突然動かなくなった。歩けなくなってしまったんだ。それでも仕方ないと笑うヤエの笑顔に、僕は耐えられなくなった。

 彼女を守るって約束したじゃないか。なのに僕は何をやっているんだろう? このまま実験が続けばヤエの命が失われてしまうかもしれない、それがとても怖かった。



「お願いします陛下!! ヤエは……ヤエだけは助けてください! 僕は何でもします、だからっ……」

 僕は恨みも憎しみも全部を捨てて陛下に懇願した。こうでもしなければヤエは守れない。悔しくて怒りを覚えたが、それでもヤエを守るにはこうするしかなかった。

「ほう。ならば貴様の力を全て差し出せ。そうすれば妹には手を出さないでおいてやろう。いや、全てでは役にも立たぬか。最低限の力のみ残しておいてやろう。ただし貴様が裏切れば妹がどうなるか……分かるな?」

 僕は歯ぎしりをしながらもその条件をのんだ。陛下に言われるまま、力の半分以上を差し出す。もう二度と、フレスとフェンに会うことはできないだろう。それでも僕はヤエのために諦めるしかなかった。

 この時から、かな。僕はヤエ以外の全てを諦めるようになったんだ。



 ヤエの為に、ヤエの為に。それから三年間僕は死に物狂いで生きた。ヤエが”紋章持ち”のクズだといじめられれば彼らが手出しできないよう地位を求めた。使える者はすべて使った。僕を辱めたあの騎士ですら、ね。プライドなんて力を差し出したあの時に全て捨てたよ。



 それでも不安になる事はある。本当に、今のままでいいのかってね。自由を奪われて本当の幸せすら知らずに生きているヤエ。母と同じように思っていた彼女の笑顔は、それでもどこか違う気がした。彼女は広い世界を知らない、箱庭の鳥なんだって。

 だからかな。空を見ようってヤエと約束したんだ。僕が昔見ていたあの空は今も変わらずそこにあるから。ヤエにもあの幸せを知ってほしかった。




 僕は空を見上げる。




 あの時と変わらない白縹(しろはなだ)のように澄んだ空。

 君が姿を現したのはそんな時だようっしー。僕が手柄を得るために君を騙したとも知らず、間抜けな顔で近づいて来た。僕も本当に驚いたよ。君は僕のように実験台にされるだろうとばかり思っていたから。戦いは避けられない、僕は思った。

 だから今唯一の力でもあるニーズヘッグを呼び出したんだ。今では僕のたった一人の友人。同じ”紋章持ち”でも僕とは違って、君には助けてくれる仲間が居た。そんな君が羨ましくて憎らしくて、すぐに始末するつもりだった。可笑しいよね、全てを諦めた僕が今さら何を求めるっていうんだろう。でもとても怒っていた君は想像以上に強かった。



「地位や名誉の何がそんなに大事だ!! 俺たちは、ただ平凡に暮らしていられれば良かった! ただそれだけだったんだ!!」

 戦いながら、君は言った。すごく腹が立ったよ。僕だってそうだった。平凡に暮らしていたかった。でも今それをするには地位と名誉がなければできないんだ。ヤエを守るための盾が地位と名誉なのだから。

 だから僕は必死で君と戦った。勝てると思ってた。違う、負けたくなかった。僕の人生を否定されてる気がしたから。


 ……結果は惨敗だったけどね。


 僕は死を覚悟したよ。今ならヤエに僕の地位を残せる。後悔は、ないと言えば嘘になるけど、いつ死んでもいいとは思ってた。君に頬を叩かれて起こされた時、また驚いたよ。本当に君は何をするか分からない人だ。僕の見てみぬふりしてきた疑問を的確に言い当てて言葉でも攻撃してくるんだ、酷い奴だよまったく。



 でも君の言う通りだ。僕は何もかもを諦めて今のままで本当にいいのかと疑問に思いながらも、怖くて現状を変えようとはしなかった。言い訳を述べたら君に拳で殴り飛ばされたね。引っ掛かりがあるまま現状に満足するな、行動しろ。君の言っていることはもっともだよ。でもそれが出来ない力ない者たちはどうすればいい? そんな僕の心をまるで分かっているみたいに君は言うんだ。

「力がないなら一人でやろうとするな。周りを見ろよ。頼れる奴がいないなら今ここで頼め」



 頼むって誰に。疑問に思う間もなく君は言葉を続けていく。

「俺が力を貸してやる」

 君はバカなのかい? 僕は君を騙して殺そうとした男なんだよ。バカすぎてこちらが恥ずかしくなってくる。もしこれが寝言なら目を覚まさせてあげないと。僕は見透かされていたことに対する照れ隠しもついでに、思いっきり彼の頬を殴りつけた。

「痛ってぇ!? 何でいきなり殴るんだよ!?」

「さっきのお返しだよ。まったく、暑苦しい顔を近づけないでもらいたいね」


 バカは僕の方だったのかもしれない。たった一人でヤエを守ろうとしてた。違う、守ってたんじゃない。僕は逃げられないと思い込んで、エサを与えてくれる箱庭の中にヤエと全てを犠牲にして甘えて居座っていたんだ。いつでも飛び立つことは出来たかもしれないのに……。




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆




 僕は空を見上げる。

 僕の心とは裏腹な空を。



「ナナセ、いつまでぼーっとしてんだ! おいてくぞ!!」

「ごめん。すぐ行くよ、うっしー」

 君と出会って、沢山の事が見えるようになった気がする。君がタケルを救いに行くように、僕も今度こそヤエを守らないとね。今はもういない父と母、フレスとフェンとも約束したんだ。

 僕、立派なお兄ちゃんになるよ。帰ったらヤエに本当の自由を教えてあげるんだ。



 ずっと見ないふりして全てを諦めてきた。でも諦めるのはまだ早かった。僕は何も、挑戦すらしてなかったんだから。




 こんな大切なことに気づかせてくれてありがとう、うっしー。




 恥ずかしくて、君本人には一生……死んでも言わないけど、ね。

 でもこれだけは思うんだ。僕は君と出会えたから変わることが出来た。

 そしていつか、僕の心もあの空のように澄んでいくはずだって。






 END

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