表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人魚の町  作者: 侍二人
1/1

寂れた海の町

 第一印象は、薄汚れている寂れた町、だった。

空は黒くて重く厚い雲に覆われ、風が強い。背中を丸くして歩く人の足取りも重く、海が近いせいか磯の匂いが濃かった。会社が用意した社宅は、山を削ったような斜面に建っていて、波の荒い海がよく見える。まだ新しいはずなのに、海から吹く強い潮風のせいか痛みがあちこちに見えたが、中は比較的新しく見えた。

「新築じゃないのね」

妻の美砂子が不満気に言った。言葉の裏に私への不満も含んでいるような刺す一言だった。

「仕方ないさ。社宅なんだからな」

何でもないように返した。「そうね」と言うと美砂子は突き上げるようにこちらを睨んですぐ、目を反らした。

「海南江、遠くへ行っちゃダメよ」

玄関で靴を履く、今年5歳になる娘に声をかけた。「はーい」と元気のいい返事が聞こえたが、窓から見ると家の前にあるコンクリートの階段を駆け下りて行ってしまう後ろ姿が見えた。

「海南江、ママが遠くへ行ったらダメだって言ったろう」

慌てて私が窓から声をかけた。追いかけようと玄関へ向かおうとすると

「大丈夫よ。こんな田舎、危ない事何もないわよ」

と美砂子が気のない言い方をした。

「それより、片付けましょう。このままじゃ毎日の生活もままならないわ」

玄関口に積まれた段ボール箱の山。辛うじて大物の家具は部屋に運び込んでもらえたが、それ以外はあちらこちらに積み上げられている。

車の入れない路地と階段の繋がりの先にあるこの家へ引っ越すには、人海戦術とばかり人手を掛けられてそのせいで引っ越し屋の見積もりは高かった。会社が負担してくれるものと思っていたのだが、転勤費用は規定分しか支払われず、それ以上は個人の負担だと断られた。美砂子はその事も気に入らなかったらしく、ずっと機嫌が悪い。元々、転勤も引っ越しも美砂子は反対だった。折角、待機児童を脱して入れた海南江の保育園を退園する事になるし、こちらで新しい保育園を探さなければなくなるし、彼女は働いていた職場を退職しなければならなくなった。単身赴任でも良かったのだが、何故か一緒に行くと言って付いて来てくれたのだ。感謝するしかないだろう。

後ろも見ずに駆け出して行ってしまった海南江を窓越しに見送ると

「じゃあ、玄関から片付けるか」

と腰を伸ばした。最近、腰が痛いのだがそれを言えば、美砂子はもっと機嫌が悪くなるだろう。気を付けながら、ゆっくりと重い段ボール箱を持ち上げた。


 玄関の段ボール箱を運び終わった頃には、外は薄暗くなっていた。日の差さない曇り空だったこともあって、暗くなるのが早いようだ。

「海南江はどうしたんだ?」

キッチンというには古びた、昭和の香り漂う蛍光灯の明かりの下にいる美砂子に聞く。

「まだ帰って来ないわね。あなた、迎えに行ってあげて」

夕食の支度もしないで、ぼんやりと佇んでいた美砂子が言った。不審に思いながらも

「そうだな。探してくる」

そう言って玄関から、サンダルを履いて外に出る。生暖かくて生臭い風が顔を撫でた。何とも堪えられない不快な感覚だった。

「海南江、海南江―」

名前を呼びながら、玄関を出てすぐの狭いコンクリートの階段を下りる。どこまで行ったのか、皆目見当がつかない。とりあえず、階段を下りて真っ直ぐ海に向かう細い坂道を下っていくことにした。

サンダルの底が、荒いコンクリートの道で擦れてザリザリと不快な音を立てる。道の両脇にはすでに誰も住まなくなって年月が経ったと思われる、廃墟のような空き家が点在していた。たまに玄関に灯りの点いている家があるが、本当に人が住んでいるのかと思うくらいに静かだった。聞こえるのは荒れ狂う波の音だけ。

家々の合間を縫うように細い道は続いていたが、途中でいきなり行き止まりになり、道は右と左へ分かれていた。塀がある訳でもないが、段差の激しい道だ。5歳児の姿など、どこかで見過ごしているかもしれない。

まさかとは思うが、海へ行ったりしていないだろうか。そうだとしたら、あの荒波では危ない。右の道を選んで、急いで海岸へ下りる道を探した。

 道は入り組んでいてどこをどう通ったものやら、なかなか海岸まで辿り着けない。見落としがないようあちこちの路地を覗き込み、海南江の名前を呼ぶ。もう薄暗いからだろうか、街中に人の姿は全く見えなかった。

 さっきの美砂子の態度に、少しながら怒りが湧いてくる。引っ越したばかりで食材もなく、途中で買ってきた出来合いの汁と乾麺の蕎麦を茹でるだけの夕食の準備にそれほど時間は掛からまい。一緒に探していれば、時間もかからず見つかるかもしれないのに、子供のことが心配ではないのか、と。

その上で、居た堪れない思いもある。美砂子はこんな所について来た事に、後悔し始めているのではないだろうか。始めから気の進まない転勤話ではあったのだ。今からでも帰るように勧めてみようか。

不安に苛まれながら、思考は過去へと遡っていく。

元を辿れば、出産、結婚そのものにも不満はあったのかもしれない。知り合ったのは学生時代だが、付き合う切っ掛けは、恋人に暴力を振るわれていると相談に乗った事だった。なかなか別れ話に承諾してくれない相手との関係は曖昧に継続しながらも、美砂子は私との交際を始めていた。結局、相手から金の要求があり、私がアルバイトで貯めた貯金と両親に頼んで都合してもらって決着をつけた。金は後で返すという約束だったが、私と結婚することになり、その約束はなし崩し的になくなった。

付き合って三ヵ月の出来婚。それも、美砂子が妊娠し、堕ろしたいと言ったのを私が止めたのだ。元の彼との関係がいつまで続いていたのかはっきりとは分からないが、自分に心当たりがないとも言えず、結婚という方法で包括的に結論を出した。

母に言われて気が付いたことだが、海南江は日に日に私に似なくなっていく。美砂子に確かめたことはない。一番分かっているのは彼女であろうと思うが、自分も何も知らなかった訳ではないのだ。今更、そんな事を言い出しても仕方がない。美砂子との結婚生活には、そういう諦めにも似た感情があった。


路地に入り込んで少し、道の真中に白くなった髪を後ろで束ねた老婆が立っていた。街灯が、薄暗くなりかけた路地から白髪頭をぼんやり浮き上がらせている。

「こ、こんばんは」

喉が乾いているのか、声が掠れた。老婆の目は皺に隠れて小さく、どこを見ているのか分からなかった。

「女の子を、見かけませんでしたか?五歳くらいの・・・」

老婆が少し、顔を上げた。街灯が皺だらけの顔に濃い陰影を作り出し、表情は読み取れない。

「海岸へ下りる道をご存じなら、教えてもらいたいんですが」

老婆はこちらを向いたまま、皺だらけの手を後ろへスウッと伸ばした。向こうの街灯の下に階段が見えた。

「あ、ありがとうございます」

頭を下げてその横を通りぬけて行こうとすると、いきなり腕を捕まれた。老婆とは思えない強い力に驚き、私は必死に抵抗して振りほどこうとした。しかし、振りほどくことは出来ず、骨ばった指が腕に食い込んでいく。痛みに顔を顰めた。

「どこへ行く・・・」

しわがれた声が聞こえた。老婆が発した声とは思えないほど、奥底深い暗い声だった。

「か、海岸へ・・・娘を探しに行きます・・・」

「夜の海には近づくな」

そう言うと老婆は手を放した。私は逃げるように階段の近くまで走り、振り返った。

しかし、今通り過ぎた路地には誰もいなかった。


掴まれた腕の痛みはまだ残っていた。階段を下りながら、もう一度振り返る。街灯下には誰もいない。掴まれた指の跡が腕に残っている。確かに、老婆はいたのだ。

 階段を下りると、潮の匂いが強くなった。生臭い、独特な臭いも混じっている。長くて暗い路地を抜けると、いきなり海岸へ出た。砂浜より砂利が多くて、狭い。そこを漂流物が半分くらい埋め尽くしている。見渡すほどもなく、海南江を見つけた。

「海南江」

声をかけると、砂利と漂流物の間に座り込んでいた海南江が立ち上がった。手に何か持っている。

「パパ、貝拾ったあ」

掲げて見せた。ホッとした。海南江は幸い波打ち際から離れていたが、ほんの数メートル先には荒波が近づくものを飲み込んでやろうとばかりに激しくのた打っている。

「海南江、帰ろう」

手を差し出すと、海南江が走って来て私の手を握った。何を触ったのか分からない滑りが、手の平に残った。私はそれを確かめるより、早くここから離れたかった。老婆の「近づくな」という警告も気味が悪かったが、どんどん濃くなっていく生臭さに耐えきれなくなってきたからだ。

海岸から少しでも早く離れようと、海南江の手を引いて歩きながら聞いた。

「海南江、何をしていたんだい?」

海南江は自分の拾った貝を満足そうに眺めながら

「遊んでた」

と無邪気に答えた。

「ダメだよ。今度から海に来るときは、誰かと一緒でないといけないぞ」

私の言った言葉に、海南江は不思議そうに首を傾げた。

「一緒に遊んでたよ」

返答に驚いて海南江を問い詰めるように見つめた。

「誰と?」

「大きい、おさかなさん」

「魚?」

「うん。海南江、おさかなさんと遊んだよ」

ふいに私は怖くなって、後ろを振り返った。いつの間にか闇は波打ち際まで迫っていて、よく見えなかった。

もしかしたら、海岸に打ち上げられた魚がいただけかもしれない。しかし、薄暗い海岸を見回したが、それらしいものは見えなかった。とっくに波に浚われでもしたのかもしれないが。


帰りつくと、門燈が点いていた。そういえば出かける時は点いていなかったな、と気が付いた。

「おかえりなさい」

さっきまでの不機嫌な態度はすっかり消え、美砂子は玄関まで笑顔で迎えに出て来た。

「よく見つかったわねえ。海南江、どこ行ってたの?」

海南江は、持って帰った貝殻に夢中で答えない。

「海岸まで行っていたよ」

私が代りに答えると、驚いたような表情をして

「ここ、海岸まで結構、掛かるらしいわよ。道が入り組んでいて、なかなか辿り着けないんですって」

心配そうに海南江の顔を覗き込む。家の中から蕎麦を茹でた湯の匂いと、麺汁を温めたのか市販物らしい強い醤油の匂いがした。

「ここの海岸は波も荒いし、もう行かせない方が良い」

「ええ、そうね」

美砂子は、気のない返事をした。

「でも、ここの海岸は狭くて行ける道も一本しかないから、わざわざ行く人もいないらしいし」

「よく知っているな。そんなことを」

まるで見てきたように話す美砂子に、違和感を感じて言った。美砂子は笑顔を浮かべて答えた。

「ええ、近所の方かしら。お婆さんから聞いたのよ」

「いつ?」

私は恐る恐る聞いてみた。美砂子は不思議そうな顔をして言った。

「さっきよ」

さっき。私があの老婆に会ったのは海岸の近くだった。帰って来る私たちより早くこの家を訪ねた、なんてことがあるだろうか。

「どんなお婆さんだった?」

私の疑問より早く、美砂子は砂だらけの海南江に驚いて、「足を洗うまでおうちに上がっちゃダメよ」と、言い置いてタオルを取りに行ってしまった。


 夕食は茹でた蕎麦だけの質素なものだった。文句を言いたい訳ではないが、それで運び込んだ段ボールの一つも片付いていなかったのを見た時は落胆した。夕食に使う食器の入っていた段ボールを開封してあるだけだ。

「片づけなら明日やるわよ」

私の視線の行方に気が付いたのか、美砂子は不機嫌そうに言った。海南江は拾ってきた貝殻をテーブルの上に置いて、それを眺めながら小さなお椀からフォークですくった蕎麦をすすっている。

「明日から出社だけど、大丈夫か」

私の言葉に美砂子は「しょうがないじゃない」と素気なく返した。その後の夕食は静かだった。いや、激しい波の音だけは聞こえていた。耳を塞ぎたくなるくらいの。


 起きてキッチンへ向かうと、インスタントのみそ汁とご飯、海苔の簡単な朝食が用意してあった。

「今日こそ買い物に行くわ。何もないんだもの。海苔だけは、近くの雑貨店にあったのよ。地元の方が作っているんですって」

私の前にご飯を盛った茶碗を置きながら、独り言のように話し続ける。

「ねえ、あなた。車が欲しいわ。この町の中じゃ、大したものは買えないし・・・・・・でも、しばらくはバスかしら。ここは大変ね、本当に」

「そうよ、まずは海南江の保育園探しね。仕事も探さないと」

「そんなに急ぐことはないんじゃないか。環境も良さそうだし、ゆっくり子育てするのも・・・・・・」

私がそう言うと、美砂子は溜息をついて食べ終わった自分の食器をがしゃん、と派手な音を立てて流しに置いた。

「あなたはそう言いますけどね、私だってこんな陰気な家に籠っていたくないの」

だったら付いて来なければ良かったじゃないか、思わず感情のまま口走ってしまいそうになる。しかし、ここで感情的になれば朝から不愉快な思いをして出かけなければならない。

「いい保育園が見つかるといいな。それと、海が遠いといい」

美砂子が私の顔を少し驚いたように見て

「そうね。その方が良いわ」

と言った。海南江が泣く声が聞こえた。起きたらしい。「はいはい」と答えながら、美砂子が寝室へ向かった。

新聞も取ってないし、TVもまだ接続していないので、点いてない。キッチンからダイニングまで開けっ放しで、黒い画面だけが見える。

ニュースも見られず、手持無沙汰だ。わざわざ今、携帯を見る気にもならない。外から波の音だけが聞こえる。生まれてこの方、海の近くに住まったことはない。小さい頃から住んでいれば、この不快な波音も心落ち着く音に聞こえるのだろうか。

「昨日、あんまり眠れてないのよ。ねえ、海南江」

海南江をよしよしと揺すりながら抱いて、美砂子がキッチンへ入って来た。

「波の音がうるさいからだわ」

そういえば、私も疲れていたはずなのに昨夜は眠りが浅かった。

「窓が古いせいかもしれないな。もっと、密閉性の高い物に変えればいいんじゃないか」

「業者さんを呼んでる暇がないわよ」

美砂子がばっさりと切り捨てるように言い返した。さすがにムッとする。しかし、美砂子はそれに気付かないように続けた。

「それに・・・・・・何かしら?波の音の間に変な音が聞こえるのよ。家の建てつけが悪いせいかと思ったんだけど・・・・・」

「変な音?」

私は気付かなかった。

「あの音のせいで、私も海南江も寝られなかったんだわ」

美砂子は海南江を揺すりながら、虚ろに言った。

「キイ、キイって。何か動物の鳴き声みたいな変な音が・・・・・・」

「裏は林だからな。何か動物でも住んでるのかもしれないな」

私は携帯で時間を確認した。すでに家を出る時間だ。駅まで徒歩で坂道を下っていかなければいけない。

「行ってくる」

美砂子が何か言ったかもしれないが、私は慌てて家を出た。


 新しい営業所配属ということで、午前中の業務は各所挨拶に費やされた。「ランチでも行こうか」と誘ってきたのは、配属先でいろいろと世話をしてくれた同僚だった。

 勤務先は社宅のあるあの海の町から、電車で10分。内陸にあった。同じ町内ではあるが、ビルも車も多く、人も活動的だ。朝、美砂子が言っていたことを思い出す。確かに今までの都会暮らしから、あの海辺の町はあまりにも寂れていて鬱屈が溜まるかもしれない。少しでも早く職が見つかるよう、私もツテを探ってみようと考えた。

「奥さん、いるんでしたっけ?お昼は弁当?」

「いや、まだ買い物にも行ってないもので、食事にも事欠きます」

「あの辺、何もないからなあ。まあ、電車で10分でこのあたりまで出てくればデパートもあるし、駅から無料送迎のバスを使えば大きめのショッピングモールにも行けるし、慣れれば生活に困る事もないでしょう」

「佐崎さんは、あの社宅に入られたことはあるんですか?」

彼は大きく笑うと、私の肩を叩いた。

「独身貴族に社宅は広すぎる。新海さんは家族住まいだから、社宅を紹介されたんじゃないかな」

「じゃ、この辺でお住まいで?」

「お住まいって程じゃないけど、近くにアパート借りてるよ。その方が便利だし」

「あの社宅に住まわれた人って、いるんですかね?」

探りを入れるように聞いた。

「何で?・・・・・・あ、奥さんが気に入らなかったとか?」

「いや、その妻が、というより、あんなに海に近い所に住んだことがないもので」

彼は笑いながら

「磯臭いしね。陰気な町だし、海の荒れる音がうるさくってさ」

と言った。

「よく、ご存知ですね」

「昔、女がいた時少しね。あの町で同棲してたことがあって。まあ、別れちゃったんでこっちに戻って来たんだけど」

「それは・・・・・・」

プライベートに踏み込んでしまった気まずさを噛みしめる。

「あの町育ちの陰気な女だったんだけど、妙に別れ難かったんだよなあ」

返事のしようがなくて、黙っていると豪快に笑い

「昔のことだから。今はまあ、気ままな一人暮らしだけど、女に不自由してる訳じゃないし」

何食べます?とメニューを寄越した。内陸側とはいえ、海に近い町らしく海鮮のメニューが多い。彼は天丼、私は海鮮丼を頼んだ。

「そうそう、前に住んでた人ね。最近はいないんじゃないかなあ。マンションでもこの辺はそれほど高くはないし。社宅ほど補助は貰えないけど、便利さを取ればここらへんか、もうちょっと奥へ行って、ショッピングモール近くの宅地に家買ってる人がほとんどじゃないかな」

「はあ、なるほど・・・・・・」

私の場合は急な転勤という事もあって、その辺りのリサーチが遅れた。追々、こっちへ移り住む方が良いかもしれない。

「何かご不便でも?総務に掛け合いましょうか?」

彼はにこにこ愛想よく言ってくれた。まだ新しい部署に慣れない私に、気を使ってくれているのが分かる。

「いや、それほどでもなく。ただ妻が・・・・・・」

「はあ、奥さんですか。大変ですね」

「変な鳴き声がするとか言ってまして。もし、動物でも住みついているのなら、早めに駆除したいと思って」

「鳴き声?」

「ええ、波の音の間に聞こえるんだそうです。キイキイ、とかそんな感じの・・・・・・」

私の懐疑的な物言いに、彼は笑顔で答えた。

「ああ、それは人魚の鳴き声ですよ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ