ドッペルゲンガーとして生きる
名もなきドッペルゲンガー
年齢:不詳
説明欄:経歴・出生等:総て不明。
種族:ドッペルゲンガー
ジョブ:ドッペルゲンガー
体力:??????/%%%&%&'()('&%$#"$'
魔力量:?????/%&$%'&('(''%$&$&$'
攻撃(物理):不明
(魔術):不明
命中(物理):不明
(魔術):不明
防御(物理):不明
(魔術):不明
パッシブスキル
・\\\\\\\\\\\\\\
|
・**************
アクティブスキル
・バフ選択
・ジョブ選択
・ステータス値決定・変更 pt:1000
・主人決定
・寄生
呪い
・ドッペルの掟
・不幸
「…なんだこれ」
気づけば周りは平原、素っ裸で変なものを眺めていました。
私の名は、「名もなきドッペルゲンガー」。
名がないのに名がある。そんな矛盾はいいとして。
ここになぜ素っ裸で立っているのか。
そしてここはどこなのか。
私の居たところはどうなったのか。
記憶喪失なのはなぜか。
このステータスとやらは何なのか。
湧き出る疑問は答えを得られず空へと飛んでいく…
(しょうがない、ステータスをもう一度眺めてみよう)
種族はドッペルゲンガーで、ジョブはドッペルゲンガーで、いろいろと文字化けしてて、わからない。
特に体力は見えててほしいのに。
下を見るとパッシブスキル、アクティブとある。呪いまである。
パッシブはやはり文字化け。
アクティブは特に目を引くものは…ん?ステータス値決定?
【ステータス値を決定しますか? Y:N】
(うおっ)
脳内がぐわんぐわんする。
今のこれは、頭の中で思ったことで現れたようだ。
(とりあえず、Y)
Yに指を触れると、頭がさらにぐわんぐわんする。感覚でいうと、目眩。
すると、
【ステータス値を設定してください… 残り1000pt】
と同時につまみとかいろいろ現れた。
ptというのが気になるのだが、体力の横のつまみを回してみる。
右に1。
値が10000上がり、残りtpが999になった。
なるほど、つまみを1回しで1pt使い10000増える。
すべて使えば10000000まで上がる…どんだけチートなんだ。
よし、これは今後私が決めるジョブの土台になるはずだ。
次は魔力…と1回しすると1000上がるどころか200しか上がらなかった。
なるほど。各ステータスごとに上がる量は違うということか。
なら、体力は必要だ。魔力は今はいらないから少なめに。
攻撃力は物理魔術均等にして、命中はほどほどに。
防御もたっぷり。という形でパラメーターを操作する。
出来上がったステータスがこちら。
名もなきドッペルゲンガー
年齢:不詳
説明欄:経歴・出生等:総て不明。
種族:ドッペルゲンガー
ジョブ:ドッペルゲンガー
体力:30000:30000
魔力量:600:600
攻撃(物理):20
(魔術):20
命中(物理):10
(魔術):15
防御(物理):20
(魔術):20
パッシブスキル
・\\\\\\\\\\\\\\
|
・**************
アクティブスキル
・バフ選択
・ジョブ選択
・ステータス値決定・変更 pt:889
・主人決定
・寄生
呪い
・ドッペルの掟
・不幸
さて、こんなところだろう。
パッシブスキルが見えないのが辛いな。
バフ選択とはなんなのだろう。ジョブ選択よりいらないと思うんだが。
ではとりあえずジョブを決めよう…と思ったら、あることに気づいた。
日が落ちかけている。
夜になるまで熟考して考えていたという衝撃の事実。
いいじゃないか、一番自分の身がかわいいんだよ。
そんなこと考えている場合じゃない。洞穴かなにかないだろうか。
なにかのゲームみたいに夜になるとゾンビとかが湧いて出てくる確証はないが、視野が悪くなるのは勘弁したい。
平原を走り回るが穴らしきものは特に見当たらない。
こうなったら仕方ないと、木の上で寝ようとしたが、木すらも見当たらない。
なぜか息は切れないが焦りが出て息が浅くなる。
そうこうしているうちに夜になってしまい、辺りは真っ暗闇になってしまった。
「あ…あれ、声出せる?」
夜になったのと関係はあるのだろうか、声が突然出せるようになった。
「そ、そんなことより、どこかに身を隠さないと…」
今の自分は素っ裸だ。何かに出遭ってしまったら生き残れる自信はない。
また普通の人に出会っても変態扱いか、新しい魔物とでも勘違いされて確保か、退治、お縄につくことになるだろう。
「あっ、あった…!よかった…」
走っていると岩に穴が空いていて空洞になっている場所を見つけた。
「これでしばらくは…」
空洞に入ろうとしたとき。
体中に纏わりつくような生ぬるい風と、月明かりに反射してきらりと光った牙を見た。
「っ!?」
グルルルル…
そして、獰猛な輝きを放つ瞳に見つめられて、恐怖を覚える。
(どうする…?どうする私、頭を回せ…!)
クマのような見た目をした生き物と、全裸の人間。
どちらに勝算があるかといわれれば、答えは明白だ。
クマのような生物は腕を振り上げ私に攻撃を仕掛ける。
私は怖くて動けない…はずが、軽々と避けることができた。
(あれ…この感じ…ああ、ステータスか。忘れていた)
そういえば、防御20に設定していた。
攻撃も20。このクマがどうかは知らないが、たぶん大丈夫だろう。
そう考えると、恐怖で固まっていた体がすいすいと動くようになった。
グ…グルゴアアアア!
クマは急に獲物の動きが速くなり、驚いているが怯んではないようだ。
(私の体力は30000…防御力も20、現在の最大値まで上げたはずだ。攻撃だって20だ。イケるはずだ)
自身に暗示をかけるように脳内で呟く。
(確かクマの弱点は…)
「眉間ッ!!」
振り下ろされるクマの手を掻い潜り腕を引っ張る。
そして痛いのを覚悟して拳でクマの目と目の間を殴る。
ウガッ!?
急な攻撃を避けられず直撃する。
そして目をおさえるようにして蹲る。
そのクマの背中に回り裸締めで頸動脈を締める。
ウグッ…ググゥ…グ…
どんどんと声は小さくなる。
そして目をおさえていた手がだらんと落ちたのを見て、死んだと判断する。
「ふう…はあ…はあ…」
頸動脈を締めていた腕を外し、改めて襲ってくる実感。
今、自分は狙われた。
命を奪われようとしていた。
その相手を自分は自らの手で殺した。
初めての勝利が人でなくて良かったと思うが、だいぶ動揺している。
いや、殺害を勝利とかいっちゃう時点で動揺している…はずだ。
クマの死体から目を離し洞穴へ入る。
そこはある程度広く、人ひとりなら寝ころべるくらいだ。
今のうちに確認しておこう。
私は女だ。
体を確認する。ない。
私は男か?
体を確認する。ない。
男についているべきものも、女にあるべきものもなかった。
ステータスがほぼ不明だった時点で分かり切ったことだが、性別不明なようだ。
では、自身の年齢について明日は調べよう。
あのクマは目測だが160センチくらいか。
隣に寝ころんで私がクマより大きければ160以上はある成人ということになる。
クマより小さければ160以下の成人になる。
年齢がわからない時点で子供も成人も関係ないと思うのだが。
まあ、それはいいとして。
よく動いた後の疲れが襲ってきたと同時に安心感からか眠気が訪れてきた。
眠気に耐えることができず、そのまま眠りについた。






