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俺と、怪化と、アルタズム  作者: 藤山福徳
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その一歩。

『ギルド』というものは、冒険者のためにできた施設だ。

そこでは冒険者に関する手続きを全て行ってくれる。

俺はここに”ステータスカード”をつくりに来た。

それは自分の力を示してくれる便利なもので、魔力を通すことによって更新ができる仕組みになっている。

最近ではさらに便利になり自分でちょっと魔力を通すだけでも更新ができる。

俺は早速受付に行きカードを作成してもらうことにする。


「すみません。冒険者の手続きがしたいんですが・・・・。」

「いらっしゃいませ。担当のユウ・サトウ、と申します本日は、ステータスカードの作成でよろしいでしょうか?」

「は、はい」


少しどもってしまった。

無理もないと思う、だって目の前には超綺麗なお姉さんがいるのだから。

髪は金髪、整った顔、目はエメラルド色。

そのきゅっと引き締まったクビレがまた、彼女の全体を輝かしている。

ギルドには基本的に美しい女性が多く存在するらしい。

全員が綺麗といったわけではないが、周りのウケがいいといったことで美しい人が優先的に職に就ける仕様になっている。

残酷とも思えなくもないが、これはもう仕方がないとしか言い様がない。

考え事をしていると、いくつかの書類を出され記入を進めていく。

記入を終えると、ユウさんが話し出す。


「では、レンさんの、ステータスカードの作成を開始いたします。」

「はい」

「こちらの紙の上に手をかざして頂けますか?」


言われた通りに紙の上に手をかざしてみると、白紙の紙に魔力が広がり俺のステータス諸々が記入されていく。そして光が完全に消える。


「少々お待ちください」


と言い残して、数分ほどの時間があくと、


「お待たせいたしまた。こちらがレンさんのステータスカードとなります。」

「ありがとうございます。」


ユウさんからカードを渡される。

なんだか自分のカードだと思うと弱いとわかっているのにウキウキしてしまう。

カードに少し魔力を通し覗いてみる。


-----------------------------


レン・キリシマ Lv1


体力 100/100 魔量 50/50


力  50


魔力 20


俊敏 50


耐性 50


異能 【怪化】 倒した怪物に変身できる。魔量はかからない。


-----------------------------


弱ええええええええええ。

さすがは謎系だな。

と、俺は自分の弱さに納得してしまう。

俺がカードを見ていると、ユウさんが声をかけてくる。


「あ、あのもしかするとレンさんは”謎系”だったりします?」

「そうなんですよ」

「で、でしたらあのー、いえ何でもありません」


おそらく俺にやめとけ、と言いたかったのだろう。

ギルドの職員は異能は見えないがほかのLvなどは見えるようになっている。

俺のステータスが弱すぎるから声をかけたのだろう。

しかし、規則によってギルド嬢は冒険者にあまり干渉できないこととなっているので、何もできない感じになっているのだろう。

冒険者は何が起きようと全て自己責任である。

そんな冒険者に声をかけるほど俺は弱いのであろう。声をかけるのも無理はない。


「ご利用、ありがとうございました」


俺はその場から離れ、すぐ近くにあるクエスト受付場に行きクエストを受けに行く。


「簡単な、怪物退治でもするかなぁー」


クエスト受付場に行き、声を掛ける

するとこれまた可愛らしい受付嬢が出てきた。


「いらっしゃいませ、本日はどんなクエストをお探しですか?」

「ダンジョン系で初心者にでも倒せる最弱級の怪物討伐クエストってありますか?」

「そうですね・・・。小鬼退治なんていかがでしょうか」

「小鬼か」


小鬼は怪物の中でも最弱部類にカウントされる。

本来は集団で生活を送るのだが、ダンジョンでは巣が作れないので集まらずに散らばって出てくることが多い。

チームを組んでいても最大で4匹ぐらいにしかならない。

森などに住んでいる小鬼は常に集団で動くので厄介とされている。

手こずりはするけどそれくらいなら行けるか、と思い受け付けるためにカードを渡す。

カードを渡せば自分がなんのクエストを受けているか、何匹倒しているのかが確認できるようになっている。

失敗した場合には失敗した分のお金を払う事になっている。

それが分かっているので冒険者は皆、自分に見合ったクエストを慎重に受ける。


「本日のクエスト内容は、子鬼討伐5匹となっております。お気をつけて。」


俺は頷き、ギルドからでてすぐ近くにある洞窟に向かう。

時刻は2時過ぎといったところか。街の真ん中の大時計に注目する。

ダンジョンは街の中にある。怪物が出てきたら危険と思うだろうが、魔力による結界が何重にも貼られており、それが破られてもアラームが街中に響き渡り怪物は即刻排除されるシステムとなっている。

歩いていると、いつしか目の前に大きな穴があった。魔法灯である程度、明るくなっている。

俺は自分の装備の最終確認を行った。

武器は銅の剣、防具は盾と重要な部分を革でカバーしており、腰には2本の回復薬がある。

あと自分の異能も試したいので今日購入したフード付きのローブを、着ている。

背中には怪物の素材を集めるリュックを背負っている。

俺には両親がいないので、バイトで春休み中に稼いだ泣けなしの金で買っている。

命を代償に、強くなりながら金も手に入れる。

俺が上に成り上がっていくには、もうこの職業しかないと思う。

緊張で震える全身をなんとか押さえつけながら、一歩一歩、進んでいく。


今日から始まるんだ・・・。


馬鹿にした奴ら、全員見返して。


---俺が最強になるんだ。


俺は自分を鼓舞しながら進んで行く。


その歩みが、死の道であろうと覚悟は決まった。


強くなるんだ。

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