プロローグ
誤字脱字を感想欄に書いてくれると嬉しいです!(ニパッ⭐️)
ーーーそれは、全ての始まりだった。
母親は去年事故で亡くした。
妹もそのとき一緒に亡くなっている。
そして、残っていた家族は親父のみだった。
俺の唯一の心の拠り所。それが、俺の親父だった。
いつも寒い親父ギャグばっかり口にしていて、流行というものを知らないダサ男な親父でも、俺の唯一心が開ける相手というのは変わらなかった。そう、いくら失業していきなり料理人になるとか言い出したが全く料理せずに息子の俺にばっかり料理をさせていたダメ人間だったとしても……なんだろう。俺の親父ってここまでダメ人間だったっけ?
だがまあ、いくらダメ人間だったとしても、俺にとってはかけがえのない人ということには変わりない。
そんな父がーーーこのままだと死んでしまう。
それは唐突だった。
ボワっと玄関と裏口が燃え上がり、挟み撃ちにあってた家の中、必死に俺を助けようと窓を試しにこじ開けていたが開かず、ついに火の手が燃えていなかった部屋までたどり着き天井が崩れ落ちたとき、親父は俺をかばって血まみれになっていた。
「おい、親父……親父ってば!!」
「……なんだ?」
無理な笑顔を見せながら問い返してくる。
やめろよ、そんな笑顔見せんなよ。もっと、いつものように俺に仕事押し付けてバラエティー見てる時のような笑顔を見せろよ。『他人が食わせてくれる飯は格別だ!』って言ってる時の笑顔を見せろよ!……あれ、俺の親父って本当にダメ人間だな。
そんなことよりも、親父の応急処置を!
「お前は……生きたいか?」
突然出てきた問いに俺は硬直した。
俺が、生きたいか?それはーーー
「それは、親父を見殺しにしてってことか?」
怒りに声が震えている。決して、意図してではない。
俺は睨むように親父の、今にも閉じそうな瞳を見つめる。
「いやだ」
確かに死ぬのは怖い。それは、本心から思う。
だが、だからと言って誰かの命と引き換えに生きるのは嫌だ。
それが、ダメ人間である親父だとしても、そこらへんにいるエリートだとしても、すぐ目の前にいる50超えたニートでも。
「……クク、誰がニートだ」
「親父以外に誰かいんのかよ?」
「……いねえな……」
「いたらこの国滅んでるは」
ニート云々はともかく、俺はこの状況で生きたいかと聞かれても嫌だとしか答えない。
「お前はもっと生きることに貪欲でいたほうがいいと思うんだがな」
「すいませんね、生きることに貪欲じゃなくて」
「そうだ、もっと貪欲に生きろ。俺の命を使ってでも、な」
親父はそのだらんと伸ばした腕を俺のひたいに伸ばし、手を当てる。
いや、熱はないんだが、大丈夫かこのおっさん?
「〇〇〇〇〇名において我始まりを宣言する。彼の者は神話体系【混沌神話】の主神としての参加資格を会得済み。彼の者の名は【カオス】。いま、戦いにその身を投じよ」
額に当たっていたら手元から光が発生し、俺を包む。
「じゃあな、頑張れよ」
それが最後に聞いた親父の声だった
多分、午後にまた違う話を投稿します。
あと、当分は不定期です。