表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

永遠の痕

作者: やまざきりさ

あなたの、「きれいなもの」は、なんですか?

きれいなものが好き。

たとえば、夕暮れから宵闇に変わるちょうどその一瞬の、濃い紫とピンクとが混じったような色だとか。

たとえば、寒い夜の、透き通った空気や眩しいほどの星々だとか。

そういう、多分、限られた時間の中の、一瞬のきらめきが好きで。

永遠にきれいなままのものなんて存在しない。いつかは変わっていってしまう。きれいだと思った感情も、慣れ親しんだ景色も、ぜんぶ、ぜんぶ、変わってしまうから。

それは自分も同じで。

いつまでも、幼い頃のままのようにきれいなまま、無垢なまま、純粋なままではなくなってしまうから。なくなってしまったから。

いつの頃からか作り笑いは染み付いて。

都合の良い嘘は吐くようにもなったし。

永遠なんて、ないでしょう?

永遠にきれいなものなんて、ないでしょう?

人はきれいなままではいられないでしょう?


「ずっと傍にいるよ」


そう言ってくれたあの人は、今何をしているのかな。

きらきら、きらきら、していたよね。何もかもが、きらきらしていて。一緒に歩いた道端の風景とか、寒い冬にただ黙って手を繋いでいた時間でさえも。全部。きらきらしていて。

だから、一瞬でなくなってしまったんだね。

人と人との繋がりほど脆くて変わりやすいものはないね。


だけど、あの日くれた言葉も、一緒にきれいだと感じたものたちも、一瞬だったけれど、もうなくなってしまったかも知れないけれど、それでも確かに、その一瞬は永遠で。わたしの中に残る、切ないけれど、確かに、永遠で。きれいなもので。

きれいなままではいられないかも知れないけれど、きれいだと思った景色や、きれいだと感じた感情たちは、わたしの中で、「一瞬の永遠」として痕を残すようにして、今でも、在るんだよ。


だからわたしは今でも、きれいなものを求める。

それが、いつか変わっていって、消えてしまうものだとしても、今、それは確かに、きれいで、それは、一瞬の永遠でしょう?

拙い作品を読んでいただき、ありがとうございました。

何かを訴えたくて書いたものではありません。

ただ、つらつらと、綴った短い作品になりました。

何も残らなくても良いです。ほんの少しだけ、「きれい」だなと、感じていただけたなら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ