大きな兆し
作者のミスです!
話を一個飛ばして投稿してました!
『大きな兆し』の後に『反省はしません』でした!
ご迷惑お掛けしました!
しばらくして泣き止んだアレフは上半身を起こしてこちらを真っ直ぐ見つめる。
いやぁ、それにしても本当に綺麗な瞳だねぇ。透き通ったスカイブルーに吸い込まれそうだよ。
しかもこのイケメン具合。ほんの少しの要素でもいいから分けて欲しい。
「あ、あの?僕の顔に何かついてますか?」
「いや、綺麗な瞳だなぁって。あ、不躾に見ちゃってごめんね?」
「・・・・・・」
うん、何でそこで信じられない!って顔で私を見るのかね?私予想外すぎて何も言えないじゃないか。
私馬鹿だからさっきの発言で何が失礼だったか分からない。じっと見られて不愉快!以外になにか気に障ることでもあったかな?
「あの、ありがとうございます。」
「どういたしまして?」
「ふふふ、改めて自己紹介させてください。僕の名前はアレフレッド・フォスターと申します。宜しければ貴女様のお名前をお伺いしても宜しいでしょうか?」
「そんな固くなくてもいいよ。私はサクラてゆーの。よろしくね!」
改めて自己紹介し合ってからは空気が柔らかくなった気がする。大丈夫だよ!こんな山の中にいるけど私は全然怪しい人物なんかじゃないから!むしろいい子だよ!
「で、アレフは今日どうするの?ここら辺に村なんてないけど」
「・・・サクラ様は」
「サクラでいいよ。様なんていらないから」
「・・・ではサクラ、貴女はこの山に住んでるんですか?」
「そう!おじいちゃんと一緒に住んでます!」
「・・・・あのサクラ、もし貴女とお爺さまがよろしければ・・・」
「うん。ウチにおいで」
「え」
「え」
「あの、簡単に決めてしまってもいいんですか?」
「いいんじゃね?流石に君を置き去りに出来ないし、じゃあ行こうか!」
「え?!あの!」
見た感じ、訳ありだけど多分害は無いと思う。
ので、セルじいに丸投げしよ。
何やら戸惑っているアレフを肩で支えながらも魔法で移動したらセルじいとアレフが驚いて一時収拾がつかなくなった。やれ「その男は誰だ!」「一体どこから連れてきた」だの「ここは・・・?」「今のは一体・・・」だの。とりあえず私はセルじいの質問攻めにあいました。いつもと違って気迫が何倍もあってマジで怖かった・・・。ほんと何なのさ・・・!思わず涙目になったら気が付いたみたいで落ち着いてくれた。
私が怒られている間放置されてたアレフは私達の様子を見ながらも冷静になれた様だ。
「えっと、この子はアレフレッドで山の中で行き倒れてたところを魔獣に襲われてたので助けました。
行くところがない様なので一緒に住んでいいですか」
一気に棒読みで言いました。最後が疑問形にならなかったのは仕様です。わざとです。強制です。
有無を言わせません。決定事項です。セルじいもそれが分かったのか深い深い溜息を吐いてアレフに向き合った。私?私は山の山頂付近にある薬草獲りを命じられました。珍しい。
山頂へはセルじいの許可がないと行ってはいけない事になってるんです。理由は分からないけど。
でも私は山頂へ行くのは好きなんだよね~!なんてったって友達に会えるから!
――――――――――――――――――
山頂・到着
この山は火口があるんだけどマグマなんてものはなくて湖になってるんだよね。絶景絶景。
さて、この湖には質が良く貴重な薬草がわんさか生えていてそれを持って帰って薬に調合して町に売りに行くんだ。私は山でお留守番だけどね。セルじいは何故か私を山から出してくれないんだ。悲しい。
・・・もしかしたら問題起こすことを見通してるのかな?ならいつか期待に応えなちゃ!
「おやおやおや?そこにいるのはサボり常習者君じゃありませんか」
『げ、サクラ!今日はサボってないぞ!ちゃんと見回りしてる!』
目の前にいる彼、火の精霊のキッスはここの火口付近に住んでいる。私が山頂に初めて来たときからの友達で他の精霊たちの目を盗んで悪戯をしたりして一緒に遊んだ思い出がある。
まぁ大体は私が発案してキッスが実行するって役割だったけど。
この世界には精霊がいる。6属性全てにいて、それぞれ低級から上級そして格属性の精霊たちを束ねる6体の精霊王がいる。といっても精霊王なんて私たち人間からしたら伝説上の存在で見た人間なんて世界の歴史上でも二桁いかないらしい。勿論他種族を含めて。
そもそも精霊は魔力の低い人間でも見れるんだけど姿を見せてくれるかは精霊次第。気に入らない人間の前なら姿を消して、例え目の前を通っても見ることはおろか気配を察知することも出来ないんだって。
精霊に気に入られることも稀だが、その中でも上級精霊にを見れる=気に入られるのはほんの一握り。
気に入る人の共通点はないので精霊側の気まぐれともいえる。
しかし!精霊に気に入られる=その精霊の加護が貰えるということなのである!
すなわち精霊術が使えるということです!これ便利なんだよ?
精霊の加護持ってると不意の攻撃などから守ってくれるし各属性別に恩恵貰えたりするし!
一番は精霊術!これは精霊の力を行使するだけなので魔力はいりません!過去には魔力がなくても精霊術だけで王宮で地位を上り詰めたり爵位を貰えたりした人もいるらしい。
魔法で出来ないことも精霊術では出来たり、その逆もまた然り。魔法使いも喉から手が出るほど欲しいモノでもある。なんてったって魔法の威力が上がるし、研究者なら精霊術の研究が出来るし。
なので『精霊使い』は魔法使いよりも貴重なので重宝されている。
ちなみにキッスは中級精霊である。低級は3頭身の可愛い姿。中級は少年少女で、上級は青年。
この法則でいくと精霊王はダンディとかかな?見てみたい。
キッスは中級なので赤い髪に赤いズボン赤い靴、上半身は何も来ていないので肌色だ。
髪や指先がメラメラとしているのは彼が火の精霊という証拠だ。不思議なことに触っても熱くないから夏でも遊びに来ている。
「サクラ、今日はどうしたんだ?もしかして山に入った人間の事か?」
「薬草を獲りに来た!ん?なんでそのこと知ってるの?」
『そりゃ俺のテリトリーだからな!』
「ああ、便利機能か」
『違う。ま、あの人間は悪い人間じゃないから安心しろよ』
「ああ、彼別の精霊の加護貰ってるもんね。」
『精霊が気に入るってことは悪い奴じゃないってことさ!』
基準は悪かそうじゃないからしい。メラメラと燃えているキッスと一緒に薬草が生えてる木のあたりまで行く。
目の前に聳え立つ強大な木は湖の奥に一本だけぽつんと生えている木だ。とんでもなくデカい木だよ。
しかもこの木っていつも葉が生い茂ってるんだよね。他の特徴といえば精霊が滅茶苦茶いることろかな?
キッス曰くこの木は精霊にとって憩いの場なんだって。低級から稀に上級までいるんだよ。
ホント何なんだろうこの木。
「よっし!じゃ、薬草でも集めますか!」
『頑張れー。俺はここで見てるわ』
「手伝ってもいいのよ?」
『頼まれたお使いは一人で完遂して見せろ』
「手伝ってもらってはいけないとは言われてない」
『・・・・・・・』
結局キッスは薬草を一緒に集めてくれた。なんだかんだでいい奴だよね!他にも精霊の友達とかいるけど今はここにはいないらしい。精霊は自然の一部で世界そのものといってもいい。
なので精霊の加護は世界の加護だ。ついでに私は加護を貰ってない。貰ったら感覚でわかるはずだし。
キッス曰く姿を現しているだけだそうで。まぁ別にいいけどね。おしゃべり楽しいし。
薬草を集め終わった後はそこら辺にいた精霊と一緒に遊ぶのが私の日課だ。
セルじいも山頂に行けば夕方まで帰らないことを知っているので時間を気にせず遊びまくる!
水場で遊び追いかけっこ、魔法使っての飛行に木に登ってのんびりしたり。
これ、精霊使い以外の人間が見たらさぞかしホラーだろうな。
だって一人で空に話しかけたり追いかけまわしたり・・・。うん、やめよう。悲しくなってくる。