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悪徳王子と魔女  作者: めんち
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考えることをやめよう

山の中に軽装で登ってきた挙句、力尽きて魔獣のご飯になりかけてた行き倒れ君を助けました。

この人をよく見てみるとさ、平民の私よりも質の悪い服着てるんだよね。奴隷かな?

この世界って奴隷がいるんだよね。幸いこの国には奴隷制度は禁止されてるらしいけど。

この山って国境付近だから結界がなければ逃げてきた奴隷が迷い込んできてもおかしくはない。



私は少年に近づくために彼にかけられている呪術を取り合えず彼の中に封印して黒い靄が晴れて安全確認が出来たのを確認してそばに行く。どんな呪術か分からないし呪術が引き起こした災難に巻き込まれたくないからね!


さて、今度は目の前の問題だ!多分意識戻りつつあるんだろうけど結構弱ってるんだよね。

仕方ないので優しいサクラ様はセルじいが持たせてくれた水筒(自作)の水を飲ませてあげるとしよう!

わぁ!私ってなんて優しいんだろう!とりあえず口に水入れれば飲むよね。


仰向けになって寝ている少年の上半身を起こし私の身体を背もたれ代わりにして水を飲ませる。

少年は与えられた水を全部飲んでまた深く眠りについてしまった。少年の体力は見た目以上に落ちているようなので休ませることにする。木陰に入って膝枕をしつつ私はセルじいがどこぞの町から買ってきてくれた本を読んで彼の目覚めを待つことにした。魔法で身体をスキャンした結果、目立った外傷もないし内臓や骨も無事だ、強いて言うなら魔力が枯渇寸前。これは辛い。


実はこの世界の全ての生き物って必ず魔力持ってるんだよね。魔力を数値にすると最低数値が1、最高はわからん。魔力が0になると死ぬのよ。だから調子に乗って魔力使いまくるといつの間にか0なって死ぬなんてことも稀にあるらしい。ほとんどは0になる前に少年の様に気絶するわけだから大丈夫らしいが。

ちなみに魔力持ちと認識されるには最低でも30は必要。

何故なら低級魔法は数値にして魔力が30から発動するから。

一般人だと1から7。なので魔法使えない=魔力なしらしい。


さて、少年が起きるまで本でも読むかね。

本格的な介抱はその後からでも十分だと思う。多分。

ぶっちゃけ身体は大丈夫なら無闇に家に連れて行きたくないし。



―――――――――――――――



「ん?」


おや?どうやら少年が起きたようだ。うっすらと目を開けてボーっとしていたかと思ったがいきなりカッと目を開いてじーっと食い入るように見てきた。

え、なにさ。確かに背中まで伸びた黒い髪をおかっぱ風にしてるかもしれないけど、この世界に市松人形なんてないんだから別に怖くないだろ?だからいい加減放心するのやめない?心挫けそう。



「あー・・・、どっか痛いところある?」

「え、いや、・・・大丈夫」

「そっか。で、ここからが本題なんだけど君、帰るところあるの?」



少年は黙ってしまった。そりゃそうだ、こんな魔物がいる山の中を軽装&持ち物すらない状態で普通はいない。え、もしかして自殺志願者なの?そうなの?折角助けたのでそうでないことを全力で祈る。


「ここに死にに来たわけじゃないんでしょ?」

「・・・!僕は・・・生きたい。生きたい・・・!」

「じゃあ生きようか」


大丈夫、セルじいがきっと何とかしてくれるさ!この言葉は胸の中にしまい込んで少年に起きるよう催促する。ここで彼はようやく自分が膝枕されていることに気が付き顔を赤くして勢い良く身を起こしたがすぐにふらつきまた膝枕状態になってしまう。でも魔力と体力は少しは回復したかな、じゃあ何が彼を蝕んでるというのいうと、呪いですよね。はい。



「あー少年、ちょっと説明があるんだけどさ」

「・・・アレフレッド、アレフって呼んでください」

「アレフね。じゃあアレフ、君の命に関わることだからちゃんと聞いてね。君は呪われている。」

「――――――。」

「今は私が君の中に封じてるけど、その代償として君の体調に弊害を起こしている。呪術なんてモノが発動してなくても体の中にあったら日常生活に支障が出るくらいの影響が出てくる。――ので、君は今体がふらついてると。」

「そう・・・でしたか。」

「ま、落ち込まなくても大丈夫よ?今から解除してあげるから。」

「え?出来るんですか?」

「もち。最後まで面倒見ますよ」



少年の胸をちょっと失礼して手を当てさせてもらう。準備はこれだけ。

えーっと、聖術のイメージはまずアレフの中にある呪術をどす黒い球体のイメージをして、それを光で覆い少しづつ外側から少しづつ浄化していく。一気にやると体に負担がかかるので出来るだけ少しづつ・・・。

仕上げに消えかかってる呪術を光で包み込み一気に消滅すれば・・・、ハイ完成!

なんで私は聖術を発動するための詠唱を言わないのかって?覚えてないからさ!

そもそも私は全部魔法はイメージや感覚で済ませているので詠唱呪文なんて覚えてない。覚えられない。


アレフは驚いたような顔をしたと思ったら泣きそうな顔になった。え、なに、これ泣かせたの私なの?

私はか弱い少年を泣かせちゃったの?

私が呪術の解除をするときに彼の胸に当てていた右手を弱弱しく握られる。多分違う、よね?ね?

兄弟がいない私はどうしたいいのか見当もつかなかったので空いていた左手で頭を撫でてあげる。

一瞬体を強張らせて目を見張ったが、そのスカイブルーの瞳に涙を溜めてくしゃくしゃの顔で泣き始めた。

え、これどうすればいいの?あやし方間違えてた?









――――セルじい助けて・・・!!







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