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悪徳王子と魔女  作者: めんち
3/8

何と言おうと日常です

ひたり

額に冷たい湿った物が乗っかったのが分かった瞬間私は意識を取り戻した。

起きた場所はこの一週間見てきた天井と心配そうなセルじいの顔だった。どうやらずっとついててくれたらしい。締められたカーテンの隙間から朝日っぽい光が入ってきてることから多分次の日まで寝てたんだろうな。


「サクラ、大丈夫か?」

「へーき。もう朝?」

「ああ、お前は昨日の昼からずっと寝とったんじゃよ。」


予想通りだった。だからこんなにお腹減ってるんだなー。


「セルじいお腹空いた」

「ふふふ、もう作ってあるぞ。体が動けるようならリビングに来なさい。」

「ごはんーーーー!!!」


ベットの中から抜け出してセルじいの後を追いかける。ダッシュで!だってお腹空いてるし子供だし。

栄養はいくら摂取してもいいのだ!セルじいのご飯って何気に美味しいんだよね!

そんなこんなでご飯を頂きました。パンとスープとサラダでした。昼は肉を所望する。


「セルじいセルじい?昨日何があったの?」

「・・・昨日の事はあまり気にするな。昨日の結果、サクラは魔力があるってことじゃ。今日から魔法の修行を開始するぞ」

「えー!やだ!遊びたい!」

「魔法を覚えたら農作業も楽だし森の中にだって入っていいんだぞ?」

「やる!」


行動範囲が広がるんでしたら話が別です。実は私は家と畑を囲っている木製の立派な柵があるんですが、柵から出てはいけないという行動制限をされています。外には魔物や野生動物がいて危険だとか。

まぁ五歳児ですから気持ちは分かるんですけどね。


「それからサクラ、今日からスケジュールを変えるぞ?」

「ん?」

「午前中は畑、午後は魔法と文字や計算などの勉強じゃ」

「勉強ヤダ」

「もう決まっとるから無理じゃな。今日の畑の水やりは終わってるから魔法の修行じゃ」

「う~」


私は日本で受けた教育があるから文字が書ければいいと思うんだ。それよりも独り立ちするための一般常識と知識が欲しい。魔法で生きていけるかもしれないが面倒ごとは嫌だ。出来れば平民感覚の”普通”で生きていたい。

そして出来れば恋愛結婚したいです。


「あ、サクラや。魔法の修行は座学・・・、机での勉強もあるからそのつもりでの」

「?!」


地獄の始まりでした・・・・・。





―――――――――――――――――――――――――――――――――




あれから2年、私も7歳になりました。子供ってすごいね、たった2年でこんなに身長が伸びるだなんて。

あ、魔法も使えるようになってますよ!実に便利です。

朝の畑の水やりから始まり最近ではセルじいが採ってきた薬草の栽培とどっからか連れてきた家畜の飼育も始めました。目指せサクラ牧場。

酪農農業の知恵もつき始めた今日、魔法を使えるという事もあって柵の外に出れることになりました!

まぁ実際は柵にかかってた結界を破こうとしたのを発見されてセルじいが渋々許可をくれたのだ。




よっしゃあああああああああああああああ外じゃあああああああああああああああ!!!





今まで目の前に広がる探検に最適な場所を目にしときながら行けなかったので素直に嬉しい!

後ろで栽培している薬草の手入れをしているセルじいを尻目に森の中に突っ込んだ。













初めての家の外ではしゃいでた私は悪くないと思います。だって子供だし?

それにこんなの聞いてないもん。こんな・・・いかにも魔物だぜ!って感じの生物がいるなんて。


「グルルルルルルル」


目の前にいるのはネコ科の身体に熊の頭、尻尾なんてトカゲっぽいもの。なにこれ超怖い。

おうおう、口から涎垂らしてそんなにお腹空いてるのかい?しかし残念だ!私は肉も少ないし美味くないんだぜ!だからこっちこないで!私よりももっと美味しいものはこの山の中にいっぱいあるじゃないか!

・・・背中は見せない。何故なら絶対に飛びかかられるから。そうなれば確実に奴の胃袋へ直行だ。

な・の・で!



「魔法で霧作って退避いいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」



範囲もだけど霧の濃度もめっちゃ高くして逃げる。大丈夫、私、空飛んでるから!

いや、比喩とか現実逃避とかじゃなくて本当に飛んでるの!カラスの二倍ぐらいの大きさの黒い鳥に捕まって上空に避難しています!

1年前、起きたらいつの間にか枕の横に置いてあった卵から孵っちゃった子なんです。セルじいは何も知らないって言ってたから正直謎。セルじいに責任もって育てるように言われた。

それからこの子「リツ」は私の側を離れずあっという間に大きくなって今では私を護れるほどになりました!やったね!


そんなこんなで折角のお外デビューがまさか魔物と会っちゃうなんてついてないなぁ。


「ん?サクラ、どうした?」

「魔物に会ったから逃げてきたー」

「はぁ~、よく無事だったのぅ」


リツがゆっくり私を下ろしてくれるのを見つつセルじいがため息をついた。


「で?どんな魔物だった?」

「猫の体と、熊の頭と、トカゲの尻尾持ってた」

「・・・・・・・」


おや?何やら頭が痛いポーズをとっているぞ?なんだろ。・・・・まぁいいか。

今回の探検は遠くに行き過ぎたから少しずつ周りを開拓していこう。








・・・・・・そしてこの山を攻略した時にはセルじいは口が外れるぐらい開いて驚いていた。

なんだってんだ。








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