序章【バイト先の絵画館】
ホラーな雰囲気をもつファンタジー小説。読んで楽しい小説を目指しています。
怖くて楽しいというホラーコメディ的なジャンルの
作品です。駄文につき御容赦を。
「絵画館?」
聞き慣れない単語に首を傾げながら、俺は彼女に話の続きを促した。
「そう、『絵画館』!要するに絵ばっかりを展示してる美術館ってことだよ。」
「『絵画館』ねぇ……。」
俺の名前は笹塚吉輝
彼女の名前は揚羽真守
所謂、恋人同士ってやつだ。………かなりプラトニックなことを除けば………。
中学の頃から付き合い始め、今年で3年目になる。長い。実に長い。なのにキスさえ片手で数えるほどしかしていない。この前、手を繋ごうとしたら殴られた。理不尽だ!本人が言うには『極度の恥ずかしがり屋』なのだそうだ。だからといってデートの回数よりも
赤面しながら殴られた回数の方が多いというのは問題でしかない。しかし、そんな彼女が一緒に働けるバイト先を見つけてきたというのだ。嬉しくないことがあろうか?
「よし、せっかく真守が見つけてきてくれたんだ。そこで一緒にバイトしよう。で、本当に俺も大丈夫なんだよな?」
念のために確認する。あくまで念のためだ。真守を疑う気持ちなんてない。これっぽっちも。
「うん、大丈夫だよ。簡単な面接は受けてもらうらしいけど。」
「ま、それなら問題無いだろ。」
面接当日、俺はバスでバイト先へと向かった。バス亭から少し離れた中規模の建物だ。大正浪漫を彷彿とさせるレトロな雰囲気を醸し出してはいるが、サッパリとした清潔感も併せ持っていた。そして門の支柱に看板が掛けられていた。
『槻之森繪画館』
間違いがないことを確認していると、軋むような音とともにOLのような服装をした女性が門を開けようとしていた。年は20代半ば頃に見える。
「あの~すみません。ちょっといいですか?」
「何かご用でしょうか。」
冷淡な口調と抑揚のない声で質問を返してきた。しかも無表情。機嫌が悪いのかと思う。
「は…はい。バイトの面接に来た笹塚という者ですけれども……。」
「はい。連絡は受けております。笹塚吉輝さんですね。ご案内します。私についてきてください。」
機械みたいに話してキビキビと歩いていく。何気に早足、俺の苦手なタイプだ。
通されたのは裏口。事務室のような部屋だった。ソファーに座るように促され腰をおろすと目の前に紅茶が出された。
「それでは面接を始めます。履歴書を出してください。」
「あ!…はい。」
どうやら面接もこの女性が行うらしい。にしても速い。流れが異常に速い。もう少し余裕を持ってくれてもいいと思う。
………10分後、面接は無事終了した。本来なら30分ぐらいかかる内容を無理矢理10分に押し込めたような面接だった。疲労感が半端じゃない。しかし面接後に言われた言葉が「それでは早速明日から来てもらいます。問題ありませんね。」だったので面接は合格だったようだ。今は学校も夏休み中、何の問題もなかった。
序章ですので短いです。
ウブな学生カップル。奇妙なバイト先。
物語はここから始動していきます。




