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~05~

 タームクィーンの『グランドスラム』を受け地面は複雑に隆起し冒険者達を孤立させ瀕死のダメージを与えていく、入り口にいたタームソルジャーへの牽制部隊はギリギリ攻撃範囲外だったお陰で被害を免れてはいたが、瀕死の仲間達を助けに行きたいのに行けないというジレンマを抱え焦っていた。


「ココを離れたらソルジャー達が、でも皆を助けないと!!」


 クィーンと戦い瀕死に追いやられた仲間達を助けるべく必死に思考を研ぎ澄ませるが、焦りでいい考えが浮かばず不注意でソルジャーを押さえていた壁を崩してしまい牽制部隊が押され始めた。


「しまった!!」


 牽制部隊が崩れてしまえば瀕死の仲間達はクィーンとソルジャーの挟み撃ちを受け全滅してしまうだろう、仮に全滅を免れても多くの仲間が死亡し巣の入り口にリスタートしてしまう、なんとか態勢を立て直そうと必死に奮戦するなか、それは訪れた。


「オーーーラ・バァスゥタァァァァーーーーーー!!!!!!」


 集束された闘気の砲撃がソルジャーの群れを凪ぎ払い、口を開け顎を鳴らしていたクィーンの口部へと直撃しクィーンを怯ませる、入り口から勢いよく走って男はボス部屋に入るとそのままクィーンに向けて跳躍し力を込めた拳でクィーンの顎を打ち上げた。


「トルネードタイガーアッパー!!!」

「マッシュ!!どうしてココに!?」


 それはグランセルの防衛隊にいた英雄で、マッシュはカシウスやレオンに振り返ると、目一杯格好付け。


「今、俺が助けに来たぞもう大丈夫だ!!」


 ビシィ!!っとポーズまで付けていい放ったマッシュはそのまままたクィーンに向けて走りだしクィーンの胴体に光輝くエフェクトを伴いながら無数の拳を叩き込んで行く、おそらくマッシュの『必殺技』である『爆裂烈破拳』だろう、マッシュの拳の連打がクィーンの足を浮かせ態勢を崩させる、カシウスはこれ好機と大声を張り上げ態勢を整えるのに専念する、どうやらボス部屋に集まっていたソルジャー部隊はマッシュがココに来るまでに倒していたらしく、ソルジャーの増援が無いことに気付いた牽制部隊が瀕死の仲間に肩を貸し地面の隆起が少ない場所へ運んで行く。


「これでも喰らいな『超究・無限武神闘武』」


 数多もの分身がクィーンを取り囲み連打を加えて行くその攻撃は、マッシュの持つ『必殺技』の中でも最高の威力を持つものでそのアタックスキル1つでクィーンのHPを見る見る削っていきクィーンは複数の腕を振り回しマッシュを吹き飛ばすと、再び『グランドスラム』の準備動作を行い始める。


「いかん!!また『グランドスラム』が来るぞ!!」


 未だにダメージの抜けきってない部隊もいる中で再びあの攻撃を受ければひとたまりもないだろう、だが『グランドスラム』は再び入り口から現れた増援によって妨害されることになった。


「ま○ゆう勇者式・岩盤返し!!!」


 現れた人物は手に持った大きな剣を地面に刺すと岩盤を抉りだしてクィーンに向けて投げ放つ、クィーンは岩盤を受け止めきれず『グランドスラム』の準備動作を中断する。


「ミヤ、お前も来たのか!!」

「エリカ博士の新兵器『アガットデストロイヤー・メタルブラック』が思った以上の性能でね、手が空いたから援護に来たわ」


 タカミヤは短めに事情を説明するとマッシュと共に時間稼ぎの為にクィーンに突撃していく、たった二人の援軍だがこれ以上ない援軍にレイド部隊は態勢の立て直しを完了させ、援軍2人を含めた総勢98人での総攻撃を開始した。


「ヴォルカニック・ブレイザー!!」


 ユージーンの放った口伝(彼の持つプロミネンスソードの武器スキル『ブレイズソード』を決め技にクロススラッシュと三段斬りを組み合わせた8連攻撃)は剣の特性である状態異常『火傷』を与える事に成功する、タームクィーンに『火傷』の状態異常を与えるとHPが2割減る毎に使う『グランドスラム』を封じる追加効果を発揮するのである(一部モンスターはある状態異常を受けると技を使ってこなくなる追加効果がある)

※この作中での『火傷』は毒の様なもので1ターン毎にHPを1%削っていく、毒は1ターンに3%くらいかな?


「よし今だ、全員突撃ーーー!!!」


 カシウスの号令を受け、持てるアタックスキルを片っ端から使い続けタームクィーンを攻撃し続けていく、タームクィーンは見る見るHPを減らし残り僅かとなった時。


「いかん、火傷の効果が切れている全軍『グランドスラム』に備えろ!!、能力低下(デバフ)をかけまくれ!!」


 だがクィーンはそれよりも早くアシッドブレスで冒険者達を攻撃すると、『グランドスラム』の準備動作に入る、だが・・・・



 その動作は最後まで行われなかった。


「『秘技・風神烈破』」

「『漆黒幻双牙』」

「『暁の大太刀』」


 タームクィーンの隙を突いたアリオス、レオン、タカミヤのそれぞれの口伝(EXクラフト)によりタームクィーンの足と腕は全て切り落とされタームクィーンはその巨体を支える事が出来ず地面に倒れた、そしてこれ好機と妖術師隊の火炎魔法が次々と撃ち込まれ。


「『絶技・鳳凰烈破』!!!」


 巨大な鳳凰と化したカシウスの口伝(EXクラフト)がタームクィーンに襲いかかり、タームクィーンは焔に包まれ断末魔を上げながらその巨大を横たえ、静かに光の泡となって消えていき周囲に大量の金貨を降り注がせる、こうして去年の夏から胎動していた脅威の撃退に成功し、無事グランセルとエレボニアを始めとしたプレイヤータウンや近隣の町や村は救われたのであった。












 暫しの休憩を終えたレイド部隊は帰還呪文でグランセルへと戻り、後日改めて謝罪に来ると告げユージーンを始めとしたエレボニアのプレイヤー達も街へと引き返していったのであった、街へとレオン達が戻って来ると平原に散らばった金貨やアイテムを回収するための部隊が急がしく動き回っていたのが見えた、そしてその片隅によくわからない黒焦げのガラクタの山々を運ぶグランセル中央魔法技術工房(G・C・M・F(グランセルセントラルマジックファクトリー))の姿も見えた、タカミヤが言うには『アガットデストロイヤーズ3Δ』と『アガットデストロイヤー・メタルブラック』らしい、平原のタームソルジャーを撃退したのち結局アガットに壊されたらしい、後日エリカ博士がこの時のデータを元に『アガットデストロイヤーブラック・メタルアルカイザー』なる新兵器を造りだしグランセルではまたドタバタとした事件が起きるのだがそれは別のお話である。



 レオンは自分の部屋に戻って来ると早速ベッドに横になる、タカミヤは伊織と一緒に一階の料理屋『大和姫』で仕事中である、下から聞こえる賑やかな声に誘われ疲れた体を起こして下の階に降りると、カシウスやアリオス達が食事に来ていたらしく、タカミヤが作った秘蔵の梅酒を味わっていたらしいレオンも古い友人達と久しく杯をかわそうと席につくとタカミヤからグラスを受け取り。


「それじゃ」

「無事にレイドが終わったことに」

「「「「乾杯!!」」」」


 グラスを打ち合わせ澄んだ音を響かせながらグラスの中身をあおっていくのだった。


『エリカ博士』

グランセルで魔法道具(マジックアイテム)や、動力兵器(ムーバブルウェポン)を開発・作成している魔工学者、大災害後のある事件をきっかけに娘のティータがなついているらしいアガットというプレイヤー(冒険者)を目の敵にし、娘に近付く不良を排除すべく動力人形(ムーバブルドール)を何体か造り出している、科学者として優秀なのだが娘の事になると色々私情全開になる癖がある。


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