~23~
日も上がり、夜を明かした洞穴で身支度を整えるとタカミヤはコマンド操作(カノンとホームズには空を指で何かしているようにしか見えてない)してあるモノを呼び出した、それは小さなデフォルメされた可愛らしい愛嬌のあるネズミ型召喚獣のチェイサーラット。
「今回はこの子をあいつらに尾行してもらって、アチラ有利のこの山でのアドバンテージを少しでも変動させましょう」
「ふむ、こちらも監視を付けるのか。確かにこの山の地形を知っている彼等の方が有利だものな」
「運が良ければ姫様のいる洞窟か隠れ家みたいなものに案内してもらえるかも」
***********《チェイサーラット》***************
※アニメのセララのウルフちゃんみたいなデフォルメされた使い魔(召喚獣)
指定相手を追跡し同じエリア内での位置を主へと送り届ける(鼠の子分が)
ネズミの外見の問題があるので見た目はカスタマイズ可能で、人気の
カスタマイズはハムスター柄と夢の王国のミ○キーネズミっぽい柄。
タカミヤが呼び出したのは頭巾が付けられた小僧風やグリグラ風と他一点。
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小さなネズミ達は素早く森のなかへと消えていくなか、タカミヤはスローナイフを取り出すと林の中へ向けて勢い良く投げつけた、突然の事だったので皆が不安そうな顔でタカミヤの方を見ていた、タカミヤは頬を掻きつつ自分の元へ帰ってきた一匹のチェイサーラットを見せながら気まずそうにつげる。
「このトムジェリ柄がガルホーク(割りと何処の森系エリアにもいる鳥モンスター)に持ってかれてたからつい、脅かしてご免なさいね」
タカミヤが頭を下げ、安堵の息を付いた他のメンバーは赤いスカーフを付けられている薄明るい茶色のネズミが再び出発する所を見送る、タカミヤはナイフを投擲した場所へ向けて森を勢い良く進むと、しゃがみこみ
何かを採取しているように見えた、立ち上がったタカミヤが持っていたのはスローナイフを投げたガルホークとそのガルホークから引き抜いたスローナイフだった、この山脈の調査が終わるまでの間、物資の補給が出来なさそうなので回収出来るものは回収して使うようだ、そして狩ったガルホークは・・・・。
「お、いい臭いがしてきた」
タカミヤがテキパキと捌いて朝食のオカズとなり、メンバー達の腹を大いに満たす為に役立った、タカミヤが食べ終わった食器等を近くの川で洗い終える頃、チェイサーラットの子分が戻ってきた。
「・・・・皆の意見が必要そうね」
タカミヤは他の皆の待つ場所へ戻ってくるとチェイサーラットの子分が持ってきてくれた追跡情報を皆へと告げて行く、まず最初に誘拐された姫様と思われる人物が居るであろう洞窟の情報を、次にその場所に訪れた自分たちを監視していた武装集団の情報を、最後に。
「その洞窟から然程遠くない場所にある洞窟にウィルス侵食モンスターが居るわ」
「げ、マジか」
ブラックが眉間に皺を寄せて唸るように呟き、タカミヤは仕方ないでしょと嫌そうな顔で「マジよ」と返事を返す、カノンとレディも額に手を当てるような動作で暗い表情をしているが、ホームズはウィルス侵食モンスターの脅威を経験したことがないためピンとこなかった、しかし他の皆の表情からとても大変な事なのだろう事だけは理解出来た。
ホームズは表情の暗い皆の気持ちを切り替えさせ意見を求めるために「作戦会議を開く、各自意見を述べていってくれ」と場を仕切り、これからの行動方針をどうすべきかの意見を皆に求めた、ホームズのその言葉に皆も気持ちを切り替え、今は姫様の救出が優先目的であるとして各々意見を述べていく、ホームズはそれをメモに記入し大雑把に纏めたモノを皆へ告げる。
「姫様の状況も分からない以上下手に相手と衝突するのは危険、まずは隠れてやり過ごし、その後に姫様を救出可能かどうか調査に赴く、この行動方針に異論はあるかね?」
ホームズが纏めた行動方針に皆頷き合意を示すと、長期的な滞在になることも踏まえて其々山の中にある使えそうなモノを探しに出掛けていく、タカミヤは狩りにホームズは野草(薬草集め)採取に、ブラックはボウガンの矢の材料にできそうな木材を探しに(矢の加工生産担当はタカミヤだが)レディは川の水を汲んで濾過装置にかけて浄水作りに(しなくても問題なく飲めるのだが、冒険者とはいえ中身は現代人なので生産職人が浄水器を作ってからは気になって仕方がない)、カノンはロープやトラップに使えそうな蔦等の採取の其々性を出し、姫を救出できるかもしれないこのチャンスを一発でモノにするため、静かに物資をかき集め、時に素早く山を登り、2日後、姫様がいるであろう可能性が高い洞窟へと訪れた。
「・・・・・これはこれは・・・・・・参ったわね」
「冒険者殿、お待ちしておりましたぞい、ホッホッホ♪」
「じ~じ~、ヒゲ~ひげ~」
「ほら姫様モジャモジャですぞ♪」
「ヒゲ~♪」
洞窟にはタカミヤ達にクエストを出した大臣、そして姫様、さらになぜか姫様は大臣の髭をモシャモシャ触って遊んでいる状況だった、何がどうなっているのか考えるのに忙しくて目の前の状況には一切手を触れず思考を回転させていく、だが、答えは目の前の大臣から直接与えられた。
「さて、他国の間者が何処にいるか分からない手前、少し危ないですがこのような手段を取らせていただきました」
「なるほどねぇ、全くとんだタヌキ爺だったわけだ」
「ホッホッホ」
タカミヤは一応今の状況を理解出来たらしく、やれやれと溜め息を付いている。しかし残りの4人は未だに理解が追い付いていないようで首を未だに捻っていた、その様子を見た大臣は姫様の誘拐事件の発端と裏側を語り始める。
事の始まりは大臣の姉の子であった王がある事情を抱えた娘を残し病で死んでしまった事だった、王家は遥かな過去、人と妖精が愛しあい子をなし産まれた子供を祖としているらしく、王家には希に妖精の血が色濃く宿るものが産まれてくるらしい、城の書庫に保管されていた歴史書には過去にも今の姫様の様に見た目と中身とが合わない者が何人か居たらしい。
「ふぅん、そんな生まれがあるのねぇ」
「ヤっさんは知ってたのか?」
「そう言う王家がある事はね、場所までは流石に覚えてなかったけど」
「じゃあそっちの姫様は、パインバインでエロ可愛綺麗で無茶苦茶タイプだけど、まだ子供なのか」
「ブラック~!!!!!!!!!!」
「イヒャヒャヒャフアフア!!!!!!!!」
「キャハハハハハ」
「ヒョ!!!ヒィヒェヒャマヒャデヒヒャイヘフヒャヒャイ!!!!」
※訳:ちょ、姫様までしないで下さい!!!
ブラックの何時ものダダ漏れの本音にレディが嫉妬し頬をつねりあげられ、姫様にもつねりあげられブラックは涙目になるなか、大臣は懐から有るものを取りだしブラックの額に押し付ける。
「姫様に不埒を働くやからは私が許しませんぞ♪」
「ゴメンナサイ、だからこのリボルバーは仕舞っていただけませんか!!」
「アメリカサーバーだけだと思ってたら此方の大陸にも流通しちゃってるのねぇ」
「あれ多分アメリカ産じゃないわよ?」
「そうなの?」
「作りからしてロシア方面から流れてきた物じゃないかしら?」
ヤマトの様な島国とは違いこの大陸は大体が陸続きで繋がっている、何処かで現代兵器を作るものがいれば買い求め流通させてしまう死の商人だって居る、皆が皆この世界に迷惑をかけないように自重しているわけではないのだ、その事を理解はしていても直面してしまえば知らない振りもできないが、今は別に解決しなければいけない問題の途中なのだ、細かい事まで気にしてはいられない。
「この爺の髭が黒い内は何人たりとも姫様に触れさせませんぞ!!」
「普通は髭じゃなくて眼じゃない?、それより続きは?」
「おっと失礼しました」
妖精の血が色濃く宿り未だ幼い姫様には国の政治は出来ず、国王(王女)の代理で大臣は国の政治を行ってきたがある時良くない話が舞い込んできた、南の王国が軍備を増強しているらしく攻めてくるのも時間の問題であるとの噂、東の王国がこの国との同盟を結び南の王国との脅威に備えたいと切り出してきた事、大臣は幼い姫様が政略結婚などしようものならこの国の実権は全て東の国のものとなってしまう事を恐れた大臣は今回の族による誘拐事件を起こし姫様が居ない事をいいことに大臣が国を乗っ取ろうとしていると噂を流すようにメイドたちに指示したらしい。
「南の王国の軍備増強が東の国のながした偽情報で本当は東の国がこの国をねらってるんじゃないかと、もし本当に南の王国が侵略してくるならそれでよしと言うわけね」
「左様、どちらの国が攻めてこようと他のものたちには直ぐに降伏するか逃げるように言い含めておりますゆえ」
「でも、姫様は王女という身分から追ってが掛けられる、だから事前に誘拐された事にすれば問題なく姫様を逃がせると」
「甥っこの子供ではありますがこの爺には孫も同然、どのような汚名を被ろうとも守り抜く所存でございますでな」
「そう、で・・・・・どうするの?」
「どう?とは」
話を聞き終え、タカミヤは大臣から受け取った依頼書を投げ返すと。
「姫様を連れて逃げるの?、それとも見ないふりしてればいいの?、東か南の国が攻めてきたら戦えばいいの?、言っとくけど私はどれもやらないわよ」
「なぜ!?」
「私はね、国の政治だとか政略結婚だとかは関わりたくないの、国の問題なんて身の丈に合わないもの」
「まあ、確かになあ、俺もパスだわ」
「私もパス」
「そんな!?」
皆も同じように首を横に振り大臣は酷く狼狽していた、だからタカミヤは大臣に指を向けて。
「だから、大臣が今この場で決めなさい」
「なにを・・・・」
「姫様と逃げるか、国の人々を護るために残るか」
「・・・・・・・この爺には直ぐに決断など出来ませぬ」
「そう、アンタいい人ね」
「「「「「??」」」」」
タカミヤは大臣に向けていた指を下ろすと壁際の岩に腰掛けて大臣を睨み悪党の笑みを浮かべる。
「アンタが即どっちか切り捨てるようなら、この場でぶっ飛ばしてそっちの姫様を有り難く頂いて美味しく召し上がってやろうと思ってたわ」
「つかヤっさんよ、ヤっさんの性格はしってるけどさぁ、趣味と好みと夢を注ぎ込んだその超美人アバターの外見で悪人笑いは止めようぜ、見てる此方が色んな意味で悲しくなってくる」
「「「「うんうん」」」」
ブラックのなんとも言えないツッコミ、何故か大臣までも頷いていたのが悲しい。
「私のシリアスを返せ!!!」
「えと、つまりどういう事だワトソン1」
「要するにミヤっさんは、大臣がどっちかを捨てるなんてできないなら片っ方、まあ姫様を護るくらいはしてやるよって言ってんのさ」
「ああ!」
ホームズもブラックの代弁でタカミヤの言いたかった事が理解できたようで、タカミヤの肩を肘でつつきながら「照れ屋さんだなあワトソン1は」とからかっていたらタカミヤに「STR全開でビンタしてあげようか」と笑顔で睨まれ「すまん、調子にのり過ぎた」と謝るはめになっていた、大臣は国の民の為にまだしなければいけない事があると頭を下げ「姫様をお頼みします」と言って山を下山して行った。




