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~09~

 『アダマンタイト』を持ち帰って2日後、エリカ博士に呼ばれて研究所にやって来たタカミヤとオリビエ(オリヴァー)は左腕のない大地人のトレジャーハンターの『カノン』という女性と出会った、この女性が義手が必要な人らしい。


「数ヵ月前のトレジャーハントで油断して『アルカノイド』のナワバリに進入してしまい、ヤツの吐いた糸から逃げるには腕を切り落とすしかなかった」

「ああ、あの危険な巨大蜘蛛ね」

「ん~、糸の硬度が鋼鉄を超えるんだっけ?」


※『アルカノイド』:全長3mもの巨大な蜘蛛の魔物(フルレイド級)、口から吐いた糸で獲物を捕らえバリバリムシャムシャ食べる姿はかなりグロい、一定のナワバリがあり入らなければ簡単には襲ってこない。


「腕を切るなんてスゴい事するねしかし」


 オリビエは自分はそんな事は出来ないと首を振っていたがカノンは特に気にしているわけでもないらしく、アノときは必死だったからだと溢していた、オリビエがカノンのトレジャーハント秘話を聞いて楽しそうに相槌を打っているとエリカ博士が大きなアタッシェケースを持ってやって来た。


「お待たせカノンさん」

「いえそんな、私もまさかこんなに早く出来るとは思っていませんでした」

「もったいぶらないで早く早くぅ♪」

「オリビエ、あなたは少し空気読んだら?」


 エリカ博士はニヤリと笑うとケースをテーブルに置きパチリと鍵を開けて一度振り返って。


「さあ、これが私が開発した動力器具(ムーバブル・ギア)『シルエットアーム』よ♪」


 もったいつけながらケースをゆっくりと開いていった。


 開かれたケースには蒼く耀く籠手の様な美しい装飾の施された義手が入っていた、オリビエとタカミヤはカノンと共々「おお~」っと感嘆の声を上げてその義手に魅いっていた、エリカ博士は得意気に「もっと誉め称えなさい!」と胸を張って威張っている、タカミヤとオリビエは素直にエリカ博士を誉め称えると博士は頭を掻いて照れ臭そうにしながら「///そんなに誉めないでよ~///」とモジモジしている、一体どっちなんだ?と首を傾げているカノンは「そろそろいいか?」と博士に要求しい早速義手を装着してみることに。


「接続部分のに魔法結晶が組み込んであってカノンさんの意識を読み取って自由に動かせるわ、試しに動かしてみて」

「解りました」


 カノンは左腕に取り付けられた義手に意識を込める、すると腕はガシャガシャと音を立てながら曲がりカノンの意思通りに動いている事をアピールする、エリカ博士はウンウンと頷き自分の作品に満足しているようだったのだが、エリカ博士はおもむろにオリビエとタカミヤを指差して。


「カノンさん、この二人に腕を向けてみて♪」

「こうか?」

「何か嫌な予感が!!」


 オリビエはそそくさとタカミヤを盾に後ろに隠れ、カノンはタカミヤに左腕を向けるとエリカ博士にゴニョゴニョと耳打ちされていた、そして。


「いけ!!」

「!!」

「ゴメス!!!」


 カノンの攻撃意思を感じ取った左腕は肘先から射出され超反応で避けたタカミヤの後ろに居たオリビエの顔に拳が見事に命中し、カリカリと音をたてながらワイヤーで巻き戻っていく。


「あっぶないわねぇ、飛ぶなら飛ぶって言いなさいよ」

「いや、この距離で避けれるミヤちゃんの方に私はビックリだわ」

「鼻がぁぁぁぁ、僕の形のいい鼻がぁぁぁぁぁ」


 ワイヤーパンチを受けオリビエは地面をゴロゴロ転がり、何事もなかったようにエリカ博士に抗議を送るタカミヤの超反応にエリカは驚いていた、そしてカノンは。


「///カッコいい♪・・・・・///」


 御満悦らしかった様で恍惚とした表情でワイヤーパンチをバシュンバシュンと何度も飛ばして遊んでいた。



 ・・・・・・・・


 話は変わり、何故義手にこんな機能を付けたのかと問い詰められたエリカ博士はアッケラカンとこんな事をいいはなった。


「仕込み武器は『科学者のロマン』なのよ!!」

「マンガの科学者みたいな事を言いよったぞこの博士!!」

「ロケットパンチはまあ確かにそうかもしれないけど」

「冒険者の人らに聞いた話に出てきた中で使えそうだったのは、刃の飛び出る『アイア○カッター』、豪腕粉砕『ブロ○クンマグナム』、腕が飛んでいって指からビームがでる『有線式サイ○ミュ』とかあったんだけど、今回はベーシックにワイヤーパンチで」

「誰だ!!博士にいらん事吹き込んだのは!!!!」

「あ、ゴメン私」

「獅子心中の虫ここに有り!?」


 さらりと爆弾発言をしたタカミヤにオリビエも驚きを隠せないようだった、だがタカミヤは堂々と威張り。


「異世界に来たら、憧れの必殺技の15や30は真似したくなるのがマニアの性なのよ・・・」

「ああ~だからスター○ーストストリーム使えたのね・・・ってか多いよ!!!」

「異世界にきたら『かめ○め波』を使おうとしてみるもんじゃないかしら」

「したの?」

「まさか、私は『流派東方○敗最終奥義・石破天驚○』を会得すべく今も日々鍛練しているわ」

「会得しても僕には使わないでね!!!お願いだから!!!!絶対だよ!!!!」


 ヤマトの冒険者にはかなりの比率で心辺りのありそうな『異世界でやってみたいこと』シリーズを実は結構頑張って(苦節する事5ヵ月)会得しちゃったタカミヤにはオリビエもただただ恐怖だった。


「まさか!!!!エリカ博士に古代兵器種のパーツやら部品を卸していたのって!!!!」

「ふっ、私以外に誰がいようか!!!!」

「むしろ威張られた!!!?」


 エリカ博士の『アガットデストロイヤー』シリーズの部品がどこから調達されているのか調査しても不明だったのだがまさかココに来て犯人が自ら名乗り出るとは思わかった上に、GMお抱えで御用達のスーパーアバターの持ち主が犯人である以上、先輩であるトマスですらタカミヤを止められるか不明な辺りまさに獅子心中の虫である、ぶっちゃけオリビエには勝てる気がしなかった。


「なによ、結果としてタームソルジャーの殲滅には役立ったんだから時効よ時効」

「まだ1ヵ月も経ってないんですが!?」


 因みに話に出てこないカノンさんはエリカ博士に次なるドリームウェポンを発注している最中だった、一体全体どんなのが完成する事になるのやら。



【カノン】

大地人のトレジャーハンター、冒険と歴史の探求が彼女の生き甲斐、Lv75と大地人でも結構な強さを持っている。

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