24話 戦争の長期化を防ぐために…
投稿します。よろしくです。
喉が~痛い。飴なめよ。
王国に帰還して、既に2週間が過ぎようとしている。ウェイン公国に送り込んでいる諜報員からの情報は、すぐに国王及び大貴族達に伝わり、私は王女を通じて話を聞いている。前回の任務完了後、1週間休みを頂き英気を養った。私服で王都を散策するだけでも、気分が大きく晴れた。
給与も1月で金貨60枚もらえているので、学院にいた時と比べればかなり豊かである。気になる事と言えばセシルだが、子爵家の王都邸に住まわせている。私が抜けたので、空き部屋もあるからだ。しばらくの間、そこで色々と学んでもらうつもりだ。
現在、私が遠征に出ている間、王女システィア様の護衛を私の代わりに任せていたルビとバーバラと話している。特に大きな問題もなかった様で安心した。
「サラ、実際に見たウェイン公国は様子はどうだったのですか?」
「ウェイン公国の首都は一進一退の攻防でした。籠城戦なので、簡単には負けないと思いますが、可能なら帝国軍の背後から攻める事が出来れば、大きなダメージを与えられるわね。最低でも追い返す事は出来る。」
「父上達が王国第一騎士団の派兵を検討しているようです。既に国内の冒険者ギルドや腕に覚えのある傭兵も募集中らしいわ。国内を教会騎士団や第三騎士団に任せて、残りをすべて投入して片をつけるつもり。」
「その際に王女直属騎士団も行くことになったら、システィア様をまた頼むわね。」
1ヶ月後に膠着する戦争を終わらせる為に王国第一騎士団の派兵が決まった。それ以外にも様々な各領地から領兵が集められて、アトラス王国の王都に集結した。一時、人混みが凄くて休みの日に驚いた。予想が外れたのは、私が指揮する王女直属騎士団500名の派兵が見送られた事だ。欠員補充者の訓練をするように指示は受けたが解せない。
そして1週間後、王国第一騎士団を先頭に王都から出陣する兵士達を見送った。数万の兵が王都から出るだけで、半日は使っていた。こんなに時間がかかって大丈夫かな?王国最強の剣士メリッサがいるので、負ける事はないだろう。もし負ける事があれば、この王国は滅びるだろう。それだけの人物である。
手持ち無沙汰を感じるが仕方ない。新兵の訓練など何か出来ることをしよう。すっかり静かになった王都を歩いていると何となく嫌な予感がしたが、振り払うことにした。数日後、王女の護衛に私がついている時に急報があった。現在は、国王の間に王女と私が呼び出されたところである。
「王女直属騎士団団長サラよ。北の蛮族どもが推定1万の兵を上げてこちらを攻めてきている。王国第一騎士団が王都を離れたタイミングを狙うとは小癪な…現在、ガードナー率いる王国第三騎士団が国境付近で対応しているが、応援に向かってほしい。やってくれないか?」
国王から頼まれた仕事を正当な理由なく断れば間違いなく失職あるいは牢獄行きであり、やる以外の選択肢はないが、王女の方を見て頷いていたので問題ないようだ。
「仰せのままに。」
すぐに王女直属騎士団の副団長シア、三席のラルフ、四席のミレイを呼び出した。今から準備して、明日の日の出には王国の北に向けて出発する予定だ。王国第三騎士団と合流して敵軍の殲滅を行う。あらかた説明を3人に終えた後で質問があるか確認した。
「なぜ教会騎士団は動かないのですか?あれはいったい何なのですか?」
「私も知らん。捨て置け。」
「王女の護衛には誰がつくのですか?」
「前回と同様にルビとバーバラがつくので、問題ないだろう。我々は安心して北の蛮族制圧に参加出来る。」
「まったく、我々を何だと思っているんだ。どのあたりが、王女直属騎士団なのか説明がほしいところです。」
「国王に王女直属騎士団の三席ラルフがその様に言っておりましたと伝えたおこう!」
「…」
「言いたい事はわかるが、下の者達に説明を頼む。明日の朝一に時間の短縮の為に王都の門に集合だ。遅れた奴は置いていくし、その時点で首にすると伝えておいてね。」
「承知しました、サラ様。」
「ラルフ、何か私に言いたい事があるのか?」
「はい。何だか急にやる気が出てきまして、その国王には言わないで頂ければ…。すみません、調子にのり過ぎました。」
「言葉は時に口癖で冗談で言っていたつもりでも本当にその様になる事がある。十分に気をつけてくれ。そういえば、この間の盗賊討伐の際に金貨1500枚を拾った。少ないが使え。分配はお前達に任せる。今から急いで準備に迎え!」
3人が目を丸くして、驚いていた。前回の遠征で手に入れた物などを売るなどして金貨にすべて変えていたのだ。これで少しは士気が上がればよいが…。私も王宮に戻り、備品など準備を整えた。翌日、王女直属騎士団が一人もかけることなく王都の門に集合した。全員が騎乗しているので、今日中には合流出来るだろう。門番の兵士に挨拶して出発した。
※教会騎士団の団長目線で話が進みます。
王国第一騎士団が王都を離れて数日が経つ。教会騎士団は動かず情勢を見極めている。流石に王都が攻められているのであれば動くが、他国の戦争に手を貸すほど暇ではない。北から大規模な蛮族の侵攻が始まった時は腰を上げたが、王女直属騎士団が動くとわかり、すぐに腰をおろした。
教会騎士団は元々は、才能がないわけではないが、実践経験が少ないので役立たずの兵士が多い気がする。何と言うか腐ってしまった感じである。適当な仕事をして、給料をもらっている。プライドが邪魔というか教会が邪魔をして、色々と問題を抱えており、どうしたらよいか扱いに困る。そんな時に見知った顔の訪問者が現れた。何だか嫌な予感がする。
「団長、お久し振りです。公爵家ザイール様の護衛のローです。急な訪問で申し訳ないのですが、大事なお話があります。この度、公爵家ザイール様がとうとう王位奪還に向けて動き出す事になりました。奪われた王位を取り戻します。もちろん手を貸して頂けますね。」
「馬鹿な!何を言っている?王がいるというのに…クーデターか?話にならん。帰ってくれ!」
「ここに証文があります。あなたが公爵家ザイール様の家臣になるという。そして、クーデターに協力している旨が記載されており、捺印まであります。破れば違約金が金貨5万枚かかりますが、それとも約束を違えますか?万が一、これが国王に渡れば、一族郎党皆殺しになるでしょう。しっかりと指の形の血のサインが入っています。」
「き、貴様!そいつを寄越せ。ぶっへ!」
後ろに殴り飛ばされた団長が鼻血を出して目をまわしている。先ほどまでと異なり、目の前の公爵家の護衛ローは、冷徹な目をしてこちらを見ている。
「あなたごとき、いつでも殺せるんですよ。あなたに選択肢はないんです。明日、目障りな王女直属騎士団が、朝一に出発した後に兵を起こして王城を攻めて下さい。国王、王妃、それに準ずる大貴族は牢へ、それ以外は皆殺しにすること。国庫には手を出さないで下さい。いいですね。あと、ぎょくじを手に入れたら私に渡して下さい。それ以外は、こちらが引き受けます。国王とそれに連なる連中の公開処刑が今から楽しみで仕方ありません。」
愉悦に浸った頭のおかしい公爵家ザイールの護衛ローが去った後、青ざめた顔で副団長を呼び出し命令した。一通り説明を聞いた副団長が激怒した為、剣で切り殺す事になってしまった。私の唯一の取り柄であるアイテムボックス(微)に死体をしまい、すぐ下の階級の部下に命令した。部下は動揺していたが、万事上手く行けば何の問題もない。すべては上手くいくし、王国軍の頂点の地位を手に入れる事も出来るだろう。ピンチはチャンスである。
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