23話 滅んだ村で子供を拾う!
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雪が凄かった。
ウェイン公国内をひたすら全軍で北上している。帝国との国境が近づいてきたので、そこからは東に向かう事になった。あとは王国に帰るだけで、大きな問題が起きなければいいが…。
「サラ様、もう少し進んだ所に小さい村がありますので、そこで休みましょうか。」
地図を確認している3席のラルフから報告があったので了解した。連絡が班長を通じて、末端まで伝わるまで少しかかる。ひたすら馬を走らせていると遠くに村が見えてきた。近くまで来て思ったが、活気がないし様子がおかしい感じがした。とても嫌な予感がする。
村の近くで馬を止めて、班の1つに確認に行くように伝えた。待機して戻りを待っていると、班長から報告があった。
「サラ様、村の中が荒らされた形跡があり、村人の姿はありません。盛土が形成された跡があり、兵が調べたところ、殺された後に埋められた村人と思われる死体がありました。おそらくは帝国兵による仕業と思われます。」
「わかった。戻っていいわ。」
帝国軍はおそらく軍を幾つかに分けて、その中のウェイン公国内を蹂躙してまわる部隊が行ったのだろう。数はそれほど多くないが、残虐な連中であり、数百人からなる別動隊の可能性もある。今、近くにいるだろうか?出来れば潰したいが、どうだろう。出会う可能性は低いか?
念の為、手がかりがないか村の中を散策してみる事にした。燃えた家や人の気配がないことに寂しさを感じる。たまたま気になった家を覗いて見たが、料理をしている途中で何かが起こり、そこで時間が止まっているかの様であった。
「ガタン」
「誰だ?」
音がした方を振り返ると、子供の男の子が観音扉のタンスから出てきた。虚ろな目をした少年がこちらを見ている。敵意をもってナイフの先をこちらに向けて構えている。何か聞けるかもしれない。手を上げて敵ではないと伝えた。
「私は敵ではない。さっきこの村に来たばかりだ。ウェイン公国の同盟国であるアトラス王国の兵士だ。何があったか教えてくれないか?」
「…盗賊に、村の皆殺された...親も友達も…。僕は、お父さんに隠れているように言われたんだ。何があっても出てきてはダメと言われた。どうして早く助けにきてくれなかったんだ。」
ナイフを足元に落として、膝をついて泣いている。こんな時に何て声をかけてやればいい?無責任な事は出来ない。どれ程辛い思いをこの年で経験したんだ。いっそひと思いに殺してやり、両親の元に送ってやった方がいいのか?
「ここで死を待つか?それとも私と共に来るか?好きな方を選びなさい。ただ自分で決めた事はやりなさい。私の名前はサラよ。」
自分より大分若い少年に手を伸ばして待っている。少年が私の手をとるのに時間はかからなかった。抱き締めてやり、泣き止むまで待ってあげた。落ち着いた所で私の馬まで移動した。私の方を見てシアが目を丸くしている。
「サラ様、その子は?」
「村の生き残りだ。少年の話だと、賊は南東に昨日の朝移動したらしい。話していた会話を聞いたそうだ。帝国兵の仕業かと思ったが、盗賊かもしれないな。班長を集めてくれ!」
その後、少年を私の馬に乗せて4席のミレイの案内で、馬をとばして南東の近い集落や村を目指した。感情論はよくないが、盗賊討伐も王国からの指令の1つである。訓練された帝国兵ではないので、さっさと片付けたい。ゴミは早めに処理すべきだ。
夜になれば視界が悪くなるので、テントを張り見張りを立てて休んでいる。少年は私のテントで休ませて食事も与えた。預かった以上は少年が自立するまで面倒を見てやるつもりだ。
「少年、名前は何て言うんだ?年はいくつだ?」
「…セシル…10歳。」
「私より4つ下か。栄養が足りてないな。盗賊を探してから、アトラス王国に入るからな。もう寝なさい。」
少年が寝たのを確認してから念の為、鑑定スキルを使って調べた。適性などがわかれば、今後の役に立つかもしれない。そんな気楽な気分で調べたのがよくなかった。
<ステータス>
名前 サラ
年齢 14歳
立場 子爵家令嬢 友達5人 B級冒険者
強さ 剣聖 レベル55(LvMax)
HP 7777
MP 9999
武器 騎士の剣 防具 騎士の鎧
スキル 鑑定(300)、威圧(1000)、無属性(2000)、覚醒(?)
※無属性魔法の身体強化、アイテムボックス、スラッシュ、神速、カウンター、一刀両断、五月雨斬り、流星群、気配遮断
<ステータス>
名前 セシル
年齢 10歳
立場 滅びの村の少年
強さ 勇者 レベル2
HP 100
MP 20
武器 錆びたナイフ 防具 布の服
スキル 無属性(30) 風属性(50)
※身体強化、ウィンドカッター
さて、この子の扱いをどうしようか?とりあえず明日の私が考える事にしよう。寝ます…眠れない…羊が一匹、羊が二匹、羊が…ダメだ。外の空気を吸ってこよう。1人テントの外に出て、見張りにすぐに戻ると伝えておいた。おしっこじゃないよ。本当だよ。嫌、念のため行こうかな。
夜の星が綺麗に見える。神が存在していて私に少年を導けと言うのか?認めざるを得ない。上手に育てれば、私を遥かに凌ぐ可能性に出会ってしまった。それこそ帝国にいると言われる勇者にも匹敵するだろう。久々に興奮しているのだろうな。少し落ち着いてきたので、テントに戻る事にした。
翌日、さらに南下した村で煙が上がっているのに遠見が気づいた。おそらくは盗賊団の仕業だろう。村に近づいて、悲鳴の様な声が聞こえた。
「このまま突撃するぞ!敵を蹴散らせ兵を分散させて、敵を1人も逃がすな!盗賊は皆殺しにしろ!」
私と少年セシルを乗せた馬は中央を突破している。すれ違い様に若い女を追いかけている汚い風貌の盗賊の首を一閃した。村の再奥の他より立派な大きな屋敷の前まで来て馬から降りた。何となく盗賊がいそうな気がした。
「セシル、私から離れるなよ。」
セシルが頷いたのを確認後、建物の扉を剣で切りとばして中に入ると、盗賊と思われる3人組がこちらを向いた。大きな音を立てているにも関わらず、ふてぶてしい態度だ。絶対の自信でもあるのか?机に座り、金の勘定をしている。こういう連中は、横柄な態度と残虐性のみ一流だからたちが悪い。
「セシル、見覚えのある顔はいるか?」
「右の男に…父親を殺された...。」
この子の無念をはらしてあげよう。今のセシルがまともにやれば負けるが、レベルアップの糧にしてやる。
「北西にある村を襲撃したな?貴様ら。」
「…おたくら、どこの騎士団よ?その鎧はアトラスか?俺達は帝国から許可を得て仕事をしているんだ。邪魔するなら…」
「死ね!」
身体強化発動後、全力の威圧を放った。左右の2人が口から震えながら泡をふいて倒れた。中央の奴はどうやら耐えたようだ。中央の奴に剣を抜いて目を突き刺した。
「うぎゃ〜、やめてくれ〜。金ならやる。頼むから~助けてくれ。」
「ゴミ虫から理不尽に奪われた尊い命の重みが理解出来たか?」
「りっ、理解できましゅ!ゆっ許して下さい。」
「貴様も同じ様に助けを求めた人間を殺しただろう。死んで詫びろ!」
顔を何度も串刺しにして、最後に股間に剣を突き立てた。王国から支給された剣が汚れてしまうので、すぐに引き抜いて、とどめに心臓に刺しておいた。剣が血と汚いもので汚れたので、刺した男の服でふいておいた。残り2人だ。
「セシル、そこに倒れている右のゴミを殺しなさい。親の仇、村の仇をあなたがとるのよ。嫌なら私がやるけど…結果的には変わらない。持っている錆びたナイフで出来るわね。」
もう一人の泡ふいて倒れているゴミを処分して、金を回収しておいた。あらかた村を襲った時に手に入れたものだろう。セシルも敵の胸にナイフを突き立てていたので及第点だ。今後、この少年がどの様に育つかわからないが、軍に入り鍛えれば敵を多く葬る事になるだろう。
「サラ様、外の盗賊が完了しました。村の生き残りがいたので手当てをしております。」
建物の外に出ると、副官のシアから声をかけられた。他の兵士も待機しており、私の命令を待っている。
「全軍に伝える。明日の朝にアトラス王国に帰還する。それまでは班ごとに休め。」
2日後、兵に死者が出てしまったが、何とか王国に帰還する事ができた。
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