2話 0歳児に出来る事は少ないがすべてやる
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目を覚ましたサラは、体を動かして寝かされていた部屋を見回した。天井には特に何もない。少し離れた所に鏡が見えたがそこまでは今はたどり着けない。窓からの明かりとランプ?の様な物が壁にあり部屋の中は明るい。また、手足の長さ、まだ歩けない事から生まれてから半年以内と思われる。扉や棚の位置を確認して、早く見に行きたいと思った。
毎日、母乳を飲みながら母親やメイドの話を聞いている。私はどうやら最近高熱を出した様で死の淵をさまよっていたらしい。本当に治って良かったと話していた。その際に運がいいのか悪いのか前世の記憶を思い出す事に成功したようだ。理由はわかっていないが、なぜかメイド達の会話も理解出来る。どうやら話の内容が、私があまり泣かない話に変わり不思議に思っているようだ。
「サラ様、頑張って下さい。もう少しですよ〜」とメイドに言われながら歩く練習をしている。すぐに尻もちをついてしまうが、早くハイハイを卒業したいので、歯をくいしばって、鋭い目つきをして手で棒につかまり練習している。はやく外の世界を自分の足で歩きたいと思う。
夜には寝付いたふりをして、メイドが部屋から出たのを確認してから考え事タイムである。まずここが異世界である事は間違いないと思った。その根拠としては魔法の存在である。メイドが手から小さい火や水を出しているのを見た事もある。そして、最近見ていないのだが、父親の存在も気になる。
母親やメイド達の話から生きていることは確実である。父親がいない間は、母親が子爵家の代理でしきっており、長男のラウが成人するタイミングで地位を譲ろうと考えているらしい。また、最近になって気づいた事がある。
「しゅてーたす、おーぷん」
目の前に他の人が見ることが出来ないウィンドウが現れた。ちなみに先ほどはステータスオープンと言ったつもりである。滑舌も修行がいる。現在の自分の状況が数字で確認ができる仕様である。異世界ならあるんじゃないかと思い試したら出来た。もしできなかったら頭のいたい子になっていただろう。
<ステータス>
名前 サラ
年齢 0歳
立場 子爵家令嬢
強さ 剣道 レベル1
HP 10
MP 5
スキル 言語理解(0)、鑑定(5)、威圧(20)
※カッコの中身は消費MPであり、MPを使い過ぎると気持ち悪くなるので注意がいる。
※鑑定スキルを用いると物の価値や人の
ステータスをのぞき見る事が出来る。ただし、鑑定ブロックやステータスの改ざんも出来るため、あまりあてにし過ぎない方がよい。参考程度に役に立つスキルである。
このスキルの数はたぶん多いと思う。特に気になるのが、威圧である。乳児で既に威圧スキルはおかしくないですか?MPが足りなくて使えないけど。このスキルは1対1の戦闘に限らず、集団戦闘でも大きな効果を発揮すると思うけど。相手を怯ませる隠し球としてあまり使わずに、いざピンチの時の為にとっておいた方がいいだろう。もちろんとっさの時に使えるように練習はいるけどね。
言語理解や鑑定はいいとして、剣道スキルは前世の経験から引き継いだ才能だろう。小学1年生から高校を卒業するまでの約12年間の私の汗と涙の結晶である。たぶん異世界に剣道はないので、自己流の剣術という事にする予定だ。最近は、身近にある棒を探しては竹刀の代わりにして振り回している、もとい練習している。
また、前世が喪女だったので、ライトノベルもよく読んでおり、寝る前にMPを使いきると最大値が増えるという知識からさっそく実践をし始めた。夜に一人になってから、鑑定スキルを1回使えばMPは空になる。その後、船酔いの様な感じになり、吐き気がした。成長に苦しみはつきものと思う様にした。
1歳になる頃には歩ける様になり、部屋の中も自由に行動出来る様になった。食事も離乳食にかわり、ようやく母乳地獄から解放された。私の心に平穏が訪れました。正直、前世の記憶があると辛いんです。抱っこされた状態で見たことがあるが、現在は鏡の前に立って自分の顔をみている。
「うゎー、何度見ても、前世の記憶と同じで目つきが鋭いわ!まったく、どうしたらいいのかしら?これで友達が出来るかしら。」
独り言をぶつぶつと言っていた所に兄のラウが急に現れた。「部屋をノックしても返事がないから、勝手に入らせてもらったよ。鏡なんか見ても大して変わらないのに!さぁ、母上が呼んでいるから行くよ。」
マザコンの兄のラウに手を引かれながら、ものは試しに鑑定スキルを使ってみた。ちなみに兄は目つきが鋭くない。
<ステータス>
名前 ラウ
年齢 5歳
立場 子爵家長男
強さ レベル2
HP 13
MP 6
スキル 風属性(5)
※ウィンドカッターと呼ばれる風の刃で人や物を切り裂く。レベルが上がれば強い攻撃手段となるが、弱ければスカートを捲る程度である。基礎属性の1つである。
「う〜ん、何かあまり強くなさそう。これからは、子爵家当主を目指して、普通に背伸びせずに無難に頑張ってほしい」と思った。ちなみに私のステータスは、半年でMPが大幅に増えて上限に達したようだ。カンストである。今後のスキルの使用に困ることもなくなった。さらに新しく覚えたスキルもある。MPの増加に関しては私だけの秘密にするつもりだ。
<ステータス>
名前 サラ
年齢 1歳
立場 子爵家令嬢
強さ 剣道 レベル2
HP 14
MP 999
スキル 言語理解(0)、鑑定(5)、威圧(20)、
無属性(50)
※MPの増加に伴い、無属性魔法の身体強化やアイテムボックスを利用出来る様になった
屋敷の庭に兄のラウと2人で出たところで、母親が優雅にメイドの入れた紅茶を飲んでいた。所作だけで貴族とわかるが、おそらくティータイムを子供と過ごしたいだけだろう。
「母上、サラを連れて参りました。」
「ありがとうね、ラウ。サラもこちらに来て座りなさい。」と言いメイドに手伝ってもらい椅子に腰をかけた。たわいもない話から私の1歳の誕生日を盛大に行いたいという話になり、他の貴族にも声をかけて誕生日パーティーを行う事になってしまった。母親は私の将来の婚約者候補でも見つけるつもりだろう。意味のないことをする人でないので、そんな気が何となくした。
母上と兄のラウは顔や穏やかな性格も似てる気がした。私は、おそらく父親似である。娘はわりと父親に似ているという話を聞いた事がある。屋敷に男性の肖像画があり、何となく私に似ているので父親もしくは祖父なのだろう。特徴があるんですよ、目に。後でわかったけど、父親は例外なく鋭い目つきをしておりました…。今にも人や魔物を殺しそうな目つきですよ。軍人なのかな?
数ヶ月後、前世が喪女では厳しすぎる私が主役のパーティーは最低限こなして無事に終わった。椅子に座り、口を開けて、人形の様にぼおっとしていたらいつの間にか終わっていた。1歳なので期待され過ぎないところが、せめてもの救いであった。他の貴族や商人の評価は良くも悪くもない程度の顔見せであった。
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