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きらきらの在処【冬童話2026】

作者: 春海
掲載日:2025/12/11

こんばんは、春海です。

今回初めての短編制作と公式企画に参加させていただきました。どうぞゆっくりご覧下さい。

ある夜の出来事です。

僕は何も無い空間にいました。あたりを見回すと、お父さんもお母さんも弟も、学校の友達も先生も、みんなが手に‘’きらきらしたもの”を持っていました。丸い形の人、ギザギザな形の人、モコモコした雲みたいな形の人、みんな色々です。

でも確かに輝いて、そこにありました。

けれど、僕の手には何もありません。

いいなぁ、みんなのそれ、僕もほしいな。

僕は思いました。


誰かにきらきらを分けてもらう?でもみんな大切そうに持ってるから、少しちょうだいって言ったら悲しむかな?きっと嫌がるよね。


だから探しに行こう、自分だけのきらきらを。


僕は歩きました。

みんなの元を離れて歩くと、森に出ました。

森の中では、リスや鳥もきらきらを持っていました。みんなのとは違って小さかったけど確かにそこにありました。

僕はもっと歩きました。

真っ暗な空から雪がパラパラと降ってきます。

寒いなぁ、暖かいご飯が食べたい。

ふかふかのお布団に入りたい。

あのきらきらも、きっとすごくポカポカしているんだろうな。


僕は止まらずに歩きました。

凍える手先をポッケに入れて、寒いのを我慢しました。きらきらは必ず見つかると信じていたから。

やがて森をぬけて、海に出ました。

砂浜には誰かがいます。

僕はその人の方に歩きました。きらきらがどこにあるのか聞きたかったのです、きっとその人もみんなと同じできらきらを持ってるから。

近づくと、その人は綺麗な女の子でした。僕と同い年くらいです。長い髪の毛だな、冬なのにすごく薄着で、寒そうだなって思いました。でもよく見ると、その子はきらきらを持っていませんでした。


「君も持ってないんだね。」

僕は声をかけました。

すると女の子は答えました。

「落としちゃったの、だからね戻ってこないの。」

女の子はすごく悲しそうでした。

「落とし物は‘’交番”ってところに届くって聞いたことがあるよ。そこに行ってみよう、僕もきらきらを探してるんだ。」

けれど女の子は首を横にふりました。

「戻ってこないよ、私も君も。失ったきらきらはもう二度と手に入らないの。」

僕は不思議に思いました。

なんでこの子にそんなことが分かるの?

女の子は落としちゃったって言ってたけれど、僕は最初から持ってなかったんだ。

だから欲しくて一生懸命探したのに!

僕は悔しくなって、女の子になんで?といっぱい聞きました。


それから女の子は下を向いて言いました。

「私もきらきらがほしいの。でもダメなの!

きらきらはね――‘’いのち”なんだよ。失ったいのちは戻らないってお母さんが言ってたの!」

僕はびっくりしました。

「…いのちがないってことは、死んじゃったってこと?」

女の子はゆっくりと頷きました。

でもおかしい、僕は今地面に立ってます。自分の足で立って、呼吸して、女の子と目を見て話せています。

死んでいるなら、立つことも、呼吸をすることもできません。

幽霊ならきっと目には見えない透明だから、誰にも見つけて貰えないはずです。

女の子は僕のことをからかってるんだ、嘘をついているんだと思って、僕は怒りました。

すると女の子はしくしくと泣きはじめてしまいました。僕はどうしたらいいか分からなくて、もっと近づいて涙を袖で拭いてあげました。ゆっくりと話してくれました。

お父さんとお母さんとこの海に来ていたこと。あっちの方は波が強いから、絶対に行ってはダメだと言われた方に、2人が目を離した隙をみて、興味本位で行ってしまったこと。そしたら大きな波がきて、水が口に入って、苦しくて息ができなくなってしまったこと。気がついたらお父さんとお母さんが泣いていて、2人にあったきらきらが自分にはなかったこと。またきらきらが戻ってくるかもと思って、ずっとこの場所で待っていること。

僕は、女の子が嘘をついているように思えませんでした。

「…そうなんだね、怒ってごめんね。」

僕は謝ることが精一杯でした。

女の子の話が本当なら、きっと僕も死んでしまったんだ。理由は思い出せないけど、きらきらを持ってないことは本当だから、信じるしかないのかもと思いました。

周りには誰もいなくて、世界が僕たちだけのような気がしました。

みんなにももう会えないんだと思うと、僕も悲しくて泣いてしまいました。 きらきらなんてなくてもいいから、お母さんのご飯を食べて、お父さんとお出かけして、弟と遊びたいって思いました。勉強は嫌いだけど、友達とももっと遊びたいです。

女の子は僕が泣いてるのに気がつくと、ぎゅっと抱きしめてくれました。女の子の身体はとても冷たくて、氷みたいでした。2人で抱きしめながら、しばらく泣きました。どれくらい泣いたのか分からないけど、朝日が上りはじめています。


「――くんはね、朝に太陽が登った頃に産まれたんだよ。太陽がないと真っ暗で人は生きられないの。だからママ思ったんだ、――くんはママにとっての太陽なんだ。ママをママにしてくれた、パパとママにとっての太陽なの。」

「――くんは、ママのお腹に来る前何してたのかな?」

「――は優しいから、きっと前世でも良いことをたくさんしたんだろうな。パパと俺の大好きなママの子に産まれてくれて、ありがとうな。」


泣いていたら、パパとママが僕にそう言ったことを思い出しました。

あの時はよくその言葉の意味が分からなかったけれど、今はとても大事なことのように思えてきます。しばらく考えると、僕は良いことを思いつきました。

「ねぇねぇ、あのさ。」

声をかけると女の子は赤くなった目で、僕のことを見ました。

「死んじゃったらさ、生まれ変わればいいんだよ。生まれ変わればまたきっと、きらきら持つことができるよ。」

女の子は首を傾げました。

「…でもどうやって?」

言われてみれば確かにそうです、僕も女の子も生まれ変わる方法を知りません。

「だから探そう、2人で!前にママが言ってたんだ、良いことをしたから生まれ変われたとかなんとか…だから探してみよう。2人でまたきらきらを持とうよ!」


そこから僕たちは2人で協力して、ゴミを拾ったり、公園のベンチを綺麗にしたり、良いと思うことを全部やりました。

相変わらず僕たち以外の人はいなかったけど、寒くても雨が降ってても、2人で頑張りました。


ある日目を覚ますとお空にいました。ふかふかの雲の上には女の子もいます。

お空から見た街には色々な夫婦がいました。生まれ変わっても2人一緒がいいね、と女の子は言いました。僕も女の子ともう会えないのは寂しいなと思いました。2人でたくさん話して、僕と女の子は、1組の夫婦を選びました。若い女の人と優しそうな男の人です。

次起きたら、きらきら持ってるといいねと女の子に言いました。女の子はそうだねと笑っていました。



長い冬が終わり、春の訪れを告げるかのように、病院で元気な2人の赤ちゃんの産声があがりました。とある夫婦の間に産まれた、男の子と女の子の双子の赤ちゃんです。

顔はあまり似ていないけれど、2人は確かに、誰よりも幸せそうに、きらきらを持って産まれた赤ちゃんです。


お母さん、お父さん。

生んでくれて、ありがとう。

もうきらきら無くさないように、大事に持ってるね。

いかがでしたでしょうか?

私にとってのきらきらを、物語にした作品でした。

寒い冬、家から出たくない季節だからこそ、みなさんも自分自身の‘’きらきら”の形を考えてみてはいかがでしょうか?ご感想等もお待ちしております。

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― 新着の感想 ―
何もない空間から森に行くくだりが突拍子も無くて素敵です。 と思ったら転生系のお話に・・。しかも自我を保持したまとはまさに『なろう系』ですね。 でも少年側の死に至るバックストーリーが書かれていなかったの…
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