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三姉妹とリユニエの星環  作者: ケミパパ
第4章 古都での静かなる紅蓮の再起

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⑭救援の紅蓮──オラクル・アイ、ルミナの流れを歪める

※世界観の補足や設定まとめはnoteにあります(プロフィールから)

27.



ソリアの一閃が、ミカゲの細い首を捉えようとした――


その瞬間。


彼女の背後で、生命ルミナが爆ぜた。


『……!』


凍てついた空気を引き裂くように、


紅蓮の炎を纏った拳が、ソリアの視界を埋め尽くす。


避けきれ――


ソリアは反射的に傘を広げた。


だが、紅蓮の拳はその傘ごと、彼女を弾き飛ばした。


氷柱と化していた木々に、身体が叩きつけられる。


次の瞬間、氷は音もなく砕け散り、白い霧となって舞い上がった。


『……ぐっ……』


何が、起きた――。


意識が揺らぐなか、ミカゲは必死に目を凝らした。


氷虎の拘束が、解かれている。


「ミカゲ! 大丈夫?」


金色の髪を揺らしながら、ラオが駆け寄ってくる。


「ラオ……ミカゲをお願いね……」


支えられながら顔を上げると、


そこに立っていたのは――


情熱ルミナと再生ルミナを、完全に身に纏ったオルディナだった。


がらがら、と崩れ落ちた氷の残骸の奥。


霧の向こうで、影が動く。


青い眼光が、冷たく、鋭く光った。


『……やってくれますわね……』


ソリアが、霧の中から静かに姿を現す。


『これは……私も奥の手を使うしかないですわね……』


『こやつ……ロゴスの……』


イグニファが、驚愕を隠さぬ表情を見せた。


ソリアの瞳が、青碧の光を帯びる。


それは――ロゴスと同じ、《オラクル・アイ》。


『オルディナ……あの者もカリンと同じ……』


サクヤオロチが、低く告げる。


「トゥリムで、レナリスを連れ去った奴だね……」


オルディナは、視線を逸らさずに言った。


『お初にお目にかかりますわ……オルディナ。

 わたし、ソリアと申します』


『あなたが出てきてくださったおかげで、お手間が省けましたわ……私と一緒に来てくださらない?』


その声は、丁寧で、柔らかく――

しかし、拒絶を許さぬ温度を帯びていた。


「私が行くって言うと思う?」


オルディナは、挑発するように言い返す。


『ふふ……交渉決裂、ですわね……

 物事は、そう思いどおりには運ばないものです』


ソリアは、どこか遠くを見つめる。


『いいでしょう……ならば、力ずくで連れていくまで……もちろん、それ以外の方には――死んでいただきますが』


凍てつく殺気が、場を覆った。


だが、オルディナは一歩も退かなかった。


ソリアの周囲で、二匹の氷虎が低く唸る。


獲物を定めた視線だった。


「イグニファ、サクヤ。ちょっと力、貸してね」


『ああ……だが、オルディナよ。気をつけるのだぞ……あの目を持つということは……』


『あの者は、確実に“論理”ルミナ系統。

 私たちのルミナとは、相性が悪い……』


サクヤオロチが、冷静に告げる。


「上等っっ!

 逆境の方が、むしろ燃えるってもんよ!」


オルディナは叫び、一気に駆け出した。


氷虎が、包囲するように迫る。


一匹が鋭利な牙を剥き、跳躍した。


『ぬぅ!!』


イグニファが角でその動きを止める。


触れた部分から氷が広がるが、

それを溶かすように、情熱ルミナの炎が噴き上がった。


溶岩流のような、激しい炎。


もう一匹が、オルディナに迫る。


『オルディナ! お行きなさい!』


サクヤオロチが、炎を纏って虎を拘束する。


オルディナは、一直線にソリアへ迫った。


――だが。


すべての攻撃が、空を裂く。


ソリアは、まるで舞うように、

鼻歌でも歌うかのように、それらを避け続けた。


『どうしましたの……?遊ばれているのかしら?』


読まれている――


動きも、意図も、すべて。


焦りが、オルディナの胸を締めつける。


ルミナの流れが、微かに乱れ始めた。


『焦っていますね……オルディナ?』


青碧眼が、すべてを見透かす。


『あなたのルミナの流れは、もう把握しましたわ……

“情熱”に、“再生”……二つも取り戻したのですね』


『それに……ふふ……あなた……それだけではない……

私たちと、同じルミナを持っていますね?』


「いい加減に、黙りなさい!!」


紅蓮の刃が、大きく振るわれる。


――だが、それも、空を切った。


『なぜ、その力を解放なさらないの?

 もったいない……』


水色の唇を舐める仕草に、


オルディナの背筋を悪寒が走る。


『わたしが、引き出して差し上げましょう』


『オルディナ! そやつの声に耳を傾けるな!!』


イグニファの叫びも、届かない。


『影と、論理……とくと味わいなさい。

 “理解”を極めし者にのみ赦された力を』


その瞬間、ソリアの瞳が妖しく光り、

オルディナのルミナの流れが、強制的に歪められた。


「……っ……!」


身体中に、無数の裂傷が走る。


内側から焼かれるような、激痛。


「……あつい……っ!!」


オルディナは、膝をついた。


自分のルミナで、自分が焼かれていく。


『自分の力で死に近づく気分はいかがかしら?』


ソリアは、心底愉しそうだった。


やがて、オルディナの身体に、黒紫の紋様が浮かび始める。


『オルディナ! いけません!!』


サクヤオロチの声が、遠くなる。


『さあ……解放しなさい』


その囁きとともに、

オルディナの意識は、再び闇に沈んだ。


――また、守れなかった。


その思いだけを残して。



――つづく

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