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ミックスジュース 1

今日はほのぼの。

あの子たちが出てきますよー。

「……とは言ったものの、どうしたらいいんだよ」


 実家に戻る道中、レントは頭を抱えていた。自分で見つけるしかないと言われて思考を巡らせていると似たことしか案が浮かばない。うんうん唸っていると、聞き覚えのある声がレントの名を呼んだ。視線を向ければ、エレインとイリーナがこちらを見つめていた。


「やっぱりレントだ! 久しぶりー」

「お、おう。久しぶり」


 久しぶりに見るイリーナの姿は充実しているのが伝わってくるからか、いつもより輝いて見えた。そんな彼女に羨ましさを抱くが、レントはふと思った。そういえばイリーナはよく父親と夢のことで喧嘩していたことを。教室で友人に愚痴っていたのは記憶にある。イリーナに話してみてもいいかもしれない。じっと彼女を見つめていると、彼女はなんだと首を傾げる。そんな二人の様子を見ていたエレインは、あっと小さく声を上げると、レントに質問をする。


「そういえばお兄さん。オーディションの話はそうなったの?」

「うっ」

「オーディション?」


 何も知らないイリーナが眉を顰める。レントはエレイン咎めようと視線を向けたが、エレインはキラキラした目でレントを見ている。純粋な好奇心から質問したことが分かり、レントは何も言えず肩を落とした。こうなってしまった以上、イリーナに話さないわけにはいかない。彼女に相談したかったし、と無理矢理切り替えてレントは二人に言った。


「えっと……話したいことあるから、ついてきてくれる?」



「オーディションの最終審査に行ったぁ!?」

「うるさい。耳元で騒ぐな」

「それで結果は?」

「待ち」

「そっか。……それにしてもレントが役者かぁ、全然想像できなかったや」


 イリーナは感慨深そうに言うと、目の前にある河原に視線を向けた。こうして誰かに自分の夢を話すことに不慣れなせいか、気恥ずかしい。


「いつ結果が届くの?」

「もう少ししたらかな。ま、落ちてるだろうけど」

「そんなこと言わないでよ。レントはがんばってるんだから」


 自虐的になっている彼を窘めるイリーナを見て、エレインは笑う。夢を諦めない彼女だからこそ、言える一言だと思ったからだ。しかし黙りこくっている彼に思うところがあるのか、エレインは彼の顔をじっと見つめた。視界にエレインが入り、レントの体が後ろに下がる。


「なに!?」

「お兄さん、元気がないなって」

「え、あーうん」

「なにかあったの?」

「あー……」


 どこから話そうか悩んでいると、イリーナがぶっこんでくる。


「当ててみようか。レントは主役に選ばれるかもしれないって思ってる?」

「全然」

「即答しないでよ!」


 バッサリ切られてツッコミを入れるイリーナにレントは吹き出す。この二人といるとマスターとは違う安心感がある。二人に話してみてもいいかも。そう思ったレントは二人に話を聞いてほしいと言い、向き合った。二人はレントのまとう空気がいつもと違うことに気づいたのか、顔を見合わせたあと、レントに向き合う。


 心地よい風がレントの背中を優しく押してくれた気がした。

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