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38.魔王軍過去編②

 共同生活が始まってから数週間が経過した。


「お姉さん、朝ご飯できたっすよ〜!」


「やった〜!」


 ゾンビが鍋をお玉でカンカン叩くと、眠っていた彼女は飛び起きる。


「今日のご飯は何?」


「じゃじゃーん! コカトリスの卵に、オークのハムと、マンドラゴラのサラダっす!」


「お〜、おいしそう!」


 初めはとんでもないゲテモノ料理に抵抗を示していたが、何回か食べるうちに慣れてしまった。恐ろしい適応力である。


「ごちそうさまでした!」


 彼女はゾンビ特製モーニングを一瞬で平らげた。食べ盛りの高校生には少し物足りないくらいだ。


「それじゃあお姉さん、今日も食材の確保に向かいましょうか」


「うん!」






 二人は森に繰り出し、獲物を探す。


「あ、ユニコーンっす! しかも十匹以上!」


「あれだけあれば、しばらくは食うに困らなそうだね!」


「やれますか?」


「あたぼうよ!」


 彼女は両手にグッと力をこめる。


「ヘルファイア!」


 手のひらから発せられた炎がユニコーンの群れを焼き尽くす。あっという間にこんがり馬肉の完成だ。


「大漁だぜ〜!」


「持って帰るのが大変そうっすね〜」  


 その後も二人は、日が暮れるまで森の中で狩りを続けた。






「はぁ〜、今日のごちそうは最高だったな〜!」


 夕食を食べ終え、二人は寝る準備に入っていた。


「ねえ、お姉さん?」


「ん、どした?」


「はっきり言って、お姉さんの魔力は圧倒的っす。史上最強レベルと言えます」


「あはは、照れるな〜」


「そんな力を、こんなしみったれた森でくすぶらせておくのはもったいないっす!」


「ええ? 私はここでゾンビと一緒に暮らすのが、すごく楽しいけど」


「せっかくだから、もっと広い世界に出ましょう! その力を有効活用するっす!」


「有効活用って?」


「そうっすねぇ……」


 ゾンビは下を向いて、しばらくの間考え込む。


「例えば、魔族を一つにまとめあげるとか」


「一つに?」


「魔族にはアンデット族、悪魔族、エルフ族など、様々な種族が存在していることは知っていますね?」


「うん。他の種族と絶えず争いを繰り広げているんだよね」


「そうっす。それにはいくつか理由があります。まず一つが、食料問題っすね。食べるために相手を殺しています」


「私達も今日やったもんね」


「そして領土問題や文化の違いによる対立などもありますね」


「領土や文化が争いの種になるのは、どこの世界も同じなんだね」


 彼女は転生前の世界を思い出し、深く考えさせられる。


「だけどいつまでも争いを続けていては、魔族達はどんどん死んで行き、どの種族も衰退していきます。魔族の未来のためには、争いをやめさせないと」


「でも、どうやって? 個人間の争いでさえ解決に時間がかかるのに、種族間の和平とかかなり難しそうだけど」


「お姉さんの圧倒的な魔力で、逆らう魔族達をねじ伏せて、従わせるっす。全ての魔族を従わせることができれば、戦いは無くなるはず!」


「ずいぶんと強引なやり方だね……」


 そうは言うものの、国を一つにまとめるのは武力であることは歴史を見ても明らかである。江戸幕府を作り上げた徳川家康も、今の日本を作り上げた薩摩長州も、その背景にあったのは圧倒的な武力だ。武力無くして平和は成り立たない。


「平和になれば魔族はもっと発展するはず。私達ももっと良い暮らしができるようになりますよ!」


「どうせ、一度は死んだんだ。二度目の人生は、死を恐れずにデカいことしてみようか!」


「その意気っす! 魔族を束ねる王になりましょう!」


「魔族の王、私は魔王だ! ここに魔王軍の結成を宣言する!」


 十六歳の人間の少女が魔王となった瞬間である。構成員二人の魔王軍はここから動き出す。






 魔王軍は結成してからすぐに行動を始める。


「ねえ、ゾンビ。まだ〜? もう何日も歩いて疲れたんだけど」


「噂によるとこの辺にいるはずなんすけどね…… あ、あれじゃないっすか?」


 ゾンビが指さす先に、全身に黒い鎧をまとう男がいる。


「君が悪魔族の王?」


「いかにも、我は悪魔を束ねる者。ルシウスである」


「私は魔王。私と手を組まない? 魔族を一つにしたいんだ。今なら最高幹部、四天王の座につけるけど」


「我は悪魔の王であるぞ。他者に膝を屈することなどはない」


「ええ〜? せっかく、遠くからはるばるやってきたのに! ケチ!」


「どうしても我を従わせたいのであれば、お前の力を見せてみよ」


「つまり君をぶっ倒せば良いんだね」


 話し終えるなり、魔王は右手に炎を生成する。


「ヘルファイア!」


「うぐっ!」


 炎がまともに命中し、ルシウスは膝をつく。魔族の中でも最上級の戦闘力を誇る彼が、たった一撃で大ダメージを負ったのだ。


「今のは本気の半分程度。次は全力でいくよ!」


「ま、待て! 我の負けだ!」


「早いな」


 相手の降参宣言で魔王は臨戦態勢を解く。


「相手の攻撃を一発受ければ、その実力はわかる。貴女の力は圧倒的過ぎる」


「そう! 私はめちゃめちゃ強いのだ! どう? 仲間になってくれる?」


「はい。これからは貴女を主君と仰ぎましょう」


 王であるルシウスを下したことにより、悪魔族全体が魔王軍に加入した。これが後に、魔王軍の主力部隊となる。


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