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10.砦完成

「よいしょ…… よいしょ……」


 魔王は木製の柵を地面に突き刺す。山の砦を守るための重要な施設だ。砦は完成し、その周りの防備を固める段階に入っている。

 魔王達が作業を続け、砦の周りに柵が張り巡らされた。


「よし、お前ら集まれ!」


 サイクロプスが手を叩きながら叫ぶと、作業員達は瞬時に全員集合する。


「作業はこれで終わりだ!」


「え? まだ昼じゃね?」


 魔王が疑問を呈する。


「砦はもう完璧だ! これで王国軍を迎え撃つことができる。これにて砦の建設作業は完全終了とする!」


「そうか。今日で終わりか。何だかんだで楽しい仕事場だったな……」


 魔王は寂しそうに呟く。


「皆が頑張ってくれたお陰で、魔族に希望が見えてきた! 心から礼を言う! この後、俺の奢りで宴会をしようじゃないか!」


「「「「うぉぉぉぉぉぉぉ」」」」


 魔族達は嬉しそうに雄叫びを上げる。 

 一行はそのまま街の酒場へ向かい、宴会を開いた。

 





「さあさあ、好きなだけ飲め! 食え! 歌え〜!」


「いやぁ。サイクロプスのおっさん、ありがとうな。ごちそうになっちゃって」


 魔王はお礼を言いながら、酒を口の中に流し込む。


「片角の兄ちゃん。君は最初はあまり仕事ができなかったが、後半は大活躍だったな!」


「仕事以外にたくさんトレーニングして力をつけたからな。力があれば作業も捗るぜ!」


「また一緒に仕事する機会があればよろしくな!」


「おう!」


 二人はグータッチをすると、グラスの中の酒を一気に飲み干した。


「「お代わり!」」


 皆、かなり早いペースで酒を飲んでおり、顔が赤くなっている。


「店員さん! 私にも一杯くださいっす!」


「はい、どうぞ」


「ありがとうございます!」


「ちょっと待ちな!」


 サイクロプスがゾンビのグラスを没収する。


「ちょっと、何するんすか!」


「お嬢ちゃん、まだ未成年だろう? 酒はやめときな。発育に良くない」


「私は成人っす!」


「馬鹿言うんじゃないよ。どう見ても十歳くらいだろ」


「サイクロプスのおっさん。こいつ一応、成人だよ。ゾンビだから年取らないだけ。ちなみに俺も全然年取らない」


「そうっす。私達、普通にサイクロプスさんより年上っすよ」


「え、そうだったのか。すまん、すまん」


 サイクロプスはゾンビに酒を返した。


「グビッ、グビッ、グビッ…… くぅ〜、美味しいっす!」


「お〜、ゾンビ。良い飲みっぷりだな! 俺も負けないぜ!」


「お〜、魔王様いっちゃいます? そ〜れ、いっき! いっき!」


 酒が回ってきたことで、宴会は最高潮の盛り上がりを見せる。

 そんな所に、慌てた様子で一匹のゴブリンが扉を勢いよく開けて、店内に駆け込んできた。


「皆、大変だ! 大変だ!」


「おう、どうした。落ち着け、ボブ」


 サイクロプスは、ボブという名のゴブリンの肩に手を置き、なだめる。


「お、王国軍の侵攻で。イワトの村が落ちた!」


「な、何!?」


 その場に激震が走る。  

 イワトの村とは、フーコの街の一番近くにある村であり、そこが落ちたということはフーコの街が王国と領土が隣接したことになる。敵の軍勢が攻め寄せてくるのも時間の問題だ。


「イワトが落ちたってどういうことだ! 王国軍が動いたなんて情報は聞いてねえぞ!」


 サイクロプスはボブに詰め寄る。


「王国軍が旧魔王城から出撃したのが昨日。そして、今日の昼頃にはイワトの村は火の海になっていたらしい。あまりにも迅速な動き過ぎて、こちらが情報を掴む前に陥落させられた!」


「な、なんという早さなんだ……」


「そこの住人は、老若男女関係なく虐殺されたらしい。王国軍は魔族の殲滅に本腰を入れてきたぞ!」


 それを聞いた者達は皆、絶望して言葉を失う。


「くそっ! こうしちゃいられん! 俺は街の有力者達と対策会議をしてくる! マスター、これだけあれば支払いは足りるな?」


 サイクロプスは大量の金が入った袋をマスターに渡すと、そのまま外へ走って行った。


 もう酒を飲む気分ではなくなり、その場の魔族達は黙って俯いてしまう。


「なあ、ゾンビ。何かすっごいお通夜ムードだけど、これってけっこうヤバいのか?」


「かなりヤバいっす」


「どれくらいヤバい?」


「大学四年の前期で単位を落としまくるくらいっすね」


「わ〜お、かなりヤバそうだな」


「王国軍の奴らは平気で魔族を虐殺しますからね。ここに押し寄せてきたら、どれだけの命が失われることになるか……」


「考えただけでもぞっとするな…… 俺達に何かできることはないだろうか? 魔族がピンチなのに、その王が何もしないわけにはいかん!」


「ここの街の住人と一緒に戦いましょう! 魔王様は弱体化しているとはいえ、そこらの人間共より何百倍も強いはず! 王国の大軍もきっと跳ね返せます!」


「腕がなるなぁ!」


 普段は無気力な魔王の瞳に炎が宿る。どんな絶望も自分が吹き飛ばしてやる。そんな決意が感じ取れる。


「戦うにはまず相手の情報を知らないとな。ゾンビ、お前は情報収集が得意だったな。王国軍の情報を探れるか? 時間が無いからなるべく早く」


「OKっす! テレポートを駆使して、敵の情報をできる限り集めてきます!」


「その間、俺はウォーミングアップでもしておく」


 魔王達は王国軍を迎撃するための準備に取り掛かった。


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