表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】宮廷占い師は常に狙われています! ~魔の手から逃げきってみせますよ~  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/100

49.気絶している間に終わった

 目が覚めると、事件はほぼ片付いていた。王女様の護衛騎士ヘンリが、侵入者を切り捨てる。王女様は守られ、後ろに転倒して頭を強打した私も助かった。


 こうやって纏めたら、私がすごく役立たずの足手纏いだわ。否定できないけれど。毎度大したケガもなく助けてもらうので、いつもの癖で飛び込んでしまった。王女様にケガがなくて何よりだわ。


「……うぅ、痛い」


「君は毎回無茶をする」


 私の悲鳴は遠くまでよく届いたらしい。屋敷の警備を残した上で、わっと騎士が押しかけた。その中にルーカス様もいたようだ。倒れた私を発見してすぐ抱き起こし、別の部屋へ運んでくれたとか。


「重くてすみません」


「それは構わないが、ケガをしないでくれ。心臓に悪い」


 血が出ていて怖かったぞ。ルーカス様の指摘に、そっと頭に触れた。ズキズキする頭に包帯が巻かれている。そっか、血が出るほどぶつけたなら、痛いのが普通かも。


 いや、それより重要な部分がある。さっき、重かったよねと謝った私に「構わない」って言った? やっぱり重かったのか。最近運動していないし、温泉で長湯もしてないから、太った気がしてたんだ。ぷよぷよしてたらどうしよう。


 隠れて脇腹を摘んでみる。やばい、未婚女性なのにぶよっと摘めてしまった。貴族令嬢としては、致命的な気がする。明日から食事制限しよう。


「拳を握って……痛むのか?」


 心配するルーカス様へ、何でもないと両手を振って誤魔化した。話題を逸らさないと!


「狙いは王女殿下でしたか?」


 いつもなら狙われるのは私だった。宮廷占い師を捕らえて情報を聞き出そうとする連中や、都合の悪い状況に追い込まれた貴族の逆恨みが多い。だが今回は王女様だと思う。


「ああ、プルシアイネン侯爵家の領地に入るのを待ったようだ。ここで亡くなれば、こちらの有責で賠償を求めることが可能だからな」


 にやりと笑うお姿は悪役っぽくてカッコいい。間違いなく隣国アベニウス王国は、高い代償を払わされる。そう確信できた。余計なことしなければよかったのに。


「そういえば……」


「なんだ?」


「どうして新しい屋敷を王女様に与えなかったんですか?」


 無言で驚いた顔をするルーカス様に、変なことを聞いたかな? と首を傾げる。くつくつと喉を鳴らして堪えたが、ついに我慢しきれなくなったルーカス様が大笑いした。普段澄ました顔で過ごしているから、笑いの沸点がおかしいんだろうか。


「ふっ、……くく、はぁ」


 笑いをなんとか収めたのに、私の顔を見てまた笑い、やっと溜め息をついて落ち着いた。ゆっくり待つ私は心が広いよね。


「今回のような事件が起きるからだ」


 省略されすぎて、意味がわからない。頭のいい人って、途中の解説や計算式を省いて、いきなり答えを出すんだもの。凡才には理解できなかった。素直に説明を求めた。


「新しい屋敷を建てると聞けば、一般的に王女殿下用だと考える。屋敷に通路や抜け穴を仕込むのに、新築は最適だ。その点、我が曽祖父が建てた小屋敷は、隅々までわかっている。安心だろう?」


 なるほど。


「隣国の王侯貴族も同じように、新築した屋敷に王女殿下がいると思い込む。その逆をつくことで、欺く作戦も可能だ。さらに付け加えるなら、あの小屋敷には緊急避難通路がある」


 ……政略だか策略だか知らないけれど、こういう裏を読み合う世界は私には向いてない。それだけは理解できた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ