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【完結】宮廷占い師は常に狙われています! ~魔の手から逃げきってみせますよ~  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!


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35/100

35.読むより感じろ、で結果を出す

 過去に問題があったカードが並び、やがて現在に手詰まりを示すような暗示が出る。けれど未来は分岐していた。二つ、いえ三つ?


 読みながら眉を寄せる。ヴェール越しで見えないにも関わらず、同じようにルーカス様が顔をしかめた。両手を組んで祈る王妃様、陛下はじっと動かずに座している。


「現在は動かせませんが……未来は複数示されました」


 促すように頷く陛下に向き合い、私は未来を示すカードを指先で押した。見やすい位置へ移動させたのは三枚、『皇帝』『カップの王女』『ディスクの4』だ。


 アテュである『皇帝』は支配や抑圧だ。それ以外の意味もあるけれど、感じ取れなかった。このまま要求を呑んだ場合の結末は、支配され属国にされると示していた。けれど長引くと失敗する意味もあり、我が国で反乱が起きるのかも。


 説明すると、陛下は複雑そうな顔で頷いた。この国が侵略される未来なんて聞きたくないわよね。私は次のカードを手を伸ばす。


 カードの読み方は占い師によって違う。正直、結論がまったく異なる占い師もいた。我が一族はただ感じ取る。能力が低いと読み取れず、カードの意味に囚われてしまった。だから母は宮廷占い師になれなかったのだ。このカードを継承する資格が、感じ取れるかどうかだった。


 『カップの王女』は小アルカナの一枚で、協力者を意味する。でも同じ協力者なら別のカードもあるのに……そのまま王女を読み取ればいいの? カードと対話する形で、私は感じたままを読み取った。


 ここで予想外のことが起きた。押したカードの下に、もう一枚重なっていたのだ。一般的にはミスだけれど……気になってカードを確認した。『塔』はアテュのカードである。


「不吉そうなカードね」


 王妃様が心配そうに呟く。でもこれは意味が逆転している。感じるままに読むなら「協力者により、悪巧みは失敗に終わる」が近いかも。そう告げると、王妃様はほっとした様子だった。


 最後の『ディスクの4』は意味深だ。法的な秩序による解決を示唆している。第三国が調停に入れという意味? それとは別の何かがありそう。カードを手に取って確認し、そっと戻した。


 すべてを並べた上で出た結論は、このまま戦争をしたら負けて支配される。けれど王女の協力で打ち破る手は存在し、その場合は隣国アベニウスの策略は失敗に終わるだろう。長引くと第三国が介入し、そちらに力づくで利益を奪われる……。


「王女か」


 どの王女か示されていないなら、今回の登場人物だと思う。この点は全員の意見が一致した。ルーカス様の婚約者候補になった第五王女だ。


「内密に連絡をとります」


 婚約を打診したなら、手紙のやり取りくらい許されるはず。意外と正攻法で表から攻めた方が早いかも? 陛下はにやりと笑い、王妃様は「あらまあ」と驚いた顔をした。何か変なこと言ったかしら。


「未来の宰相夫人の意見を採用するか」


 陛下は難しい顔をやめ、からかうような笑いを浮かべた。ルーカス様は頬を赤らめ、私はきょとんとした顔で首を傾げる。なんなの? 政に明るい人達って、変なところで勝手に納得するのよね。


 悪い意味ではなさそうなので、愛想笑いしておいた。王妃様は堪えきれず、扇の陰で大笑いするし。暗い話だったのに、解決しそうな雰囲気になってきたわ。

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