表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】宮廷占い師は常に狙われています! ~魔の手から逃げきってみせますよ~  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/100

27.上手に管理されてしまった

 美形と一緒は嬉しいけれど、やっぱり照れてしまう。その意味で、ルーカス様が帰った途端にほっとした。全身がギシギシ軋むほど緊張していたし。


「お嬢様、きちんとお話をしましたか?」


「たぶん」


「監禁のことですよ?」


 理解していない私を見透かしたように、ハンナは釘を刺した。が、もう遅い。ルーカス様に話す前に帰してしまった。あのままいられたら、私が正気を失ったと思うからいいけど。全然聞けなかったわ。正直にそう告げると、ハンナは呆れ顔でやれやれと首を横に振る。


「本当に美人に弱いお嬢様ですね。私も帰れそうになくて、アルベルト様にご連絡した方がいいかと」


 困った時の執事! まあ、宰相閣下相手に勝てるわけないが、何か手を講じてくれるかも。案を教えてくれるだけでもいい。王妃様経由で頼んでみる方法もある。手を取り合って頷き、私とハンナは手紙の準備を始めた。


 家を留守にしているんだから、執事に手紙を出すのは普通だ。そう理由をつけた封書だが、ルーカス様は笑顔で配達を拒否した。部屋の掃除に来た侍女に渡したのに、どうしてルーカス様が返しに来るのか。


 念の為に受け取った手紙を確認するが、開封はされていない。中身ではねられたのではなければ、なぜ配達ができないのか。素直に尋ねた。


「いいですか、イーリス。あなたの家は燃えた。子爵家に手紙を出すのはおかしいのでは?」


「あっ、本当だわ」


 ここにいるのは、宮廷占い師のイーリスだ。隣国のお馬鹿さんに屋敷を焼かれ、この王宮に滞在している。それなのに、無関係のネヴァライネン子爵家へ手紙を出せば、色々まずい。


「政は私に任せて、ゆっくりしてほしい」


 こう言われたら、頷くしかない。子爵家や領地の様子は、気にかけてくれると約束をもらった。アルベルトに相談する作戦は不発に終わり、私は大人しく引き下がる。


「そうそう。屋敷の寝室の家具を選んでくれると助かる。愛しい婚約者殿」


 にっこりと笑顔で告げられ、ぽっと頬を赤らめる。愛しい婚約者……すごく求められている気がするわ。逃さないとか言われたし、先日読んだ小説の登場人物みたい。


 閉じ込められちゃうけれど、大切に愛されて生きるお姫様。王妃様に頂いた小説の登場人物と重ね、うっとりと目を閉じた。ルーカス様を見送った私は、ハンナに指摘されるまで気づけなかった。


「お嬢様、手紙が回収されてしまいました」


 あら、この後開封されたら困る。慌てて伝言を頼むものの、手紙は返ってこなかった。ルーカス様から怒られたりもしないし、捨ててくれたり……? 二日ほど悩んだが、私はこういう状況が長続きしない。


 楽天的で気分屋、おっとりして鈍い。それがハンナの私に対する評価だ。長く考えても無駄なので、気持ちを切り替えた。もし手紙を見て気分を害したなら、文句を言ってくるでしょう。


 久しぶりにカードに触ろうかな。ケースに収めたカードを数え、全部揃っているのを確認してシャッフルした。ひらりと一枚が落ちる。


「いけない!」


 拾い上げたカードは『悪魔』、あるがままを受け入れよ? なんとなく読んだが、そのまま戻してしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ