第二十一話 膝が3つある男
今は昔 出世を願いながら修行に励んでいた僧がいました。
僧は出世を願い、観音様に祈りました。ですが、何年たってもその気配すらありません。腹をたてた僧は罰当たりにも観音様の像にしょんべんを引っ掛けたのです。そのバチが当たったのか、僧の一物がどんどん膨れ上がっていき、座ると膝が3つあるようにみえました。僧はおそれ、反省して、それ以後、まじめに一心に修行に励むようになりました。
さらに何年か過ぎました。時の上皇様が病に臥せっており、その僧が看病禅師に任命されました。上皇様は上皇といっても、まだ、若く美しい女性でした。僧は上皇様を心をこめて看病しました。そのかいあってか、上皇様はだんだん、健康を取り戻してゆきました。そして、上皇様は僧を深く、信頼し、寵愛するようになりました。ですが、それを快くおもわない、帝や大臣は、上皇様に諫言しました。
それを聞いた上皇様は激怒しました。大臣を罷免するとともに帝も廃位させてしまい、上皇様は再び、帝位ににつきました。帝位に再びついた上皇様、いえ、女帝はますます、僧を寵愛しました。果ては帝の地位まで僧にゆずると言い出したのです。周りの者達がなんとか阻止しましたが、女帝の僧への寵愛は変わりませんでした。
女帝が崩御されたあと、僧は朝廷を追放されました。追放された地で僧は女帝を弔い、女帝と過ごした日々を懐かしく偲ぶ日々をおくりました。
観音様の怒りか功徳かはわかりませんが、大きくなった一物で女帝を悦せたかどうかは誰にもわかりません。




