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神亡き世界の異世界征服  作者: 三丈夕六
ルノア村奪取編
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第6話 ルノア村

 ルノア村を拠点とする為には、単純に力を持って制圧すれば良い訳では無い。拠点とする限りは俺達にとっても居を構えるだけの信頼のおける場所にしなければならない。支配者の座のみを奪い取る方法……考えないと。



 まずは村の現状調査だな。



 人身売買の取引場から森に入り、ゲームの記憶を頼りにルノア村の近くまで向かう。



 到着した村の外観は、木造の壁にぐるりと囲まれ、その上には多数の弓兵が巡回していた。警備は頑丈……できれば住人から話を聞きたい。堂々と滞在する方法を取ることにしよう。


 「エリュシア・サーガ」の知識からヒューメニア商人の服装へと擬態する。見た目は……今の俺はヒューメニア人そのものだから問題は無いか。



 門へと赴き、警備兵を精神支配する。そして、彼から村の支配者について聞き出した。



 グレディウス・フェルミア……それがこの村の支配者の名だった。聞いたことのない名前。元々ゲームでは平和な村だったはずだから当然かもしれないが。



 ……この世界はどうやら地形、種族、武器、魔法、スキルはエリュシア・サーガそのままだが、そこに住む人々の精神性や社会構成は異なるようだ。ゲームをベースにしてはいるが、どちらかと言うと、俺のいた現実世界に近いのかもしれない。



 精神支配した警備兵に連れられ、村の中へと入っていく。


 木造の門を括ると、中にはのどかな農耕地と、民家が並び立っていた。ここまでは俺の知っている村の風景だ。しかし、そこかしこに警備兵が立っており、如何にも息が詰まりそうな空気感がある。


 主要道の続く先には、この村に似つかわしく無い屋敷があった。一目で分かる。グレディウスの屋敷だと。


 警備兵にグレディウスの元へと案内させる。農作業を行っている獣人達は、皆俺を珍しいそうに眺めていた。人間が来るのは珍しいのだろうか?


 小川を越え、広場を越えて、屋敷へと辿り着く。そして警備兵から俺を「鷹の目の使者」と紹介させると、あっさりとグレディウスと面会することができた。



◇◇◇


 来客用の部屋に通され、しばらく待つと、テンプレの様な貴族の格好をした男が入って来た。太った容姿にやたらゴテゴテした装飾。本来獣人に貴族はいないはずだが……奴隷商としての利益。その使い道だけはハッキリと理解できる。


 そして、次に鎧を来た大男の獣人。顔付きがグレディウスに似ている。跡取りか。それにしては鍛えられ過ぎている。さしづめ武芸に入れ込んだ口だろうな。


 大柄な男が扉の前に立つのを確認した後、グレディウスは俺の向かいへと腰を下ろした。


「今回の出荷は終えたはずだが? 金額に不満があるならまた次回にしろ。ま、その場合は他の顧客に回すだけだがな」


 奴隷の買い手は複数いる……か。また殺さなければいけない者が増える。


「いえ、私は何も値切りたい訳ではありません。グレディウス様の手腕にはひどく感銘を受けまして。どのように出荷する獣人を選定しているのですか?」


「言う訳ないだろう」


 グレディウスが俺を睨み付ける。その瞳は、ただの守銭奴では無いことを告げていた。


「あぁ。申し訳ございません。そういう意味では無いのです。貴方あなた様の出荷されるのは子供が多い。それも10歳未満の子供だ」


 グレディウスの眉が持ち上がる。


「何だ? わざわざ何を言いに来た?」


 グレディウスの人身売買はエルフェリアには知られたくないはずだ。森の民を優先に考えるエルフに村の実体を知られるとマズイからな。そうであるなら、この男は「ただ出荷に徹しているだけの存在」のはず。市場調査などした事も無いだろう。


「かねてより私は勿体ないと思っていたのです。グレディウス様はヒューメニアまでお越しになることができない。その為にせっかくの商機を逸してしまっていると」


「商機とは?」


「人気のある奴隷の種類ですよ」


「種類だと?」


「グレディウス様。王都では特定の年齢(・・・・・)の奴隷が欲されているのですよ。理由は……お分かりですよね?」


 グレディウスは俺の言った意味に気付くと呆れたようにため息を吐いた。


「まぁ……なるほどな。そういう者もいるか」 


 口にしていて虫唾むしずが走る。しかし、これは俺が村に滞在する為に必要なことだ。そう言い聞かせて作り笑いを浮かべる。


「それで? その年齢というのは?」


言う訳ないでしょう(・・・・・・・・・)


 微笑みを浮かべながら先程のグレディウスの言葉を真似た。


「テメェ……俺達を愚弄する気か?」


 怒りのこもった言葉と同時に、喉元へと大剣の刃先が突き付けられる。目を向けると、扉の前に立っていた大男が剣をこちらへと向けていた。


 大剣を音も無く抜くとは、レベルは俺が戦ったヒューメニアの隊長クラスより上か。55……いや、60ほどはある。精神支配は無理だな。


「よせギルガメス」


 父親からとがめられらたギルガメスという男は、舌を鳴らして引き下がった。


「私は評価するぞ貴殿のその胆力たんりょくをな。何か提案があったのだろう?」


 グレディウスが俺を見てニヤリと笑う。


 こちらは想定通りだな。自分をやり手だと勘違いした者は似た性質を持つ者を好む傾向にある。これは俺の現実の知識からだが。


「2、3日私を村に滞在させて頂けませんか? 私が人気の出そうな者を見繕みつくろいましょう。それを連れて行けば、新たな市場が開拓できると思います」


「ふむ。中々気に入った。貴殿の名は?」


「商人のヴィダルと申します」


「では、滞在を許可しよう。ヴィダル殿。良きパートナーになれることを期待しているぞ」



 良きパートナーねぇ。やはり救いが無いな。

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